千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
『海からのたより』 第100号
配信日時:2013/06/01 00:10
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第100号
                          2013年6月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/


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│目次
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★千葉県民の日 入館無料のお知らせ
★企画展示のお知らせ
★6、7月の行事案内
★研究員ノート -千葉県自生のアジサイ科アジサイ属は-
★海の博物館周辺の情報


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│★千葉県民の日 入館無料のお知らせ
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●6月15日(土)は千葉県民の日のため入館無料になります。
                  (駐車場も無料)

 開館・休館日の詳細は海の博物館ホームページをご覧ください。
 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=403


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│★企画展示のお知らせ
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●平成25年度の展覧会のご案内
今年度、海の博物館では次の展覧会を予定しています。皆様、お楽しみに!

▲収蔵資料展「ウニと愉快ななかまたち」
 会期:平成25年7月13日(土)~9月1日(日)

 とげとげの不思議な生きもの、ウニ。とげが長いウニや短いウニ、平べった
いウニや柔らかいウニなどなど、さまざまなウニたちがやってきます。また、
ウニの親戚であるヒトデやナマコたちも登場します。ウニと仲間たちの世界を
のぞいてみましょう。!


▲平成25年度マリンサイエンスギャラリー
        「海藻いろいろ -千葉県の豊かな海から-」
 会期:平成26年2月15日(土)~5月6日(火・振休)

 磯にたくさん見られる生きもの、海藻(かいそう)。けれども動かないので
あまり目立たない海藻。千葉県はそんな海藻が世界でも大変豊富な場所のひと
つです。種類、色、形、役割、利用などなど、千葉県の海藻たちの魅力に迫り
ます。


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│★6、7月の行事案内
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 海の博物館では、さまざまな行事を開催しています。
 皆様の参加をお待ちしております。

 詳しくはこちらをご覧下さい
   http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=394
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【観察会「海の生きもの基礎実習(講座同時)」】
 磯で見られる生きもののフィールドでの観察方法や採集方法を学び、室内で
それらの生きものの特徴を調べます。
  対象:一般(指導者向け) 定員:15名
  日時:6月9日(日)10:00~15:00
  定員まで若干の空きがありますので、ご希望の方は海の博物館に直接お問
  い合わせください。

【磯・いそ探検隊】
 研究員の案内により、博物館前の海岸で主に磯の生きものを観察します。
定員各回15名。
   7月 7日(日)   10:00~11:00
   7月21日(日)    9:30~10:30
   (当日申込み。先着順です。)

【博物館探検隊】
 普段見ることのできない、博物館のバックヤードを、研究員の案内で紹介し
ます。定員各回15名。
   6月15日(土・県民の日)11:00~11:30、13:30~14:00
   (当日申込み。先着順です。)

【みんなで工作 海の生きもの】
 海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。どなたでもお気軽に参加で
きます。当日申込です。 ※各回とも定員は15名です。
 7月15日(月・祝)14:00-15:30「エコデコイ こがもちゃんの色塗り」
 7月27日(土)10:45-11:45 13:30-14:30「コーラルプリントをしよう」

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジす
る行事です。
  6月 1日(土)「オリジナルオブジェを作ろう」
  6月29日(土)「微小貝を探そう」
  11:00からと13:30からの1日2回、約20分間開催します。
 (当日申込み。定員6名。定員を超えた場合は抽選となります)

   行事の参加方法等については、こちらをご覧下さい
      http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533


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│★研究員ノート -千葉県自生のアジサイ科アジサイ属は-
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 みなさんは、6月の花といえば何を思い浮かべますか?きっとアジサイの名
をあげる人も多いでしょう。じめじめした梅雨の滅入った気分を慰めてくれる
清楚で美しい花は、とても印象深く、アジサイ愛好家は全国に数多くいるよう
です。また、これまでに様々な園芸品種が生み出されています。アジサイは、
万葉集にも出てくるほど古来からなじみが深く、その名前の由来も、装飾花の
藍色が集まっているようすから「集真藍(あづさい)」であるとか、「集まっ
て咲いた」ことからなど諸説あります。ちなみに、「紫陽花」は、中国では別
の花を指し、日本では誤記によって広まったものといわれます。江戸時代に来
日し、『Flora of japonica(日本植物誌)』をまとめたドイツ人医師のシー
ボルトは、アジサイの一品種について命名する際、日本人の愛妾(もしくは
妻)であった楠本滝さん、通称「おたきさん」の名前から*Hydrangea otaksa*
としたといわれることは有名です(先に他の名前が付けられており、命名規約
上無効となりました)。また、美しい花に妾の名前を付けたことに対して、日
本の植物分類学の祖でもある牧野富太郎は強く批判したという逸話もあります。
さまざまなエピソードは、日本人のアジサイ人気の表れともいえるでしょう。
また、丈夫で美しいアジサイは外国でもたいへん人気があり、ヨーロッパで品
種改良された西洋アジサイは、日本から中国を経由して西洋に伝わったものと
いわれ、いわゆる里帰りをした植物でもあります。

