千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
『海からのたより』第225号
配信日時:2023/11/01 08:30
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第225号
                           2023年11月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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│目次
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★11月、12月の主催行事のご案内
★研究員ノート -温暖化とノリ養殖-
★海の博物館周辺の情報

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│★11月、12月の主催行事のご案内
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【展覧会】
●秋の企画展示「海の生きものの古い図鑑-明治から昭和初期まで-」
 明治から太平洋戦争中に出版された海の生きものを掲載した図鑑や啓蒙書を
紹介します。これらの本をとおして、四方を海に囲まれるわが国の生きものを
扱った海洋教育の歴史に触れてみましょう。
・会期:10/21(土)~1/14(日)

☆事前申込制の行事
【講座】
  研究員がスライドやビデオを使って、海の生きものや自然を紹介する行事で
す。

●「海の生きものの図鑑小史-明治から昭和まで-」 講師:奥野 淳兒
  明治から戦中までに出版された海の生きものの図鑑や啓蒙書を紹介します。
 ・日時:11/5(日) 13:00~15:00
 ・対象:一般
 ・定員:15名
 ・申込締切:10/22(日)

≪参加方法≫
 行事ごとに、以下を明記の上、開催日2週間前必着で、海の博物館あてに
ハガキ・FAX・電子メールのいずれかでお申し込みください。
  定員を超えた場合は抽選となります。抽選結果はご連絡いたします。
   ※博物館入口横の受付でもお申し込みいただけます。

・記入事項(希望者全員の情報を記入)
  1.氏  名
  2.住  所(郵便番号も)
  3.電話番号
  4.年  令
  5.ご希望の行事名と日時

≪お申し込み・お問い合わせ先≫
  千葉県立中央博物館分館海の博物館
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
   電話 0470-76-1133  FAX 0470-76-1821
   電子メール umihaku@chiba-muse.or.jp

☆当日申込制の行事(要入場料)
【博物館探検隊(バックヤードツアー)】
 ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員の案内で巡りま
す。
 メニュー:「標本庫ツアー」
     標本を保管している標本収蔵庫を見学します。
 ・開催日:11/3(金・祝)
 ・対象目安:小学生以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・定員:15名
 ・時間:各日(1)11:15~11:45 (2)13:30~14:00の2回

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。

 メニュー:「海で見つけた材料でオリジナルオブジェを作ろう」
     海で見つけた材料を使ってオリジナルオブジェを作ります。
 ・開催日:11/4(土)、11/19(日)、12/10(日)、12/24(日)
 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)
 ・定員:各回6名
 ・時間:(1)11:00~11:20 (2)13:30~13:50
 ・材料費:お一人様50円

≪参加方法≫
 当日申込、先着順(入場者対象)。入場手続き後、受付にて参加申込をして
ください。
※体験メニューの内容は日によって変わります。詳細は、海の博物館までお問
 い合わせいただくか、ホームページをご覧ください。

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│★研究員ノート -温暖化とノリ養殖-
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 海の博物館最大の企画展示である「マリンサイエンスギャラリー」。今年度
は、来年2月23日から5月6日にかけて開催される予定で、私が5年振りに担当し
ます。お題は「アサクサノリ2-ノリの世界-」。私の専門であるノリについ
ての展示で、17年前の平成18年度に「アサクサノリ-ノリの自然誌-」と題し
て実施したマリンサイエンスギャラリーの続編とも言えるものです。この17年
間にノリに関する研究が進み、多くの新知見が明らかになりました。江戸時代
から養殖に用いられ、商品名「浅草海苔」で名高いアサクサノリという種類を
中心に、主に生きものとしてのノリの世界を、それら最新の知見を盛り込んで
紹介する予定です。
 展示は、生きものとしてのノリの話がメインとなりますが、千葉県で盛んな
ノリ養殖についても取り上げることにしています。近年、ノリ養殖は気候の温
暖化に伴い様々な問題にさらされています。本メールマガジンでも過去に「温
暖化で勝浦の海藻がなくなる?」と題して、勝浦沖に広がるコンブの仲間の海
藻のカジメの海中林で、葉状部がなくなり茎だけになっているカジメが漁業者
により確認されたことなどを紹介してきていますが、温暖化はノリの養殖にも
多大な影響を及ぼしています。そもそも海藻は水温の上昇に弱く、特に養殖し
ているノリは、寒い冬に私達が食用とする葉っぱみたいな体(葉状体)が出現
しますので、冬に水温が下がらないと成長が良くありません。千葉県では9月
半ば頃に養殖ノリの網へのタネ付けを実施します。先日その様子を木更津市ま
で見学に行ってきましたが、今年の9月はとても暑く、気温・水温ともに例年
よりもかなり高い状況でした。そのため、タネ付け時に必要な低水温(23℃以
下だそうです)が確保できず、タネ付け用の水槽に大量の氷を入れて水温を下
げるなど、漁師さんたちは四苦八苦されていました。タネ付け後も、網を張る
海域の水温が下がらす、予定していた海への網張りがかなり遅れたようです。
 海への網の張り込みが無事終了した後も、油断できない状況が見られます。
近年、ニュースなどでも話題になっていますが、クロダイが育ってきたノリを
食べてしまうのです。その様子を撮影したビデオをノリ養殖を研究する千葉県
水産総合研究センター東京湾漁業研究所の担当の方に見せていただいたのです
が、すさまじいものでした。以前は寒くなると活動が衰えていたクロダイが、
冬でも水温が高い状態が続くと活動が衰えず、養殖ノリをエサとして食べてし
まうようになっているとのこと。クロダイの食害を防ぐために、千葉県水産総
合研究センターの指導のもと、漁師さんたちはノリ網の周囲にもう1枚、魚が
入らないような網を設置しています。以前よりも、一手間も二手間も余分な作
業が増えてきており、漁師さんや研究者の奮闘が続いているのです。
 展示では、このような主に温暖化に起因するノリ養殖の問題点やその対策な
どについて、ノリ漁師さんや千葉県水産総合研究センターのご協力を得て、紹
介したいと思っています。ノリ養殖は乾海苔・焼海苔という伝統的な日本の食
文化を支える技術であるとともに、東京湾のような閉鎖的な海域で行われるこ
とで、そこの水質浄化などにも役立っている重要な産業です。ぜひ今年度のマ
リンサイエンスギャラリーで温暖化が進む世界でノリ養殖が直面している現状
を知り、食卓に並ぶ海苔がなくならないようにするにはどうしていくことが必
要なのかなどを考えていただければと思っています。
                      (主任上席研究員 菊地則雄)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】

・かつうら海中公園海中展望塔
    海の博物館の真ん前にあります。水深8mの海中展望室から季節ごとの魚
 や海底の様子を楽しむことができます。
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾174
   http://www.katsuura.org/index.php 

・エデン(eden)
    海の博物館前、レストラン、ショップと天然温泉スパを併設した複合施設。
  〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾272     0470-64-6370(レストラン)

・勝浦朝市は通常どおり(6時半頃~11時頃・水曜休み)開催されています。
  詳しくは勝浦市観光協会のホームページをご覧ください。
  〒299-5233 千葉県勝浦市浜勝浦319
   https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/

【施設情報】

・勝浦市郷土資料室
  勝浦市立図書館の中に開設されました。郷土の歴史や文化財などをそれ
 ぞれのテーマを設けて展示紹介しています。
  休室日:月曜日・祝日・年始(図書館の休館日と同じ)  
  問合せ先:勝浦市教育委員会生涯学習課生涯学習係
  〒299-5235 千葉県勝浦市出水1297     0470-73-6665

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今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうござ
いました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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