千葉県立関宿城博物館メールマガジン バックナンバー
せきはくマガジン第194号(272)
配信日時:2022/10/21 10:57
千葉県立関宿城博物館メール情報∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

せきはくマガジン

http://www2.chiba-muse.or.jp/SEKIYADO/
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞第194号(272) 2022年10月21日∞
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 もくじ
[1]11月のイベント情報及び11月の休館日について
[2]お知らせ
[3]せきはく豆事典「浮世絵の中の汐汲み」
[4]季節だより
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[1]11月のイベント情報及び11月の休館日について

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、講座等のイベントにつきましては、
 中止や内容等の変更が生じることがあります。新しい情報につきましては、随時
 ホームページでご確認をお願いいたします。
 また、入館の際にはマスクの着用と検温にご協力ください。
 
●開館時間 9時~16時30分

◇11月3日(木・祝)は、11月3日(木・祝)は、文化の日で入場が無料となります。
 ぜひお出かけください。◇
                       

★(1)企画展「関東 塩ものがたり」
    江戸時代、市川市行徳の浜は塩田が広がる関東随一の塩の産地でした。本企画展
   では、原始・古代からの塩作りの技術から始まり、行徳塩田の興隆と瀬戸内産の塩
   との攻防、舟運の果たした役割など、関東地方における塩の生産・流通の歴史を紹
   介します。
  期  日   9月30日(金)〜11月27日(日)
       (月曜休館。月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館。)
  時  間   9時~16時30分
  場  所   2階企画展示室
  入場料  一般300円、高大生150円、中学生以下・65歳以上・
        障害者手帳などをお持ちの方とその介護者は無料
        ※企画展会期中は別料金になります。



★(2)体験教室「関宿城下を歩こう(河川コース)」
    千葉県立関宿城博物館の周辺にある史跡を徒歩でめぐります。当館の学芸員が案内
   し、解説します。
  期  日   11月6日(日)
  時  間   10時~12時
  場  所   【集合場所】集会室
       【見学場所】博物館周辺の史跡(中之島公園、関宿水閘門、浚渫船、
             情報・防災ステーションごか)
  定 員  30名
  対 象  一般
  参加費  50円
  申込み  募集中

★(3)企画展関連事業 体験教室「海の塩で絵を描こう!」
    塩水で絵を描いて乾かすと、塩の結晶で輝く絵が浮き上がります。
  期  日   11月13日(日)
  時  間   11時~12時、14時~15時
  場  所   エントランスホール
  定 員  各10名(先着順)
  対 象  一般
  参加費  無料

★(4)博物館セミナー「迅速測図と治水地形分類図から推定する利根川等の河道変遷の履歴」
    当館の調査協力員、市川幸男氏による博物館セミナーです。関東平野の中央を流れる
   利根川等の河川の流路は、海水面の上下変動や火山の噴出物などの影響を 受け、また
   河道流路の付け替えなどにより、大きく変遷しています。今回は明治  初期に陸軍で
   作成された迅速測図と、昭和51年に国土地理院等で作成された治水地形分類図を基に主な
   河道の変遷の履歴について、概略を紹介します。
  期  日   11月20日(日)
  時  間   13時30分〜15時30分
  場  所   集会室
  定 員  30名
  参加費  100円
  申込み  募集中

★(5)展示解説会「関東 塩ものがたり」
    開催中の企画展「関東 塩ものがたり」について、展示解説をします。
  (※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、集会室でスライドを使用して解説
   します。見学は各自でお願いします。)
  期  日   11月23日(水・祝)
  時  間   (1)11時~、(2)13時30分〜(いずれも20分程度)
  場  所   集会室
  定 員  20名(先着順)
  参加費  入場料
  申込み  自由参加


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◆◆◆11月の休館日について◆◆◆
11月7日(月)・14日(月)・21日(月)・28日(月)・29日(火)
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[2]お知らせ
○11月3日(木・祝)の企画展関連講演会「関東における塩の生産と流通」は、
 定員になりました。
○訂正
  先月のメルマガ(第193号(271))のせきはく豆事典「鹹水(かんすい)のなぞ」
 の「かん水」が、環境依存文字のため正しく表記されませんでした。お詫び申し
 上げます。
  正しくは、「木偏に見る(水を通し導くための木や竹でできた筒の意味)」
 「石偏のかん(アルカリ性などの意味)」「塩偏のかん(塩の意味)」「土偏の
 かん(平らでない、水を貯めるところの意味)」「石偏のかん(アルカリ性など
 の意味)」です。