 さて、そんなアジサイですが、千葉県に自生する種類はどんなものがあるの
でしょうか。千葉県植物誌によると、アジサイ科アジサイ属のうち、千葉県に
自生するのは、ツルアジサイ、タマアジサイ、コアジサイ、ノリウツギ、ガク
ウツギ、ガクアジサイ、ヤマアジサイの7種となっていますが、そのうち、ツ
ルアジサイとコアジサイ、ノリウツギ、ガクウツギの4種は、県内標本未見で
あったり、発見された記録が極端に少ないものです。つまり、アジサイ属のう
ち千葉県内で普通にお目にかかれるのは、ヤマアジサイとガクアジサイ、そし
てタマアジサイの3種です。

 ガクアジサイは、富津から館山までの内房と、館山からいすみ市あたりまで
の外房の海岸沿いに自生しています。遠目に花びら(実は花びらではなく萼
片)に見える装飾花が花序(花の集まり)の外側を額のように取り巻いている
ことから、この名がついたといわれます。装飾花は美しい青色で、葉が大きく
分厚く、表面に光沢があるのが特徴です。伊豆諸島を中心に、伊豆半島・三浦
半島・房総半島といった狭い範囲にのみ自生しています。学名*Hydrangea mac
rophylla* の*macrophylla*は大きな葉をしたという意味です。このような海
辺の環境に適応した植物は、一般に葉を厚くすることで、海辺の強い日差しや
照り返し、さらには強風による飛砂の障害等に対応しています。さらに、強い
風による直接的なダメージに対抗するために、茎や葉は大きく丈夫になってい
ます。海岸のような塩濃度が高い環境は、浸透圧によって細胞の水分吸収を妨
げることから、まさに砂漠的な環境ですので、非常に生命力も強い植物といえ
ます。ですから、この丈夫で育てやすいガクアジサイが、園芸植物であるアジ
サイの母種であることもうなずけるはずです。

 次に、ヤマアジサイはどうでしょうか。昨年のこの時期に、私は勝浦の山中
にこのヤマアジサイを探しに行ったことがあります。ですが、残念ながら見つ
けることはできませんでした。いろいろな情報を頼りに探した結果、やっと見
つけたのは清澄山の近辺の小川のほとりでした。別名「サワアジサイ」という
のもうなずけます。ガクアジサイとは対照的で、山地の湿った場所にひっそり
と生育します。海辺にたくましく根を張るガクアジサイもいいですが、深い山
の奥で慎ましく咲くヤマアジサイもなかなか趣があるものです。

 最後にタマアジサイです。花の集まりは開花前に苞という葉に包まれ、ひと
つのピンポン玉のような状態になっており、そこから名前が付きました。また、
花期は千葉では8月末から10月までとアジサイのなかまの中では非常に遅く、
同株でも枝ごとに時間差で咲くため長く鑑賞できるのも特徴です。日本での分
布は、太平洋側で宮城から愛知、日本海側で新潟から石川あたりまでの比較的
狭い範囲です。内陸から日本海側にかけてのタマアジサイは、滝があるような
非常に湿った環境にしかみられないのですが、千葉県のタマアジサイは、林縁
やトンネル口の斜面などによく見つかる植物です。房総丘陵を中心に、県の南
部に分布します。

 園芸種のアジサイは、鮮やかな彩りと華やかさがありますが、野生種もまた
それぞれに情緒あるものです。海辺のたくましいガクアジサイ、渓谷の慎まし
いヤマアジサイ、そして残暑を彩るタマアジサイ、千葉県の自然を歩きながら、
みなさんも自生のアジサイを探してみてはいかがですか。
(上席研究員 青木慎哉)



※"*----*"で囲まれた部分は斜体であることを意味します。


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│★海の博物館周辺の情報
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●第12回勝浦港『カツオまつり』が開催されます

 平成25年6月1日(土)に、全国有数のカツオの水揚げ高を誇る勝浦漁港で、
第12回勝浦港『カツオまつり』が開催されます。当日はカツオの販売や試食の
ほか、勝浦湾体験乗船や千葉県漁船調査船千葉丸の船内見学など様々なイベン
トが行われます。また、地元の新鮮な魚介類をどうぞご賞味ください。

   詳しくはこちらをご覧ください
   http://www.city.katsuura.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=30008


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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただき
 ありがとうございました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
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    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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