千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
『海からのたより』第213号
配信日時:2022/11/01 08:30
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第213号
                          2022年11月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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 海の博物館は、新型コロナウイルス感染防止対策を講じた上で開館していま
す。入館時には、引き続き体温計測、手指消毒等にご協力ください。また展示
室では間隔を空けてご観覧ください。

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│目次
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★11月、12月の主催行事のご案内
★研究員ノート - ハマダンゴムシの棲む砂浜から考えること… -
★海の博物館周辺の情報

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│★11月、12月の主催行事のご案内
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【展覧会】
●海のアート展 -真綿でつくるゆらゆらクラゲ-
 真綿で制作したクラゲ等の海の生きものの作品を主体として、作品の対象と
なった実際の生きものの解説パネルを展示し、海の生きものの魅力に迫ります。
また、真綿作品の制作方法も紹介し、生きものをじっくりと観察しながらその
形を再現する楽しさを伝えます。
・作品協力:熊田さやか(クラフト作家)
・会期:~2023/1/15(日)

≪お問い合わせ先≫
  千葉県立中央博物館分館海の博物館
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
   電話 0470-76-1133  FAX 0470-76-1821
   電子メール umihaku@chiba-muse.or.jp

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│★研究員ノート  - ハマダンゴムシの棲む砂浜から考えること… -
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 今年の5月、ハマダンゴムシに出会いました。人生初です。その存在は知っ
ていたのですが、今まで会う機会がありませんでした。どこの砂浜にもいるわ
けではないのです。棲息条件があるということです。
 浜に棲むダンゴムシだから、ハマダンゴムシ。それとは逆に陸に棲むからオ
カダンゴムシなのでしょうか。ダンゴムシの和名の由来について調べてみるこ
とにしました。すると、1927(昭和2)年『日本動物図鑑』で、ダンゴムシの
和名が使われていました。しかし、学名と記載から判断して、ハマダンゴムシ
のことを示しています。1943(昭和18)年の岩本嘉兵衛の論文では、オカダン
ゴムシがテマリムシとして記載されていました。ここでは、農作物の害虫とし
ての論文なのでハマダンゴムシの記載がありません。1947(昭和22)年、戦後
すぐに出版された『改訂増補版日本動物図鑑』では、ハマダンゴムシの和名が
みられます。この図鑑以降、ハマダンゴムシとオカダンゴムシの和名が一般化
してきたと考えられます。今では、ダンゴムシといえば、オカダンゴムシをさ
しますが、戦前は逆にハマダンゴムシのことをダンゴムシとよんでいたのかも
しれません。ヨーロッパ原産で、明治時代に初めて日本にやって来たオカダン
ゴムシが、まだ全国に広まっていなかったとも考えられます。
 5月から採集と飼育を始め半年ほど経ちました。棲息の確認ができた場所は、
県内3か所と県外2か所になりました。それぞれの棲息場所に共通点がないか
考えてみると、いくつか気になる点がありました。一つ目は、砂の粒の大きさ
です。細かいというより粗い。サラサラではなく、ザラザラなのです。砂の粒
の大きさが砂に潜る行動と関係しているのではないかと思います。飼育下では、
砂に潜った痕が残ります。海水を飲ませようと置いてある皿の周りの砂が盛り
上がり活発に動いた形跡がみられます。残念ながら、活動時間が深夜なので観
察するには工夫が必要です。そして、二つ目は、地形です。外海に開けている
波当たりが強い海岸にはいないのです。内海であったり、入り組んだ浦の地形
であったりすることが関係していると思います。海藻の漂着や潮流の影響など
棲みやすい環境が必要なのです。昔からの自然が多く残る砂浜に棲むハマダン
ゴムシ。そのため、観光目的のインフラ整備や防災のために砂浜が護岸工事に
より形を変えたり、無くなったりすることで棲む場所を失っているのではない
でしょうか。
 ハマダンゴムシは、日中姿を現すことがないため、今まであまり関心をもた
れていなかったのでしょう。昨今の環境問題と関連付け新たな視点から考えて
みると、その他の棲息条件を突き詰めていくことが必要です。先行調査研究の
論文や同僚の研究者の情報をもとに調査を続けていきたいと思います。
                       (上席研究員 松本光史)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】

・かつうら海中公園海中展望塔
    海の博物館の真ん前にあります。水深8 mの海中展望室から季節ごとの魚
 や海底の様子を楽しむことができます。
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾174
   http://www.katsuura.org/index.php 

・エデン(eden)
    海の博物館前、レストラン、ショップと天然温泉スパを併設した複合施設。
  〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾272     0470-64-6370

・勝浦朝市は通常どおり(6時半頃~11時頃・水曜休み)開催されています。
  詳しくは勝浦市観光協会のホームページをご覧ください。
  〒299-5233 千葉県勝浦市浜勝浦319
   https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/

【施設情報】

・勝浦市郷土資料室
  勝浦市立図書館の中に開設されました。郷土の歴史や文化財などをそれ
 ぞれのテーマを設けて展示紹介しています。
  休室日:月曜日・祝日・年始(図書館の休館日と同じ)  
  問合せ先:勝浦市教育委員会生涯学習課生涯学習係
  〒299-5235 千葉県勝浦市出水1297     0470-73-6665

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今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうござ
いました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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の可能性も指摘されていますので、ご留意ください。)

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