千葉県立関宿城博物館メールマガジン バックナンバー
せきはくマガジン第184号(262)
配信日時:2021/12/20 09:00
千葉県立関宿城博物館メール情報∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

          せきはくマガジン

http://www2.chiba-muse.or.jp/SEKIYADO/
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞第184号(262) 2021年12月20日∞
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 もくじ
[1]1月のイベント情報及び1月の休館日について
[2]1月中に募集が開始されるイベントについて
[3]せきはく豆事典「関宿周辺の奈良・平安時代」
[4]季節だより
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[1]1月のイベント情報及び1月の休館日について

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、講座等のイベントにつきましては、中止や内容等の変更が生じることがあり
ます。新しい情報につきましては、随時ホームページでご確認をお願いいたします。
 また、入館の際にはマスクの着用と検温にご協力ください。
 
●開館時間 9時開館、16時30分閉館
                       
★(1)第21回関宿城百景写真展
    関宿城近辺を題材とした写真を公募し、作品を展示します。
      期  日   12月3日(金)〜1月16日(日)
               (休館は月曜日。月曜日が祝日にあたる場合は開館し、翌日休館。12月28日(火)~1月4日(火)
                は年末年始休館。)
      時  間   9時~16時30分
      場  所   千葉県立関宿城博物館 3階多目的室
      入場料  一般200円(団体160円)、高大生100円(団体80円)、中学生以下・65歳以上無料
              ※団体扱いは20名以上

★(2)博物館セミナー「利根川舟運を利用した下総・常陸の船旅」
        当館の調査協力員、松丸明弘氏による博物館セミナーです。江戸時代に暮らした人々が、川船を利用してどんな場
        所を巡っていたのかを、絵図や引札(広告チラシ)、名所図会などを通じて、現在の観光と比較しながら紹介しま
        す。
      期  日   1月16日(日)
      時  間   13時30分〜15時30分
      場  所   千葉県立関宿城博物館 集会室
      定 員  15名
      参加費  100円
      申込み  12月16日(木)9時から電話で申込み受付(先着順)
    
★(3)昔のくらし展
    昔なつかしい民俗資料を中心に、「住まう」「食べる」「着る」「働く」「遊ぶ」の五つのテーマに沿って、昭和
        の頃の暮らしを紹介します。
   期  日  1月18日(火)~4月17日(日)
               (休館は月曜日。月曜日が祝日にあたる場合は開館し、翌日休館。)
      時  間  9時~16時30分
      場  所  千葉県立関宿城博物館 3階多目的室
      入場料  一般200円(団体160円)、高大生100円(団体80円)、中学生以下・65歳以上無料
              ※団体扱いは20名以上

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◆◆◆1月の休館日について◆◆◆
1月1日(祝・土)~4日(火)・11日(火)・17日(月)・24日(月)・31日(月)は休館します。
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[2]1月中に募集が開始されるイベントについて
   (新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となることがあります。)

◆(1)博物館セミナー「浮世絵に描かれた船」
        当館の調査協力員、松井哲洋氏による博物館セミナーです。浮世絵にはよく船が描かれていますが、その船がどの
        ような船なのか、詳細な説明はほとんどなされていないようです。そこで今回は、いくつかの浮世絵について描か
        れている船の関連資料(板図、古文書や模型など)を使い、紹介します。
      期  日   2月13日(日)
      時  間   13時30分〜15時30分
      場  所   千葉県立関宿城博物館 集会室
      定 員  15名
      参加費  100円
      申込み  1月13日(木)9時から電話で申込み受付(先着順)
           04-7196-1400(千葉県立関宿城博物館学芸課)

