千葉県立中央博物館メールマガジン バックナンバー
★ ちば中央博メール 2022年5月号 ★
配信日時:2022/05/10 08:00
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    ちば中央博メール 2022年5月号(2022年5月10日発行・第189号)
        http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

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目 次
1.お知らせ
2.イベント情報
(1)中央博物館本館・生態園
(2)大利根分館
(3)大多喜城分館
3.研究室から-126 「生態園で見つかったモクズガニのはなし」
4.研究室から-127 「民具の価値」
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1.お知らせ
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◆博物館の再開館について
 本館・生態園は10:00~16:30まで開館・開園しています。
 

講座・観察会については、新型コロナウイルスや自然災害などの対応により変更や中
止の可能性がありますので、くわしくはホームページをご覧ください。↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1520009714819/index.html


年間パスポートの期限延長を行っています。くわしくはホームページをご覧くださ
い。↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1584073375870/index.html#
年間パスポート

◆現在休止中の展示・サービス
・1階ホール
・「たいけんのもり」を含むハンズオン展示
・野鳥観察舎(生態園)
・団体受付(一般団体)
・図書閲覧サービス

※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
  
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1517539269054/index.html#k
aikanbi

なお、感染拡大の状況などにより変更が生じる場合がございます。ご了承くださるよ
うお願いいたします。

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2.イベント情報
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 (1)中央博物館本館・生態園
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■トピックス展 「五百沢智也(いおざわともや)氏が描いた房総の風景」
日時:~6月19日(日)
会場:第二企画展示室
内容:著名な鳥瞰図作家・氷河地形研究者である故・五百沢(いおざわ)智也氏(千
葉県一宮町)が、独自の視点で描いた鳥瞰図やスケッチ画を紹介するトピックス展を
開催中です。房総とその周辺の山や海岸、里山の風景など、県民にとって身近な地域
の自然を描いた作品を選び、その土地の成り立ちも含めて解説しております。

■生態園トピックス展「カエル」
日時:~5月15日(日)
会場:生態園オリエンテーションハウス
内容: 日本にはさまざまなカエルが暮らしています。生態園にも生息する種類から
千葉県では見られない種類まで、たくさんの個性的なカエルたちが一堂に会していま
す。

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(2)大利根分館 http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ 電話:0478-56-0101
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令和4年度のご利用について
開館期間:令和4年5月28日(土)-6月19日(日) ※期間中無休
上記期間以外は休館(見学不可)となります。
・団体見学の予約は開館期間のみ受け付けております。
・資料の貸し出し等については、電話(0478-56-0101)にてお問合せください。
(土・日・祝を除く)

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(3)大多喜城分館 http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ 電話:0470-82-3007
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大多喜城分館は施設改修のため、しばらくの間休館します。
※施設内はご覧いただけませんが、敷地内の研修館で「大多喜城と城下町」をテーマ
とした展示を開催しています(開館時間9:00-16:00)。

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3.研究室から-126 「生態園で見つかったモクズガニのはなし」
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 中央博が発行している研究雑誌「千葉県立中央博物館研究報告」の第15巻第2号に、
「千葉県立中央博物館生態園舟田池におけるモクズガニEriocheir japonica(十脚
目:短尾下目:モクズガニ科)の記録」という短報を書かせてもらいました。2020年
5月、当館の生態学・環境研究科の栗田研究員が生態園の舟田池脇にある水路にカニ
カゴを仕掛けたところ、小さなメスのモクズガニが採集されたというもので、生態園
では初めての記録でした。

 モクズガニは河川に棲むカニですが、生涯を淡水で過ごすサワガニとは違って、繁
殖のために川から海へ降りて行きます。モクズガニという名前は、はさみ脚に密に生
えている毛が「藻」に見えることが由来で、英名ではMitten crab(手袋をしたカニ)
と呼ばれています。流通量は限られますが、地域ごとに漁が行われており、味はたい
へん美味です。中国料理で人気の「上海ガニ」は、モクズガニに近縁のチュウゴクモ
クズガニを食材としています。

 モクズガニは、日本に生息するカニ類の中で、生活史が詳しく調べられている種類
のひとつです。生活史とは、ある生きものが誕生し、成長、繁殖ののち死んでいくま
での生涯の有り様、習性のことです。カニは一般的にゾエア幼生というプランクトン
として卵から泳ぎ出ますが、モクズガニのゾエア幼生がいつ生まれ、どのようなタイ
ミングで川を遡上し、淡水域ではどのように成長し、やがて海まで降下してからはど
のように繁殖をし、死を迎えるのか。モクズガニは、研究者の膨大な時間と情熱を投
入し、様々な角度から研究された種類なのです。

 本種の生活史を詳しく調べたこれまでの研究があったからこそ、「生態園にモクズ
ガニがどのようにやってきたのか?」という謎解きにたくさんのヒントを得ることが
できました。ほんの小さなの発見であっても、調べて、考えて、書きつないでいくこと
が、研究のおもしろさだと思います。

 (教育普及課 髙山順子)
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4.研究室から-127 「民具の価値」
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 地域の博物館や資料館で収集されてきた民具は、数十年前までは、農山漁村や町場
などの普通の生活の中で使われていた道具達です。では、なぜそんな道具を、「民俗
資料」として後世まで残す価値があるのでしょうか?

 日本の「文化財保護法」によれば、わが国の文化財のうち、有形のものには2つの
種類があります。「有形文化財」と「有形民俗文化財」で、この2つは、基本的な価
値基準が異なっています。有形文化財とは「我が国にとって歴史上又は芸術上価値の
高いもの」と規定されていますが、一方、有形民俗文化財は「我が国民の生活の推移
の理解のため欠くことのできないもの」と規定されています。つまり、民俗文化財ま
た民俗資料とは、1点ものの美しい美術品や歴史史料とは異なり、日本人が各地の特
色ある風土の中でどのように暮らしてきたのか、その暮らしぶりの変遷を後世に伝え
るためのものなのです。人びとの生活と共にあったものだからこそ価値があると言え
るでしょう。しかしこうした民具は、意識的に保存し、また使い方や作り方も記録し
ていかなければ、誰も気付かないうちに忘れ去られ、消えていってしまいます。

 「民具」という言葉を作ったのは、近代資本主義の父、渋沢栄一の孫で後継者でも
あった渋沢敬三です。財政界にあって日本の経済に関与しながら、多くの民俗学・民
族学者をバックアップし、自ら研究も行い、そして「常民」文化を理解するための手
段として民具の重要性を唱えました。

 民具の多くは、長い時間の中で先人たちが土地土地の自然環境から会得した様々な
経験識や技術を背景に、作り、使われてきたものです。失くしてしまうにはあまりに
も惜しい、日本人の財産です。
(大利根分館 榎 美香)
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 電話:043-265-3111 FAX:043-266-2481
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