千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第222号
配信日時:2023/08/01 08:30
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第222号
                           2023年8月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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│目次
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★8月、9月の主催行事のご案内
★研究員ノート
 -開催中の収蔵資料展「千葉県勝浦沖キンメ場の魚」の見どころ-
★海の博物館周辺の情報

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│★8月、9月の主催行事のご案内
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【展覧会】
●令和5年度収蔵資料展「千葉県勝浦沖キンメ場の魚」
 千葉県勝浦沖にはキンメダイを釣る漁場「キンメ場」があります。ここで漁
獲された魚は60種に上り、30種を海の博物館発行の本に掲載しました。この展
示では、本のページを拡大して、実物の魚類標本とともに紹介します。
・会期:7/15(土)~9/3(日)


☆当日申込制の行事(要入場料)
【磯・いそ探検隊(フィールドトリップ)】
 研究員の案内で、博物館の前の海岸を歩き、いろいろな磯の生きものを観察
します。磯観察初心者向けの行事です。
 ・日時:8/ 4(金)12:00~13:00
     8/15(火)10:00~11:00
     8/16(水)10:00~11:00
 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・定員:各回15名
 ・保険料:お一人様50円

【博物館探検隊(バックヤードツアー)】
 ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員の案内で巡りま
す。
 ・定員:15名
 ・時間:各日(1)11:15~11:45 (2)13:30~14:00の2回

 メニュー:「標本庫ツアー」
     標本を保管している標本収蔵庫を見学します。
 ・対象目安:小学生以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・開催日:8/11(金・祝)、8/12(土)

 メニュー:「飼育室ツアー」
     生きものを飼育している飼育室を見学します。
 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・開催日:8/13(日)


【みんなで工作 海の生きもの】
 海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。
 ・対象目安:5歳以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・定員:各回15名
 ・時間:各日(1)10:45~11:45 (2)13:30~14:30の2回

 メニュー:「海で見つけた材料でオリジナルオブジェを作ろう」
     海で見つけた材料でオリジナルフォトフレームを作ります。
 ・開催日:8/6(日)

 メニュー:「海藻おしばを作ろう」
     色とりどりの海藻を使って海藻おしばを作ります。
 ・開催日:8/20(日)

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。

 メニュー:「コーラルプリントをしよう」
     貝殻やサンゴなど、海に生きものたちの不思議な模様を布に写し取
          り、オリジナルハンカチを作ります。
 ・開催日:9/2(土)、9/16(土)

 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・定員:各回6名
 ・時間:(1)11:00~11:20 (2)13:30~13:50
 ・材料費:お一人様50円

≪参加方法≫
 当日申込、先着順(入場者対象)。入場手続き後、受付にて参加申込をして
ください。
※新型コロナウイルスの感染状況によっては、中止となる場合があります。

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│★研究員ノート
      -開催中の収蔵資料展「千葉県勝浦沖キンメ場の魚」の見どころ-
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 千葉県勝浦市の南東およそ30 km沖合に,キンメ場と呼ばれる海域がありま
す。これはキンメダイを釣るための漁場の一つで,水深1000 mを超える深い海
から立ち上がった水深およそ400~600 mの岩場です。そこで釣針が50~150本
付いた立縄と呼ばれる釣糸を海底付近まで降ろして,キンメダイを釣り上げる
漁が行われているのです。
 キンメダイをはじめ,数種の魚が市場に出回り,皆さんの食卓まで届いてい
ますが,実はそれ以外にも多くの種類の魚が釣り上げられています。そんな魚
たちを,地元の漁師さんのご厚意で海の博物館へお持ち下さったおかげで,こ
れまでに60種を超えるキンメ場の魚類標本が集まりました。そこで,それらの
魚を紹介したミニ図鑑「海の生きもの観察のノート16 千葉県勝浦沖キンメ場
の魚」を昨年3月に発行しました(ミニ図鑑PDFファイルの短縮URL:https://x.
gd/qpyEf)。