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[3]せきはく豆辞典「関宿周辺の奈良・平安時代」
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  メールマガジン6月号では、古代の水運について古墳時代を例に紹介しました。今回は奈良・平安時代を例に、関宿周辺
の河川と環境について考えてみたいと思います。
 地理的環境については、奈良時代の歌集である『万葉集』からいくつか窺うことができます。万葉集には「古河」を歌っ
たものが3首あるそうですが、いずれも水辺の情景が目に浮かぶものです。
  「逢はずして行かば惜しけむ麻久良我の許我漕ぐ船に君も逢はぬかも」(あなたに逢わずに行ってしまうのは残念だ。古
河を漕ぐ渡し船で逢えればいいなあ。)
  これは、当時の古河周辺が船を使って行き来する機会が多い、川や沼の地形であったと想像されます。現在でも市域の西
側には渡良瀬川が流れています。
  「麻久良我の許我の渡りの韓梶(からかじ)の音高しもな寝なへ児ゆゑに」(古河の渡しに聞こえる韓梶の高い音のよう
に噂ばかりが高いなあ・・・)
  ここにある「韓梶」の付いた船とは、おそらく遣唐使船に使われるような当時としては比較的大きな船と考えることもで
きるでしょう。許我の渡しが小さな渡船場ではなく、古代東京湾と内陸を接続するような比較的遠距離を進んだところに位
置する港であったと想像できます。
  「白たへの衣の袖をまくらがよ海人こぎく見ゆ波立つなゆめ」(まくらがに海人が船を漕いでくるのが見える。波よ立つ
な。)
  この歌は古河の枕詞である「まくらが」だけで、古河の地名は出てきませんが、海の方からやってくる人と、波が立つよ
うな海や大きな湖の場所を歌ったものと思われます。縄文海進後の海退からかなりの時間が過ぎているとはいえ、まだ広域
的な水面を残す環境が残っていたのではないでしょうか。
  渡良瀬川の近くで古河総合公園の西側に、9世紀から10世紀に操業された川戸台遺跡という製鉄跡があります。その規模
は東日本最大級とも言われます。武器を作った場所ではないようですが、東北地方の蝦夷制圧に関連して鉄鍋などを作って
いたそうです。平安時代に入り、万葉の頃からは周囲の環境も多少変化していたとは思いますが、製品を運び出すための港
的機能が当然存続していたはずです。
 次の歌は古河とは別の場所となりますが、
  「埼玉(さきたま)の津に居る舟の風をいたみ綱は絶ゆとも言な絶えそね」(埼玉の津(湊)に停泊している船の綱が強
風で切れても、恋しい人の便りは切れないで欲しい。)
 「津」というのは港のことですから、この歌からは「埼玉の津」という港があったことが分かります。さて、その場所は
というと、埼玉古墳群のある行田市埼玉付近が有力です。行田付近も現在の東京湾からの距離は、概ね古河と同じであり、
周囲の状況も同じようであったと推測されます。
 当時の水上交通が、自然の川の流路や湖沼を利用していたのは当然のことですが、日本各地では運河の掘削や河道の改修
が行われたという記事もあります。有名なところでは、飛鳥における斉明天皇の「狂心(たぶれごころ)の渠(みぞ)」※
や、関東では天平宝字2年(758)に下総国結城郡小塩郷小島村から常陸国新治郡川曲郷受津村まで毛野川(鬼怒川)の掘
削が行われました。前者は建築資材を運んだ運河です。後者は下総国の洪水を防止するために掘られたもので運河を目的と
はしていませんが、結果的に水路としても使われたことでしょう。この頃には既に、比較的大規模な運河を掘るような河川
改修の技術や労働力があったということです。
 歴史はずっと繋がっているものですから、こうした環境や下地があって、後の戦国時代水運や近世の利根川東遷などにも
引き継がれていくのだと思います。                                                            (岡田光広)

※斉明2年(656)に天皇は渠を掘らせ、飛鳥岡本宮の東の山に石垣を築くために船200艘を使って石上山の石を運ばせた。
渠の工事に3万人、石垣の工事に7万人もの無駄な労力を使ったとして、人々は非難したという。(『日本書紀』)

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[4]季節だより
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 早いもので、今年も残すところ10日ほどとなりました。関宿城付近は比較的穏やかな天候に恵まれていますが、ここに
きて朝晩は急に寒くなりました。体調には気をつけましょう。
 3階多目的室では、第21回となる関宿城百景写真展が開催中です。季節や時間で表情を変える、関宿城の魅力を表現さ
れた作品ばかりです。皆様のご来館をお待ちしております。 
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す。皆様からのお声をお待ちしております。お気軽にお寄せ下さい。
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せきはくマガジン第184号(262)
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