千葉県立中央博物館メールマガジン バックナンバー
★ ちば中央博メール 2023年1月号 ★
配信日時:2023/01/10 08:00
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    ちば中央博メール 2023年1月号(2023年1月10日発行・第197号)
        http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

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目 次
1.お知らせ
2.イベント情報
(1)中央博物館本館・生態園
(2)大利根分館
(3)大多喜城分館
3.研究室から−138 「ため池でのアメリカザリガニ低密度管理」
4.研究室から−139 「ヤドリギを食べる虫」
5.研究室から−140 「秋の展示によせて」
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1.お知らせ
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◆博物館の再開館について
 本館・生態園は9:00〜16:30まで開館・開園しています。
 
講座・観察会については、新型コロナウイルスや自然災害などの対応により変更や中
止の可能性がありますので、くわしくはホームページをご覧ください。↓
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1520009714819/index.html

◆現在休止中の展示・サービス
・「たいけんのもり」

※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
  
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1517539269054/index.html#k
aikanbi

なお、感染拡大の状況などにより変更が生じる場合がございます。ご了承くださるよ
うお願いいたします。

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2.イベント情報
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 (1)中央博物館本館・生態園
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■令和4年度出土遺物公開事業「柏北部東地区の遺跡展」
日時:令和5年1月21日(土)〜令和5年2月26日(日)
会場:第1企画展示室
内容:千葉県教育振興財団は、平成10年から約20年間にわたりつくばエクスプレス
の路線開発にともなって、柏たなか駅周辺の発掘調査を行ってきました。今回はその
調査成果として、旧石器時代から中・近世に至るまでの各時代を代表する考古資料を
紹介します。

■ミニトピックス展「習志野隕石」
日時:〜令和5年3月26日(日)
会場:中央博物館 第1ホール(素掘りトンネル前)
内容:令和2(2020)年7月2日に千葉県習志野市及び船橋市に落下した「習志野隕
石」の一部(2号標本の片側)が当館に寄託されることになりましたので、あらため
て展示しております。

■トピックス展「こんなに変わった植物の分類!-DNAをもとにした新たな系統-」
日時:令和5年2月4日(土)〜令和5年4月9日(日)
会場:第2企画展示室
内容:被子植物を題材に、DNAの塩基配列を基にした新しい分類体系(APG分類)
で大きく変更になった部分を取り上げ、写真や標本を用いて紹介します。

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(2)大利根分館 http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ 電話:0478-56-0101
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・大利根分館は本館への機能集約に向けて休館しております。
(館内の見学もできませんので、ご了承くださいますようお願いします。)
・資料の貸し出し等については、電話(0478-56-0101)にてお問合せください。
(土・日・祝を除く)

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(3)大多喜城分館 http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ 電話:0470-82-3007
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大多喜城分館は施設改修のため、しばらくの間休館します。
※施設内はご覧いただけませんが、敷地内の研修館で「大多喜城と城下町」をテーマ
とした展示を開催しています(開館時間9:00-16:00)。

