千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第209号
配信日時:2022/07/01 08:30
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第209号
                          2022年7月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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 海の博物館は、新型コロナウイルス感染防止対策を講じた上で開館していま
す。入館時には、引き続き体温計測、手指消毒等にご協力ください。また展示
室では間隔を空けてご観覧ください。

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│目次
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★7月、8月の主催行事のご案内
★研究員ノート -海は繋がっているのに...-
★海の博物館周辺の情報

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│★7月、8月の主催行事のご案内
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【展覧会】
 ●令和4年度収蔵資料展「九十九里浜の海の生きもの」
 房総半島の東岸に約60kmにわたって広がる九十九里浜は、日本でも有数の
規模を誇る砂浜海岸です。この展示では、九十九里浜に住む海の生きものに焦
点を当て、砂浜海岸にはどのような種類が住んでいるのか、砂浜の環境で生き
ていくために生きものたちはどのような生活をしているのかなどを紹介します。
・会期:7/16(土)~9/4(日)

【観察会】
  研究員の解説を聞きながら、自然の中で生きものをじっくりと観察します。
 保険料としてお一人様50円が必要です。
 荒天等の事情により、中止または日程や内容が変更となる場合があります。

 ●「親子で磯の魚を探そう」  講師 海の博物館研究員
 磯の潮だまりで見られる魚を捕まえて、その特徴や生態を紹介します。
 ・日時:7/29(金) 10:00~12:00
 ・対象:小学生と保護者
 ・定員:15名

【海の生きもの観察ツアー】
 研究員の案内で海の博物館の前の磯を歩き、さまざまな海の生きものを観察
します。磯観察初心者向けのミニ観察会です。
 ・日時:7/ 3(日) 13:00~14:00
          7/16(土) 12:00~13:00
     7/17(日) 13:00~14:00
          7/31(日) 11:30~12:30
     8/10(水)  9:30~10:30
          8/27(土) 10:30~11:30
 ・対象:小学生以上(小学生は保護者同伴)
 ・定員:各回15名

【みんなで工作 海の生きもの】
 海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。 
 ・対象:5才以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・定員:各回16名   ・材料費:一人50円
 ・時間:①10:45~11:45 ②13:30~14:30

 ●「海で見つけた材料でオリジナルオブジェを作ろう」
 海で見つけた材料でオリジナルフォトフレームを作ります。
 ・開催日:7/24(日)、8/7(日)

 ●「海藻おしばを作ろう」
 色とりどりの海藻を使って海藻おしばを作ります。
 ・開催日:8/21(日) 


≪参加方法≫
 行事ごとに、以下を明記の上、開催日2週間前必着で、海の博物館あてに
ハガキ・FAX・電子メールのいずれかでお申し込み下さい。
  定員を越えた場合は抽選となります。抽選結果はご連絡いたします。
   ※博物館ロビー受付でもお申し込みいただけます。

・記入事項(希望者全員の情報を記入)
  1.氏  名
  2.住  所(郵便番号も)
  3.電話番号
  4.年  令
  5.ご希望の行事名と日時

≪お申し込み・お問い合わせ先≫
  千葉県立中央博物館分館海の博物館
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
   電話 0470-76-1133  FAX 0470-76-1821
   電子メール umihaku@chiba-muse.or.jp

※野外で行われる観察会は、保険料としてお一人50円が必要です。
※荒天等の事情により、中止または日程や内容が変更となる場合があります。
※新型コロナウイルスの感染状況によっては、中止となる場合があります。

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│★研究員ノート  -海は繋がっているのに...-
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 私たちは「千葉県の海にはどんな顔ぶれの生きものがくらしているのか」を
日々調査しています。狭い範囲の中でじっくりと海の生きものを調べていると
、三方を海に囲まれた千葉県にはまだまだ調査をしていない水域が残っており
、途方もなく広く感じます。共生性エビ類を中心とした甲殻類の分類を専門と
する筆者は、これらのエビの宿主となる動物が多いことから、海の博物館のあ
る勝浦や、その南西に位置する鴨川、南端に近い館山(東京湾側)、その北に
ある鋸南町の浅海で集中的に標本の採集をしてきました。これらの場所を比較
すると、県内で黒潮の影響を最も強く受ける館山や鋸南町にはやはり熱帯性の
生きものが多く、鴨川も似たような顔ぶれが見られますが、緯度がやや高い勝
浦まで分布している熱帯種はその他の場所に比べると少なくなる傾向が見られ
ました。これらの海を比較して気がついたのは、勝浦と鴨川には「コマチイバ
ラモエビ」というウミシダに共生する小さなエビと、「フタバゴイシガニ」と
いう砂礫底に潜ってくらすオウギガニ科の一種が多いにもかかわらず、これら
2種は館山と鋸南町ではまったく見られないということです。どちらも温帯域
を好む種類で、水温の差でこのような分布の違いが生じているとは考えられま
せん。さらに、相模灘を挟んで房総半島の「対岸」に位置する伊豆半島に着目
すると、コマチイバラモエビとフタバゴイシガニは東伊豆のダイビングポイン
トでは見つかっていますが、西伊豆側(駿河湾)ではこれまでにこれらの記録
がありません。房総半島伝いに分布を広げてもおかしくない館山や鋸南町では
見られず、相模灘を挟んだ東伊豆と共通するという分布パターンはなぜ生じる
のか、理由はよくわかりません。フタバゴイシガニの場合、好みの底質が泥や
細かい砂ではなく、貝殻混じりの砂礫底ですので、このような砂の溜まった場
所がこれまでに調査した館山や鋸南町などの東京湾側にはなかったということ
のようです。ちなみに、房総半島と伊豆半島の間に位置する伊豆大島ではこれ
らのエビ・カニが確認されています。逆に、同じく両半島の間にある三浦半島
ではこれら2種は確認されていません。いくつかの地点に基づきその傾向を抑
えただけですが、海は繋がっているのにこのような違いが見られる原因を解明
したいものです。が、筆者も定年までのカウントダウンが始まった歳になり、
どこまで未踏の水域で調査できるかどうか...。
*コマチイバラモエビは『海の生きもの観察ノート15 千葉県でみられるカク
レエビたち』をご覧ください。
                    (主任上席研究員 奥野 淳兒)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】

・かつうら海中公園海中展望塔
    海の博物館の真ん前にあります。水深8mの海中展望室から季節ごとの魚や
 海底の様子を楽しむことができます。
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾174
   http://www.katsuura.org/index.php 

・勝浦朝市は通常どおり(6時半頃~11時頃・水曜休み)開催されています。
  詳しくは勝浦市観光協会のホームページをご覧ください。
  〒299-5233 千葉県勝浦市浜勝浦319
   https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/

【施設情報】

・勝浦市郷土資料室
  勝浦市立図書館の中に開設されました。郷土の歴史や文化財などをそれ
 ぞれのテーマを設けて展示紹介しています。
  休室日:月曜日・祝日・年始(図書館の休館日と同じ)  
  問合せ先:勝浦市教育委員会生涯学習課生涯学習係
  〒299-5235 千葉県勝浦市出水1297     0470-73-6665

・勝浦海中公園無料休憩所
  新たな施設の建設のため廃止となりました。

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今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうござ
いました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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の可能性も指摘されていますので、ご留意ください。)

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