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[3]せきはく豆事典「浮世絵の中の汐汲み」
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 現在開催中の企画展「関東 塩ものがたり」では、多くの彩色図も展示しています。
それらは内容から4つに区分できます。以下に各区分と今回展示している代表的な
資料名を示します。
(1) 製塩法を説明するとともに記録に残す目的で作成されたもの
 『製塩並〆粕図解』(国文学研究資料館蔵)、『千葉県行徳製塩之真図』(たばこ
 と塩の博物館蔵)、『行徳浜塩製造図絵』(那須嘉郎氏蔵)など
(2) 絵の中に製塩風景が描写されているもの
 『鹿島参詣記』、『利根川名所図会』(以上船橋市西図書館蔵)、『江戸名所図絵』
 (当館蔵)など
(3) 製塩を題材とした大和絵や浮世絵
 『文正草紙』、安藤広重『汐汲み』、月岡雪斎『汐汲みの図』(以上たばこと塩の
 博物館蔵)など
(4) 製塩地及びその周囲の地図
 『関ヶ浜村塩浜田畑絵図』(市立市川歴史博物館蔵)、『本行徳駅絵図』(船橋市
 西図書館蔵)など
 
 このうち、(3)の安藤広重『汐汲み』(しおくみ)には砂浜にいる二人の若い女性が
描かれています。一人は2つの木桶を担ぎ棒にかけて、担いで歩いています。木桶の中
には海水が入っています。もう一人は2つの木桶に渡した担ぎ棒に腰をかけて休憩して
います。木桶の中に海水は入っていないようです。女性たちは裸足で、質素な身なりで、
腰に蓑(みの)を着けており、製塩のために海水を汲む「汐汲み」をしているところを
写実的に描いているようにも見えます。しかし、よく見ると奥の藁葺きの建物の中には、
烏帽子(えぼし)をかぶった身分の高そうな男性が座っていることから、謡曲や歌舞伎
舞踊の「松風・村雨」の物語を題材に描いた作品だと考えられます。月岡雪斎『汐汲み
の図』も、描かれている女性は一人ですが、やはり「松風・村雨」によっているものと
思われます。
 この「松風・村雨」の物語の概要は次のようなものです。天皇の怒りに触れて須磨
(現在の兵庫県神戸市須磨区)へ流された在原行平(六歌仙の一人で『伊勢物語』の作者
である在原業平の兄)は、汐汲みにでかけていた村の娘「もしほ」と「こふじ」に出会い
ます。行平は二人に「松風」と「村雨」と名前をつけて愛しましたが、やがて天皇から
許され都に帰ることになます。そして別れの際には、松の木に自分の烏帽子と狩衣を残し
て去って行きました。『古今和歌集』にある「立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつと
し聞かばいま帰り来む」の歌も、この離別の際のものとされています。松風・村雨姉妹は
その後尼となって行平の旧居に庵(いおり)を建てて住み、行平を偲(しの)んだという
ことです。
 たばこと塩の博物館刊の『浮世絵版画図録目録』には、汐汲みを描いた浮世絵版画12作
が掲載されています。浮世絵師として著名だった勝川春草、勝川春好、歌川豊国、葛飾北斎、
菊川英山、豊原国周の作品もありますが、その全てが「松風・村雨」にちなんだもので、
中には明らかに歌舞伎の舞台姿を描いた作品もあります。このように、浮世絵に描かれて
いる塩づくりは、必ずしも実際の製塩の様子を表現したものではありません。しかし、芝居
や浮世絵の題材になっているということは、取りも直さず塩づくりが昔の人々にとって生活
に密着した、大変重要な作業だったことを示していると言えるでしょう。
 企画展「関東 塩ものがたり」は11月27日まで開催しております。今回ご紹介した浮世絵を
始めとした彩色資料の他にも、さまざまな資料を展示していますので、ぜひご来館の上ご覧
ください。ただし、資料保護の観点から展示期間を限定しているために、ご来館時期にご覧
いただけない資料もありますので、ご了承ください。
 (参考文献:たばこと塩の博物館『浮世絵版画図録目録』2011年 参考サイト:「たばこ
と塩の博物館/たばこと塩あれこれ/ミュージアムコレクション/塩/塩づくりを描いた絵画」
<https://www.tabashio.jp/collection/other/salt/s7/index.html>2022年10月12日16時45分
参照・「俺の日本舞踊/演目解説/長唄『汐汲(しおくみ)』の歌詞と解説」
< https://oreno-nihonbuyou.com/shiokumi/ >2022年10月12日16時51分参照・「Wikipedia
/松風・村雨」< https://ja.wikipedia.org/wiki/松風・村雨>2022年10月13日13時27分参照)                       

                                  (萩野 康則)                                                    
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[4]季節だより
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 都心では88年ぶりの寒さを記録しました。急な寒さで体調を崩しませんようご自愛くだ
さい。
 さて、企画展「関東 塩ものがたり」が開催中です。江戸時代の市川市行徳の塩の生産、
流通などを紹介しています。芸術の秋に博物館に行ってみませんか?
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      千葉県野田市関宿三軒家143-4 TEL 04-7196-1400  FAX 04-7196-3737
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○メールの内容についての問い合わせ: sekiyadohaku@chiba-muse.or.jp
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