千葉県立中央博物館メールマガジン バックナンバー
★ ちば中央博メール 2022年2月号 ★
配信日時:2022/02/10 08:00
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    ちば中央博メール 2022年2月号(2022年2月10日発行・第186号)
        http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

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目 次
1.お知らせ
2.イベント情報
(1)中央博物館本館・生態園
(2)大利根分館
(3)大多喜城分館
3.研究室から−122 「オーシャンビューの太東埼での調査の思い出」
4.研究室から−123 「ネズミにひかれる」
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1.お知らせ
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◆博物館の再開館について
 本館・生態園は10:00〜16:30まで開館・開園しています。
 なお、生態園オリエンテーションハウスは土・日・祝日のみ開館(10:00〜16:30)
しております。

講座・観察会については、新型コロナウイルスや自然災害などの対応により変更や中
止の可能性がありますので、くわしくはホームページをご覧ください。↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1520009714819/index.html


年間パスポートの期限延長を行っています。くわしくはホームページをご覧くださ
い。↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1584073375870/index.html#
年間パスポート

◆現在休止中の展示・サービス
・1階ホール
・「たいけんのもり」を含むハンズオン展示
・野鳥観察舎(生態園)
・団体受付(一般団体)
・図書閲覧サービス

※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
  
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1517539269054/index.html#k
aikanbi

なお、感染拡大の状況などにより変更が生じる場合がございます。ご了承くださるよ
うお願いいたします。

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2.イベント情報
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 (1)中央博物館本館・生態園
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■春の展示「苔松苔梅—春を寿ぐ(ことほぐ)うめのきごけ—」
日時:〜5月8日(日)
会場:第一企画展示室
内容:苔がついた松や梅は、苔松苔梅と呼ばれ、お正月のめでたい生け花の花材とし
て珍重されます。この苔は主にウメノキゴケの仲間の地衣類という生き物です。日本
文化の中に見られる苔(地衣類)を写真で紹介するとともに、地衣類の知られざる不
思議な世界についても併せて紹介します。

■ミニトピックス展 市原市 天神台遺跡展 〜縄文人と海との関わりのはじまり〜
日時:令和4年1月22日(土)〜3月13日(日)
会場:第二企画展示室
内容:市原市教育委員会と協力して「市原市 天神台遺跡展」を開催します。天神台
遺跡は、縄文時代の海洋文化を象徴する遺跡の1つとして知られています。今回の展
示では、令和3年に文化庁が主催した「発掘された日本列島」展に出展した出土品を
中心に、貝を加工した装身具や土製の耳飾りなどを紹介します。

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(2)大利根分館 http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ 電話:0478-56-0101
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10月1日〜3月31日までの期間は土・日・祝が休館日となり、入館には事前予約が
必要となります。
※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/OTONE/contents/1515477238236/index.html
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(3)大多喜城分館 http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ 電話:0470-82-3007
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大多喜城分館は施設改修のため、しばらくの間休館します。

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3.研究室から−122 「オーシャンビューの太東埼での調査の思い出」
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 二十数年前に、太平洋にのぞむ太東埼(いすみ市)で調査していた時のことです。
太東埼は、海に面した崖や斜面の多く、そういう場所に生育する海岸植物を観察する
にはとてもいい場所です。海に面している崖にしろ、砂浜にしろ、生えている植物は、
海岸植物という特別な種類に限られ、内陸で見る植物はまず生えていませんが、その
理由はまだ完全には明らかになっていません。その理由の一端を探るため、太東埼の
土の斜面に内陸では普通の植物であるセイタカアワダチソウのタネをまいて、その様
子を見ることにしました。まばらに海岸植物の生えている斜面に、紐と杭で四角い枠
を複数作ってタネをまき、定期的にその場所に行って芽生えの数を数え、いつどのく
らい死滅するのかを調査していました。何しろ、セイタカアワダチソウの芽生えは数
ミリの小さなものですから、ほとんど四つん這いになり、顔を地面にこするようにし
て、片手でカウンターをカチカチさせながら、数えることになります。
 調査をしていた太東埼の一画は、駐車場も近く、便利なのですが、釣り人や観光客
も時折訪れるところでした。そのようなところの斜面にクモ男のようにはり付いる人
を見れば、やはり奇異に映るのでしょう、ときおり、「何をしているの?」と声をか
けてくる方がいます。そういう場合は、もちろん調査を中断して、ここに内陸植物の
セイタカアワダチソウのタネをまいて、その芽生えの数を数えている、といったよう
な説明をします。ただ最初の頃は、なぜか、ふうんとかはーとかあまり納得のいって
ないような顔をされる時が多く、こちらも不思議に思うことがありました。ところが
ある日のこと、男女の二人連れがやはり近づいてきて、男性の方が声をかけてきまし
た。ひと通り説明をしたら、女性の方が、「研究ですか?」と聞いてきました。もち
ろん「ええ、植物の研究です。」というと、両者とも晴れ晴れとした顔で、「研究か
あ」といった感じで行ってしまいました。
 そこではたと気が付きました。声をかけてくる皆さんは、具体的に何をやっている
のかを知りたいわけでなく、ようするに何をしているのかを知りたいのだなと気付か
されました。それ以来、声を掛けられると、まずは、「これは植物の研究で・・」と
いうところから話すようにしました。すると、「研究」という言葉だけで納得したよ
うな顔になる方もいるくらいでした。
 それにしても、「研究」という言葉には、不思議な力があります。実際のところは
さておき、「研究です」といえば、変なことをしていても、変な人ではないというよ
うに思っていただけるようです。
(生態学・環境研究科 由良 浩)
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4.研究室から−123 「ネズミにひかれる」
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 大利根分館で学芸員をしている年女の秋山笑子です。今年めでたく還暦60歳を迎え
ました。
 干支の一番最初は子(ネズミ)ですが、ネズミにどんなイメージをお持ちですか?
 私のネズミに対するイメージが変わったきっかけをご紹介したいと思います。
 博物館に勤めて間もない頃、千葉県立房総のむらの下総の農家で機織りの担当とな
り、織子として機織りをしていました。とある午後、機小屋で一人、からんだ木綿糸
をほどこうと糸車で格闘している時です。来館した年配の男性から、「ネズミにひか
れないようにね」と声をかけられました。意味がわからず、「?」となっていると「
ネズミに連れていかれないようにということだよ」と教えていただきました。
 後で調べると、江戸時代の国語辞書である『俚諺集覧』にネズミに引かれるとは独
居など淋しいこととされており、古くから使われていることわざでした。また別に、
「ネズミが塩を引く」ということわざもあり、ネズミが塩を持っていくのは少量だが
何度も持っていかれると大量になるという意味であることも知りました。つまり、小
さなネズミが物を持っていく時は引きずっていくので、ネズミが物を持っていくのは
「引く」という表現を使うのです。そこから、家の中から突然人がいなくなってしま
った神隠しのような状況も、ネズミに引かれるというようです。私にとってネズミは
木造の家の屋根裏で夜になるとドタバタして眠りを妨げる害獣のイメージだったので、
人を異界に連れ去るような動物とは意外でした。自分のイメージだけで考えるのでは
いけないと、改めて教えていただいたエピソードです。
 まだ若かりし頃の私が夕暮れ近い小屋で一人作業をしている姿は、ネズミに連れ去
らわれてしまいそうに見えたのかもしれません。今の私ではネズミが引いていくのは
難しいに違いありません。引かれる前にネズミは虎女に食べられてしまいます
・・・ おあとがよろしいようで。
 (大利根分館 秋山笑子)

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 千葉県立中央博物館
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