千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
『海からのたより』第230号
配信日時:2024/04/01 08:30
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第230号
                           2024年4月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 https://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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│目次
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★4月、5月の主催行事のご案内
★研究員ノート -強みを活かし欠点を補う、バイオロギングと直接観察の組
み合わせ-
★海の博物館周辺の情報

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│★4月、5月の主催行事のご案内
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【展覧会】
●令和5年度マリンサイエンスギャラリー
「アサクサノリ2 -ノリの世界-」
 平成18年に企画展示「アサクサノリ-ノリの自然誌-」を行い、早17年が過
ぎました。その間、ノリという生きものについていろいろなことがわかってき
ました。江戸時代から養殖され、今では絶滅危惧種となっているアサクサノリ
を中心に、ノリ研究の最前線を紹介します。
・会期:2024/2/23(金・祝)~5/6(月・休)


☆事前申込制の行事
【観察会】
  研究員の解説を聞きながら、自然の中で生きものをじっくりと観察します。
 保険料としてお一人様50円が必要です。
 荒天等の事情により、中止または日程や内容が変更となる場合があります。

●「ウミウシを観察しよう」  講師 海の博物館研究員
 潮の引いた磯でウミウシを採集し、それらを室内で観察します。
 ・日時:4/27(土) 10:30~15:30
 ・対象:小学生高学年以上(小学生は保護者同伴)
 ・定員:20名

●「海藻を観察しよう」  講師 海の博物館研究員
 博物館前の磯で見られる海藻の種類を調べてみましょう。
 ・日時:4/29(月・祝) 12:30~15:30
 ・対象:高校生以上
 ・定員:20名

●「エビ・カニを観察しよう」  講師 海の博物館研究員
 博物館前の磯で、さまざまな甲殻類を観察します。
 ・日時:5/12(日) 12:00~14:00
 ・対象:一般(高校生以上)
 ・定員:15名

●「鵜原理想郷 生きもの探し(春)」  講師 海の博物館研究員
 鵜原理想郷をゆっくりと散策しながら季節の花や生きものをみつけます。
 ・日時:5/25(土) 10:00~12:00
 ・対象:小学生以上(小学生は保護者同伴)
 ・定員:15名

≪参加方法≫
 行事ごとに、以下を明記の上、開催日2週間前必着で、海の博物館あてに
ハガキ・FAX・博物館ウェブサイトの申し込みフォーム(準備中)のいずれ
かでお申し込み下さい。
  定員を越えた場合は抽選となります。抽選結果はご連絡いたします。
※博物館ロビー受付でもお申し込みいただけます。
※令和6年度行事の受付は、ホームページのリニューアルに合わせて、ご案
内いたします。少々お待ちください。

・記入事項(希望者全員の情報を記入)
  1.氏  名
  2.住  所(郵便番号も)
  3.電話番号
  4.年  令
  5.ご希望の行事名と日時

≪お申し込み・お問い合わせ先≫
  千葉県立中央博物館分館海の博物館
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
   電話 0470-76-1133  FAX 0470-76-1821
   電子メール umihaku@chiba-muse.or.jp

☆当日申込制の行事(要入場料)
【磯・いそ探検隊(フィールドトリップ)】
 研究員の案内で、博物館の前の海岸を歩き、いろいろな磯の生きものを観察
します。磯観察初心者向けの行事です。
 ・日時:4/28(日)13:00~14:00
     5/11(土)11:00~12:00
     5/26(日)11:00~12:00
 ・定員:各回15名
 ・保険料:お一人様50円
 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。

 メニュー:「海藻おしばを作ろう」
   色とりどりの海藻を使って海藻おしばを作ります。
 ・開催日:4/7(日)、4/21(日)、5/5(日・祝)、5/19(日)
 ・時間:(1)11:00~11:20 (2)13:30~13:50
 ・定員:各回6名
 ・材料費:お一人様50円
 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)

【博物館探検隊(バックヤードツアー)】
 ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員の案内で巡りま
す。

 メニュー:「飼育室ツアー」
   博物館の飼育室を見学しながら、海の生きものについて学びます。
 ・開催日:5/3(金・祝)
 ・時間:(1)10:50~11:20 (2)13:20~13:50
 ・定員:各回15名
 ・対象目安:3歳以上(小学生以下は保護者同伴)


 メニュー:「標本庫ツアー」
   博物館の収蔵庫を見学しながら、博物館の役割や機能について学びます。
 ・開催日:5/4(土・祝)
 ・時間:(1)10:50~11:20 (2)13:20~13:50
 ・定員:各回15名
 ・対象目安:小学生以上(小学生以下は保護者同伴)

