千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
『海からのたより』 第88号
配信日時:2012/06/01 00:00
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 海からのたより 第88号         2012年6月1日発行

      千葉県立中央博物館分館 海の博物館
      http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/


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│目次
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★入館無料のお知らせ
★企画展示のお知らせ
★6、7月の行事案内
★研究員ノート -「深い海」ってどんな海?-
★海の博物館周辺の情報


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│★入館無料のお知らせ
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●6月15日(水)は千葉県民の日のため入館無料になります。
                  (駐車場も無料)

 開館・休館日の詳細は海の博物館ホームページをご覧ください。
 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=403


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│★企画展示のお知らせ
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●平成24年度の展覧会のご案内
今年度、海の博物館では次の展覧会を予定しています。皆様、お楽しみに!

▲収蔵資料展「海のカニ・川のカニ」
 会期:平成24年7月14日(土)~9月2日(日)

 海の幸や昔話のキャラクターとして、カニは私たちにとてもなじみのある生
きものです。海の博物館では、千葉県の海や川にすむカニを集め、夏休みに楽
しく学べる展示を行います!


▲平成24年度マリンサイエンスギャラリー
        「深い海に暮らす生きものたち」
 会期:平成25年2月16日(土)~5月6日(月・祝)

 深い海の中は、人が直接近づくことが難しいため、水深わずか数百メートル
の場所にすむ生きもののことさえよくわかっていません。そのような生きもの
たちの暮らしや体のつくり、人との関わりについて紹介します。


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│★6、7月の行事案内
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 海の博物館では、さまざまな行事を開催しています。
 皆様の参加をお待ちしております。

申込方法等、詳しくはこちらをご覧下さい
http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533

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【磯・いそ探検隊】
 研究員の案内で当館周辺の自然を散策し、主に磯の生きものを観察します。
定員各回15名。
   6月 3日(日)   9:30~10:30
   6月23日(土)   12:30~13:30
   7月21日(土)   11:00~12:00
   (当日申込み。先着順です。)

【博物館探検隊】
 普段見ることのできない、博物館のバックヤードを、研究員の案内で紹介し
ます。定員各回15名。
   6月15日(金・県民の日)11:00~11:30、13:30~14:00
   (当日申込み。先着順です。)

【みんなで工作 海の生きもの】
 海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。どなたでもお気軽に参加で
きます。当日申込です。 ※各回とも定員は15名です。
 7月16日(月・祝)14:00-15:30「エコデコイ こがもちゃんの色塗り」
 7月22日(日)10:45-11:45 13:30-14:30「コーラルプリントをしよう」

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジす
る行事です。
      6月 9日(土)、6月23日(土)
     11:00からと13:30からの1日2回、約20分間開催します。各回の実施内
     容についてはお問い合わせください。
    (当日申込み。定員6名。定員を超えた場合は抽選となります)


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│★研究員ノート -「深い海」ってどんな海?-
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 「深い海」って聞いて、どんな海を想像しますか?一般的な定義では、陸地
からつながっている沿岸のなだらかな海底を大陸棚とよび、そこから急に深く
なる水深200m以深のところを「深海」と呼んでいます。この深海はさらに細か
く区分され、200mから1000mを中深層、1000mから3000mを漸深層、3000mか
ら6000mを深海層、6000m以深を超深海層と呼んでいます。

 ちなみに世界でいちばん深い海は、グアム島沖南西約320kmに位置するマリ
アナ海溝のチャレンジャー海淵で、その最深部は10920mとされています。こ
のチャレンジャー海淵へ有人潜水艇で初めて到達したのはアメリカのトリエス
テ号で、1960年のことです。そして、今年の3月に、映画「タイタニック」な
どで知られるジェームズ・キャメロン監督が、ディープシー・チャレンジャー
号でチャレンジャー海淵への単独潜航に成功しています。これは、有人潜航と
しては実に52年ぶりの出来事です。

 では、生身の人間が到達することができる水深はどれくらいでしょうか?
まず、海面から息をこらえて往復潜行する素潜りでは、フィン(足ひれ)の有
無や潜行用のウエイト(重り)の使い方などで記録がいくつかに分けられてい
ます。それらの中で、潜行中フィンとウエイトを使用する方式(いわゆる普通
の素潜り)では123mという記録があります。

 SCUBA(自給式水中呼吸装置)を使用して海面から往復潜行する方式では、
呼気に使用するガス成分によって様々な記録があります。一般のダイビングで
通常使われている圧縮空気を用いた例では、155mという記録があります。

