千葉県立現代産業科学館メールマガジン バックナンバー
現代産業科学館 メールマガジン 第182号
配信日時:2021/10/24 10:00
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現代産業科学館 メールマガジン 第182号 令和3年11月号(令和3年10月24日発行)
CMSI MAIL Magazine No.182 http://www2.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/

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INDEX-----------------------------

・企画展のご案内
・コラム VOL.54「千葉が生んだ歯車博士-成瀬政男-」

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★11月の休館日
 1(月)・8(月)・15(月)・22(月)・29(月)

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 企画展のご案内
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11月開催のイベント
 ※より詳しい内容は当館ホームページでご確認ください。
  → http://www2.chiba-muse.or.jp/www/SCIENCE/genre/1520227812085/202111.html

 ★令和3年度 企画展「カ・ラ・ク・る-歯車が伝える動き-」
 
 ◇期間  10月16日(土)~12月5日(日)
 ◇入場料 一般 500円 高校・大学生 250円 
      中学生以下・65歳以上は無料
 ◇会場  千葉県立現代産業科学館 企画展示室他

<展示構成>

 ●カ・ラ・ク・る くるくる 動きのしくみ
  「機構模型(ゼネバストップ・扇形歯車とラック他)」
  「ライントレースカー」他

 ●カ・ラ・ク・る 伝わる 先人の知恵
  「和時計(復元)」,「量程車」,「座繰り」他

 ●カ・ラ・ク・る カタカタトコトコ 歯車アート
  「からくりおもちゃ」,「からくりアート」,「茶運び人形」他

 ●千葉が生んだ歯車博士-成瀬政男/現代のいろいろな歯車
  「成瀬政男著書『歯車』・『歯車と私』」,「平歯車」,「軸付歯車」他

 <主な関連イベント(予定)>
 ※新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては,変更になる場合があります。

 ◇工作教室 段ボールの歯車でつくる
  「歯車デコレーションケース」
  日 時:10月24日(日)・10月31日(日) (1)10:00~ (2)14:00~
  講 師:館職員 
  対 象:小学生・中学生 *小学3年生以下は保護者とご参加ください。
  参加費:300円(保険料込)
  その他:申し込みが定員に達しましたので,予約の受付は終了といたします。

 ◇からくりクリエーター鈴木完吾さんによる実演&スペシャルトーク
  「動くしくみを考える」
  日 時:11月14日(日) (1)10:30~ (2)13:00~ (3)14:30~
  講 師:からくりクリエーター 鈴木完吾氏 
  参加費:無料(当日入場券が必要)
  申 込:事前申込不要・当日先着順

 ◇ワークショップ 木工アーティストつちやあゆみさんとつくろう
  「くるくるまわる歯車のバッジ」
  日 時:11月20日(土) (1)10:00~ (2)14:00~
  講 師:木工アーティスト つちやあゆみ氏
  対 象:小学生・中学生 *小学3年生以下は保護者とご参加ください。
  参加費:50円(保険料)
  その他:申し込みが定員に達しましたので,予約の受付は終了といたします。
  
 ※11月21日(日)に予定していた,榎本誠治氏による実演&スペシャルトーク
  「江戸からくり人形の機構と技術」は都合により中止とさせていただきます。

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 コラム VOL.54「千葉が生んだ歯車博士-成瀬政男-」
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 企画展「カ・ラ・ク・るー歯車が伝える動きー」が始まりました。
私たちの身の回りには,歯車が使われている製品がたくさんあります。
日常生活の中では,歯車は隠れた存在でそれほど意識されていません
が,実はいろいろなところで使われ,私たちは大きな恩恵を受けてい
ます。

 この歯車を語る上で忘れてはならないのが,千葉県出身で歯車の世
界的権威として知られている工学博士の成瀬政男(なるせまさお)です。
 成瀬政男は,明治31(1898)年2月3日に千葉県館山市(旧安房郡北条
町)の母親の実家で生まれ,南房総市(旧安房郡白浜村)で育ちました。
 経済的に恵まれた家庭ではありませんでしたが,勉強好きで成績も
よかった成瀬は,人一倍の努力や周囲の人々の勧めにより,やがて東
北帝国大学(現東北大学)工学部機械工学科に進学しました。
 卒業後は,同大学の講師となり,恩師の勧めで歯車の研究に携わり,
後に助教授,教授となりました。この間に工学博士の学位を取得して
います。

 研究を重ねた末,歯車に関する数式での一般理論をまとめ上げ,
「歯車の成瀬」として世界的に知られるようになりました。東北大
学退官後は,東洋大学工学部教授や労働省が新設した中央職業訓練
所(現職業能力開発総合大学校)の所長に就任し,同所が4年後に昇格
して職業訓練大学校になると,初代校長も務め,「技能の総本山」
という認識のもとに多くの有能な技術指導者を育てました。
 生涯において89本の学術論文を執筆し,またたくさんの本も書き
ました。その一部は小学校の教科書にも掲載されたことがあります。
特許(発明)については,国内・国外併せて60件あります。
 また,昭和28(1953)年5月,歯車に関する研究の功績により,日本
学士院賞を受賞し,昭和41(1966)年9月,新型歯車の開発に成功した
功績により,紫綬褒章を受章し,昭和43(1968)年4月,公務等に長年
にわたり従事し,成績を挙げたことが認められ,勲二等瑞宝章を受
章するなど,数々の褒章や賞を受章(賞)しました。

 成瀬は,よい物をつくるには「科学」「技術」「技能」の3つが必
要であると言っています。「科学」とは科学知識,「技術」とは科学
を応用していろいろなことに生かす学問,「技能」とは技術を実際の
物にまでする能力(職人の技など)のことです。この三者はどれが優位
ということではなく,同列であると位置づけました。
 成瀬は,若いころ優れた歯車職人の技を目の当たりにして,いくら
歯車の知識は持っていても,それだけではよい歯車は作れないことを
痛感し,「技能」の重要さを認識して自らも進んで「技術」を学びま
した。
 さらに成瀬は,「科学」「技術」「技能」に加えて,常に「創意工
夫」をし,「職業訓練」をして技を磨くことにより,よりよい物を作
ることができると説いています。たとえ一人前になっても「技能」を
磨くことに終わりはないのです。

 成瀬は,昭和54(1979)年7月に81歳で生涯を閉じましたが,生前よく
「人はみな誰でも他人にはない優れた能力を持っている。それを見つ
け出し,磨けば光り輝く宝となる」とも言っていました。
 こうした成瀬の教えは,現代の私たちが日常生活や仕事をしていく
上でも共感する部分があるような気がします。

参考文献/成瀬政男 著/「歯車と私」

(学芸課M)

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