≪参加方法≫
 当日申込、先着順(入場者対象)。入場手続き後、受付にて参加申込をして
ください。
※体験メニューの内容は日によって変わります。詳細は、海の博物館までお問
 い合わせいただくか、ホームページをご覧ください。

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│★研究員ノート - 強みを活かし欠点を補う、バイオロギングと直接観察の
  組み合わせ -
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 再生可能エネルギーによる発電への関心が高まり、洋上風力発電の導入が世
界的に加速しています。千葉県でも銚子市沖を皮切りに、いすみ市沖や九十九
里沖で導入に向けた取組が進められています。洋上風力発電は脱炭素を目指す
うえで有効な手段のひとつとして考えられる一方で、バードストライクをはじ
めとする海洋生物や海洋生態系に対する悪影響も懸念されています。洋上風力
発電では風の強い海域が効率的に発電できる適地となりますが、同時にそこは、
風の力をうまく使って飛翔する海鳥にとってはしばしば重要な生息環境でもあ
ります。特に、アホウドリ類やミズナギドリ類は1回の繁殖で巣立たせられる
雛の数が非常に少なく(多くは1~数年に1羽のみ)、一度減少すると個体数
の回復が難しい特性を持っており、そのため絶滅危惧種も多数含まれます。洋
上風力発電の導入促進と海鳥や海洋環境の保全の両立を図るためには、海鳥へ
の影響を考慮すべき海域を認識し、影響を回避し低減することがきわめて重要
です。
 そこで、新潟大学の研究者らが中心となって、平成30年度環境研究総合推進
費実施課題として「洋上風力発電所の建設から主要な海鳥繁殖地を守るセンシ
ティビティマップの開発」に取り組みました。私も協力者の一人としてこの課
題に携わり、房総半島沿岸に飛来するオオミズナギドリの繁殖地の一つである
伊豆諸島の利島において、多くの親鳥にGPSデータロガーを装着して行動圏を
明らかにしました。この研究では大きな成果を挙げることができましたが、私
はGPSによって得られた情報だけで洋上風力発電の適地を十分に見極められる
とは考えていません。GPSは特定の個体の位置を追跡できるという大きな強み
を持つ一方で、その個体が1羽だけその海域を利用していたのか、他のGPSを
装着されなかった大多数の個体も同様に利用していたのか、すなわちGPSによ
って得られたデータが個体群をどの程度代表しているのかがわからないからで
す。
 これを補うために、私は利島の繁殖個体が餌場として利用していた房総半島
の沿岸域や静岡県相模灘の初島沖などで、目視による直接観察を地道に続けて
います。オオミズナギドリは海の博物館の前の太平洋にもたくさん飛来します。
私は海博に着任した2023年4月からこれまでの約1年間、日々の業務の合間に1
分間のモニタリング観察をこつこつと積み重ね、13時間以上、のべ9万羽を超
えるオオミズナギドリのデータを蓄積することができました。直接観察は、GP
Sのように特定の個体を追跡することはできませんが、その海域に集まる鳥の
個体数やそのばらつき、どのような条件の時によく集まるのかなどの情報を解
析することができます。GPSのような記録機器を動物に装着して行動を調べる
研究手法を「バイオロギング」と呼びます。ハイテクなバイオロギングと原始
的な目視による直接観察、対照的なこれらの調査方法を組み合わせることで、
それぞれの強みを活かし、欠点を補い合った研究に発展させることができます。
地球環境問題の解決につながるかもしれない再生可能エネルギーの導入促進と、
海鳥や海洋環境の保全、どちらも大切なこれらを両立させるうえで必要な情報
を把握するために、労を惜しむことはできません。
                         (研究員 平田 和彦)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】

・かつうら海中公園海中展望塔
    海の博物館の真ん前にあります。水深8 mの海中展望室から季節ごとの魚
 や海底の様子を楽しむことができます。
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾174
   http://www.katsuura.org/index.php 

・エデン(eden)
    海の博物館前、レストラン、ショップと天然温泉スパを併設した複合施設。
  〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾272     0470-64-6370(レストラン)

・勝浦朝市は通常どおり(6時半頃~11時頃・水曜休み)開催されています。
  詳しくは勝浦市観光協会のホームページをご覧ください。
  〒299-5233 千葉県勝浦市浜勝浦319
   https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/

【施設情報】

・勝浦市郷土資料室
  勝浦市立図書館の中に開設されました。郷土の歴史や文化財などをそれ
 ぞれのテーマを設けて展示紹介しています。
  休室日:月曜日・祝日・年始(図書館の休館日と同じ)  
  問合せ先:勝浦市教育委員会生涯学習課生涯学習係
  〒299-5235 千葉県勝浦市出水1297     0470-73-6665

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今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうござ
いました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    https://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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