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3.研究室から−138 「ため池でのアメリカザリガニ低密度管理」
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 生態園の舟田池では、水位操作による生態系撹乱の創出を通じた水環境保全を検証
しています。池水環境の保全には、定期的な水干し・かいぼり実施が最善です。しか
し、ため池の多くでは、利水・治水・親水の各機能に関する関係者間の調整、費用、
許認可等の問題があり、かいぼり実施は容易ではありません。舟田池では、かいぼり
の代替え策としての水位攪乱を、生態環境工学の視点で20年以上継続しています。
 冬に池の水位を徐々に下げると、穴に籠っていたアメリカザリガニが水を求めて夜
に這い出し移動します。夜行性のゴイサギは移動中のアメリカザリガニを捕食しま
す。
低水位はアオサギ、ダイサギ、カイツブリ、カワセミ等のアメリカザリガニ捕食にも
役立ちます。 
 水位低下を毎年繰り返すと、当初数羽だったゴイサギは年々数を増やし、最大84羽
にまで増えました。ゴイサギたちの口コミ効果でしょうか? 近年では餌となるアメ
リカザリガニが減少しゴイサギの数も少なくなりました。
 水位攪乱でアメリカザリガニを根絶することはできませんが、低密度管理が可能で
す。アメリカザリガニ減少→芽生えを切断されず水草が増加→水草を隠れ家として利
用するミジンコが増加→ミジンコの濾過摂食能によりアオコなど植物プランクトンが
減少→ミジンコを餌にするトンボ等の水生生物が種類・密度共に増加、などの連鎖を
確認できています。
(環境教育研究科 林 紀男)
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4.研究室から−139 「ヤドリギを食べる虫」
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 冬を迎え葉を落としたケヤキなどの落葉樹の枝に丸い塊がついていることがある。
あれはヤドリギという寄生植物である。ヤドリギは土の上に生えることはできず、落
葉樹の枝に寄生根を差し込んで水と無機養分を得て生きる。その生態に興味を持って
研究しているが、樹上にしか生育しないヤドリギを間近で観察することは簡単ではな
い。だから私は木に登る。樹上はまだまだ未知の世界だ。6年前の夏、樹上でヤドリ
ギを食い荒らしているたくさんの毛虫を見つけた。見たこともない毛虫だったので採
集して飼育したところ、1ヶ月ほどして羽化したのはフタホシドクガというガがであ
った。フタホシドクガはとくに珍しい種ではないが、これまでに誰もその幼虫を見た
ことがなく、幼虫の餌も未知であった。無理もない。この毛虫は木に登らなければ見
られないのだから。この発見を論文として発表し、その知見は最新の図鑑にも掲載さ
れた。千葉県内には他の樹木の枝に寄生する植物はヤドリギの他にオオバヤドリギ、
マツグミ、ヒノキバヤドリギの3種がある。これらを食べている昆虫もきっといるに
違いないと考えて、私はせっせと木に登っている。新発見を求めて樹上世界を探検す
るのは楽しい。他にも思わぬ発見があるに違いない。
(生態学・環境研究科 尾崎煙雄)
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5.研究室から−140 「秋の展示によせて」
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 中央博物館は2回目の配属で、1回目とあわせて計10年間勤務しました。その間、
いろいろな展示に関わりましたが、最後に、秋の展示「おはまおりー海に向かう神々
の祭−」を担当させていただいたこと、大変ありがたく感謝しています。
 「おはまおり」のテーマとの関わりは、文化財課に配属されていた平成27、8年頃
に遡ります。当時、文化庁が募集していた日本遺産に、房総の海の文化で手をあげら
れないかとの検討が行われ、国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」
である「房総のお浜降り習俗」の内容について、説明を求められました。しかし、当
時の文化財課にはデータが全くなく、記録選択となった平成6年から四半世紀経つに
も関わらず、全く調査の積み上げが行われていなかったことが顕になったのでした。
 実際、海に囲まれた房総において、「おはまおり」に代表される海の祭りは、人々
と海の関わりを象徴的に示す、重要な文化資源であり観光資源であろうと考えられ、そ
の内容について説明すべき資料を持たないことは、民俗文化財担当として内心忸怩た
るものがありました。とはいえ、文化財行政担当者が行える情報収集には限りがあ
り、いずれ博物館で、このテーマに取り組めないかと考えたのです。
 その後、幸い博物館勤務に戻りましたので、自らのミッションと思いを定めるとと
もに、できればチームで取り組みたいと考え、令和2年度から3年間の重点研究課題
にするとともに、最終年度にまとめの展示を行いたいと手をあげたところ、採択され
たという次第です。
 折しも、令和元年秋に2つの大きな台風に見舞われ、2年の春からは新型コロナ感
染症が広がりました。この間、祭礼の実地調査をほとんど行うことができなかったこ
とは、残念でなりません。
 しかしまた、コロナ流行の波の間隙をぬって現地を訪れ、関係者の方々にお話しを
聞き、資料を拝見し、多くの方々のご協力により展示をまとめることができました。
同時に、房総のおはまおりについて、ある程度説明できるだけの知見は得られたと考
えています。
 今後は、コロナ終息後に再開されるであろう祭礼を実見し、調査データを整えて報
告書をまとめるところまで行いたい。それが、文化財行政と博物館の両方に関わって
きた私の責務だと考えているところです。
 それは、祭礼の主体である地域の解体をひしひしと感じているからでもあります。
「コロナ後も祭礼の再開は難しいかも」「10年後は無理」など、各地で聞く話が、祭
礼の時代の終焉を予告しているように感じられます。報告書を墓碑銘にしたくはあり
ませんが、ここで記録を残せなかったら、県の文化財行政も博物館も、後の世に、怠
慢とのそしりを免れないと思います。
 最後に反省点を述べることをお許しください。このテーマについての私個人の思い
を組織に拡げることができないことです。館の重点研究課題に採択いただいたにも関
わらず、個人の研究テーマ以上のものにできないことは、私の力不足であるとともに、
当館の課題と考えています。県の一組織としての博物館のあり方について、議論が深
まることを期待しています。
(歴史学研究科 小林裕美)
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 千葉県立中央博物館
 〒260-8682 千葉市中央区青葉町955-2
 電話:043-265-3111 FAX:043-266-2481
 URL:http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/
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