 来月9月3日まで開催中の収蔵資料展「千葉県勝浦沖キンメ場の魚」では,こ
のミニ図鑑のページを拡大したパネルとともに,図鑑に登場する60種の魚のう
ち30種の魚の実物標本を紹介しています。
 この展示の見どころとなる魚として,まず,オオメコビトザメが挙げられま
す。サメの仲間では世界最小クラスで,展示標本の全長はわずか26 cmしかあ
りません。このサメといっしょにカラスザメとフジクジラの標本も展示してい
ますが,これら小型のサメは発光器を持っています。
 ソコダラの仲間はいかつい顔つきをしていて,そのままの姿で食卓に並ぶと
食欲がうせてしまうかもしれません。実は白身で鍋物などにして食べるととて
も美味しい魚で,伊豆地方では深海魚料理の一つとして食べられるお店がたく
さんあります。一方,勝浦のキンメ釣りでかかったソコダラはほとんど利用さ
れていません。このような魚を未利用魚と呼んでいますが,現在,各地で未利
用魚の活用が進んでいます。ひょっとしたら,近い将来,勝浦でもソコダラが
名物になっているかもしれませんね。
 シギウナギの体は細長く,生きている時は透明でお腹の中が透けて見えます。
この魚はキンメ釣りの釣針にかかるのではなく,水揚げされたキンメダイが吐
き出したものに含まれていることがあります。今回展示しているシギウナギの
標本は,エビを丸のみにしています。しかしながら,そのシギウナギ自身もキ
ンメダイに丸のみにされる運命だったのです。
 今回展示している一番大きな魚は,全長1.9 mあるサケガシラの標本です。
生時は体が銀色に光り,ヒレはきれいな赤色をしています。尾びれが上を向い
て奇妙に見えますが,浅い海に生きたまま迷い込んだ際に撮影された動画には
,体を斜め上向きにして泳ぐ姿が記録されていました。このような姿勢で泳ぐ
ことに,一体どのようなメリットがあるのでしょうか?深海魚の生態は謎だら
けです。

 これまでに開催してきた海の博物館の企画展示では,たいてい生きている生
きものも展示されてきましたが,今回はまったくいません。深海魚を飼育する
のは非常に難しいのです。実は,今年5月にキンメ場からは初記録となるミド
リフサアンコウを,漁師さんが生きたまま博物館へ持ってきてくださいました。
すぐに低温水槽を用意して飼育を試みたのですが,残念ながらわずか数日で死
んでしまいました。このため,このミドリフサアンコウは当館の資料として登
録し,今回,液浸標本として展示しています。

 ミニ図鑑「千葉県勝浦沖キンメ場の魚」は先に挙げたURLからダウンロード
してご覧いただけますが,展示会場では冊子も配布しております(部数に限り
があります。ぜひ会場で実物と見較べてみてください。
                     (主任上席研究員 川瀬 裕司)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】

・かつうら海中公園海中展望塔
    海の博物館の真ん前にあります。水深8mの海中展望室から季節ごとの魚
 や海底の様子を楽しむことができます。
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾174
   http://www.katsuura.org/index.php 

・エデン(eden)
    海の博物館前、レストラン、ショップと天然温泉スパを併設した複合施設。
  〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾272     0470-64-6370(レストラン)

・勝浦朝市は通常どおり(6時半頃~11時頃・水曜休み)開催されています。
  詳しくは勝浦市観光協会のホームページをご覧ください。
  〒299-5233 千葉県勝浦市浜勝浦319
   https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/

【施設情報】

・勝浦市郷土資料室
  勝浦市立図書館の中に開設されました。郷土の歴史や文化財などをそれ
 ぞれのテーマを設けて展示紹介しています。
  休室日:月曜日・祝日・年始(図書館の休館日と同じ)  
  問合せ先:勝浦市教育委員会生涯学習課生涯学習係
  〒299-5235 千葉県勝浦市出水1297     0470-73-6665

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今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうござ
いました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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