千葉県立中央博物館メールマガジン バックナンバー
★ ちば中央博メール 2022年11月号 ★
配信日時:2022/11/10 08:00
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    ちば中央博メール 2022年11月号(2022年11月10日発行・第195号)
        http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

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目 次
1.お知らせ
2.イベント情報
(1)中央博物館本館・生態園
(2)大利根分館
(3)大多喜城分館
3.研究室から−133 「博物館の定義の改定」
4.研究室から−134 「遠ざかる足音—流行性感冒にたおれた医師たち—」
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1.お知らせ
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◆博物館の再開館について
 本館・生態園は9:00〜16:30まで開館・開園しています。
 
講座・観察会については、新型コロナウイルスや自然災害などの対応により変更や中
止の可能性がありますので、くわしくはホームページをご覧ください。↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1520009714819/index.html

◆現在休止中の展示・サービス
・「たいけんのもり」

※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
  
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1517539269054/index.html#k
aikanbi

なお、感染拡大の状況などにより変更が生じる場合がございます。ご了承くださるよ
うお願いいたします。

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2.イベント情報
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 (1)中央博物館本館・生態園
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■令和4年度秋の展示「おはまおり−海へ向かう神々の祭」
日時:〜令和5年1月9日(月・祝)
会場:第1企画展示室ほか
内容:東日本の太平洋岸で広く行われる「おはまおり」。神々はなぜ海へ向かうの
か。
海とともに生きてきた人々の暮らしや祭礼文化から、房総のおはまおりの謎と魅力に
迫ります。

■ミニトピックス展「習志野隕石」
日時:〜令和5年3月26日(日)
会場:中央博物館 第1ホール(素掘りトンネル前)
内容:令和2(2020)年7月2日に千葉県習志野市及び船橋市に落下した「習志野隕
石」の一部(2号標本の片側)が当館に寄託されることになりましたので、あらため
て展示しております。

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(2)大利根分館 http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ 電話:0478-56-0101
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・大利根分館は本館への機能集約に向けて休館しております。
(館内の見学もできませんので、ご了承くださいますようお願いします。)
・資料の貸し出し等については、電話(0478-56-0101)にてお問合せください。(土
・日・祝を除く)

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(3)大多喜城分館 http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ 電話:0470-82-3007
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大多喜城分館は施設改修のため、しばらくの間休館します。
※施設内はご覧いただけませんが、敷地内の研修館で「大多喜城と城下町」をテーマ
とした展示を開催しています(開館時間9:00-16:00)。