 しかしながら、空気を使用する方法での高深度潜水は大きなリスクが伴いま
す。水深40mを超えたあたりから、「窒素酔い」という飲酒した時に似た症状
が現れます。この深さでは水圧が約5気圧になるため、陸上で呼吸していると
きと比較して約5倍の圧力の空気を吸うことになります。この時、空気に約80
%含まれている窒素の分圧も5倍となり、それが窒素酔いを引き起こす原因に
なります。さらに、水深70mを超えると酸素中毒を発症する危険性が高まりま
す。酸素中毒になると全身のけいれんなどを引き起こすことがあり、水中で発
症すると致命的な事故に直結します。また、高い水圧下で空気を吸い続けると、
その分血液中に多くの空気が溶け込むことになります。特に窒素は排出されに
くいため、潜水深度と時間によっては、そのまま浮上すると血液中に溶けてい
た窒素が血管の中で気泡になり血管を詰まらせてしまうことがあります。これ
が減圧症で、関節痛や手足の麻痺などを引き起こし、脳や脊髄が冒されると致
命的な場合があり、重い後遺症を残すこともあります。通常の方法でそのまま
安全に浮上することができるのは、水深40mで15分以内の潜水が限界で、それ
より深いところに潜水すると、浮上する途中に浅い水深の場所で一定時間以上
停止する必要が生じます。これを減圧停止といいます。しかも水深が大きいほ
ど、また潜水時間が長くなるほど減圧停止時間は長くなり、水深60mで40分間
の作業をすると、浮上時におよそ3時間半の減圧停止時間が必要になります。
なお、減圧症は浅い場所での潜水でも急浮上すると発症する恐れがあります。

 これらの高圧ガスによる生理的リスクを減らすとともに、長時間海底に滞在
する方法として、特殊な混合ガスを使用した飽和潜水があります。これは、特
殊な圧力容器の中に人が入り、潜水深度に相当する圧力まで加圧することによ
り、予め血液中に溶け込むガスを飽和状態にしてしまう方法です。この飽和潜
水では、海底に設置した圧力容器の中で生活し、そこから出入りして潜水する
ことになります。飽和潜水によるこれまでの世界記録はフランスの水深534m
で、日本記録は2008年に海上自衛隊の潜水医学実験隊が樹立した450mです。
水深200m程度の飽和潜水は海中工事などの現場で実用化されていますが、飽
和潜水には潜水のために大がかりな装置などが必要な上、潜水前の加圧と減圧
に長い期間を要し(海自の例では合計25日間)、一般の人が簡単に利用できる
潜水方法ではありません。

 海全体の平均水深がおよそ3800mであることを考えると、数百mというのは
ごく浅い水深帯かもしれません。しかしながら、われわれ人間にとってみると
容易に近づくことすらできない、とてつもなく「深い海」といえるかもしれま
せん。

 来年2月16日から開催する企画展示「深い海に暮らす生きものたち」では、
さまざまな視点から「深い海」に暮らす生きものたちの暮らしや体のつくり、
人との関わりについて紹介する予定です。どうぞ、ご期待下さい。
(川瀬 裕司)


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│★海の博物館周辺の情報
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●第11回勝浦港『カツオまつり』が開催されます

 平成24年6月2日(土)に、全国有数のカツオの水揚げ高を誇る勝浦漁港で、
第11回勝浦港『カツオまつり』が開催されます。当日はカツオの販売や試食の
ほか、勝浦湾体験乗船や千葉県漁船調査船千葉丸の船内見学など様々なイベン
トが行われます。また、地元の新鮮な魚介類をどうぞご賞味ください。

     詳しくはこちらをご覧ください
     http://www.city.katsuura.chiba.jp/event/katsuo.html


●勝浦市が、B-1グランプリ関東大会の開催地に決定!

 B級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ関東大会」が、来秋勝浦市で開
催されることが決定しました。昨年開催された大会では、「勝浦タンタンメ
ン」が見事準優勝しましたが、来年の開催地に決定したことでますます盛り上
がることでしょう。「勝浦タンタンメン」は市内の四十数店で取り扱っている
そうです。開催時期や内容がわかりましたら、このメルマガでも御紹介する予
定です。勝浦タンタンメンや地元の美味しい魚介類をいただきながら、海の博
物館にもぜひ遊びに来てください。お待ちしています。


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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただき
 ありがとうございました。

 海の博物館では、この記事で紹介した生きものを、博物館の展示室で順次紹
介しています。どうぞお見逃しなく!
 

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発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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