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3.研究室から−133 「博物館の定義の改定」
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 今夏、「博物館の定義」が15年ぶりに改定されました。2022年8月24日午後(日
本時間夜)、チェコ共和国の首都プラハで行われていた国際博物館会議(ICOM)の臨
時総会で、ICOM規約第3条第1項の改定案が採択されたのです。ICOM(1946年創
立、本部はパリ)は博物館の分野では世界最大の国際NGO(非政府組織)で、世界
142の国と地域からの約46,000人の博物館職員と約3,000の博物館が会員です(数字
は2021年)。わたしは1994年以来の個人会員で、今回は現地参加が叶いませんでし
たがオンラインで参加して、世界中の仲間とその瞬間を共有できました。
 定義がどれほど変わったのか、2007年定義と今回改定された定義を比べてみまし
ょう。
★2007年8月改定(ウィーン)(ICOM日本委員会訳)
博物館とは、社会とその発展に貢献するため、有形、無形の人類の遺産とその環境を、
教育、研究、楽しみを目的として収集、保存、調査研究、普及、展示する公衆に開か
れた非営利の常設機関である。
★2022年8月改定(プラハ)(ICOM日本委員会による仮訳)
博物館は、社会に奉仕する非営利の常設機関であり、有形及び無形の遺産を研究、収
集、保存、解釈し展示する。一般に公開された、誰もが利用できる包摂的な博物館は、
多様性と持続可能性を促進する。倫理的かつ専門性をもって、コミュニティの参加と
ともにミュージアムは機能し、コミュニケーションを図り、教育、楽しみ、考察と知
識の共有のための様々な体験を提供する。
 改定された定義には、包摂(的)、多様性、持続可能性、コミュニティの参加など、
現代の社会課題に即した単語が数多く使われていて、博物館の活動を通じて地域社会
や地球の課題解決に貢献したいという強い意思が感じられます。そのことに世界の博
物館職業人が合意した、歴史的な改定と言えるでしょう。世界の博物館の動きにご注
目ください。
 実は、博物館に関する個別の法律を有している国は多くはありません。日本は日本
国憲法(1946)、教育基本法(1947)、社会教育法(1949)、図書館法(1950)に続い
て、1951年に博物館法を制定しました。以来70年を過ぎ、その博物館法が今年4月
に大きく改正され、来年2023年4月1日に施行されます。この法改正を受けて国内
の博物館がどう活動していくか、こちらにも注目、そして参加・応援いただければと
思います。
(環境教育研究科 林 浩二)
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4.研究室から−134 「遠ざかる足音—流行性感冒にたおれた医師たち—」
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 アメリカ中西部に発し、全世界を襲った流行性感冒(H1N1インフルエンザウィルス)
は、大正7年(1918)秋には日本本土にも拡大し、同年10月、ついに千葉県でも初発事
例が報告された。以後、翌年5月に一旦終息するまでの間(「前流行」と称された)、
人口約145万人(大正6年)の千葉県でも、総患者数(発症者数)約30万人、死者約
3500人を算えた。「体質の頑丈な者はけろりと直る」(内務省防疫官田村瑞穂)とも評さ
れたが、流行性感冒は3〜4日の潜伏期間の後、高熱・咳・倦怠・神経痛・筋肉痛・
関節痛・全身衰弱に加え、嘔吐・鼻血・吐血・脳炎・脊髄炎、それに重篤な気管支炎・
肺炎を併発し、心臓麻痺すらひき起こした(内務省編『流行性感冒』)。
 治療薬・治療法はおろか、病原体の正体さえつかめず、罹患者とその家族は恐慌を
来し、一部が医療機関に殺到したことから、適切な感染対策が施されないまま、医師
らとその家族にも犠牲者が出た。県立千葉病院(現千葉大学病院)の長尾美知副院長
兼第一内科部長が罹患するや、夫人(38)も10月26日に発症、翌27日午後11時に心
臟麻痺で死亡した。三輪徳寛院長(千葉医学専門学校長を兼任)の信頼厚い長尾であ
ったが、翌年2月回復するも退官。医員全員が罹患した第一・第二内科は、11月中旬
に入って、柏戸留吉第二内科部長(後の柏戸病院長)、小柾・岩月両医師(司療医)ら
は次第に回復したが、内科診療は繁忙を極めたという。「前流行」も漸く終息に向かい
つつあった翌年2月15日、湧島雅蔵小児科部長(45)が発症、21日には昏睡状態に
陥り入院。「両肺を冒されたからモウ駄目だ」と覚悟した湧島は、翌日午後2時、肺炎
にて死去。遺言に依り、千葉医学専門学校に献体された。湧島を看取った伊東徹太皮
膚科泌尿器科部長も前後して罹患し回復するも、余病を併発して重態となり、のち勝
浦に転地療養を試みたが、帰らぬ人となった。湧島の治療にあたった柏戸も重篤な肺
炎を再発するが回復。のち、病院の創設運営と後進の育成に情熱を傾けた。 
 千葉・東葛飾地域から郡部に感染が拡大するにつれ、医療陣の犠牲も拡大した。多
古町の高岡英祐医師は流行性感冒に感染し、大正7年11月9日に肺炎で死亡。匝瑳
郡の最上倉蔵・市川重平両医師も重態に陥った。
 この病状に不慣れな医療陣(県議)、患者層の貧困(県内務部長)、不足する治療薬
と「風邪」と軽視する風潮(日刊紙「萬朝報」)に悩みつつ、医師たちは未知の感染
症と対決していった。今から100年前のことである。
(歴史学研究科 内田龍哉)
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 千葉県立中央博物館
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