千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
「海からのたより」 第112号
配信日時:2014/06/01 08:00
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第112号
                          2014年6月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/


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│目次
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★千葉県民の日 入館無料のお知らせ
★企画展示のお知らせ
★6、7月の行事案内
★研究員ノート -海の博物館近くに国境があった?-
★海の博物館周辺の情報


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│★千葉県民の日 入館無料のお知らせ
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●6月15日(日)は千葉県民の日のため入館無料になります。
                  (駐車場も無料)

 千葉県外にお住まいの方も対象となります。この機会に、海の博物館をぜひ
ご利用ください!


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│★企画展示のお知らせ
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●平成26年度の展覧会のご案内
今年度、海の博物館では次の展覧会を予定しています。皆様、お楽しみに!


▲収蔵資料展「フグ・ふぐ大集合」
 会期:平成26年7月19日(土)~8月31日(日)

 フグの仲間には、フグをはじめカワハギやハリセンボン、マンボウなど形や
大きさが様々な種が含まれています。このようなフグの仲間の体のつくりや水
中での生活、そして私達との関わりについて紹介します。


▲平成26年度マリンサイエンスギャラリー 「クラゲ展」
 会期:平成27年2月14日(土)~5月6日(水・振休)

 大きなクラゲ、変わった形のクラゲ、危険なクラゲなど、クラゲが大集合。
クラゲの体のつくり、クラゲの一生、人との関わりなど、展示を見ればあなた
もクラゲ博士に。身近なクラゲの生きた姿を観察できるクラゲ水槽もあるよ!


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│★6、7月の行事案内
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 海の博物館では、さまざまな行事を開催しています。
 皆様の参加をお待ちしております。

 詳しくはこちらをご覧下さい
   http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=394
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【観察会「軍荼利山の森で植物を観察しよう」】
 自然林が残る自然豊かな森や周辺の植物を観察します。
  対象:一般 定員:15名
  日時:6月1日(日)10:00~15:00
  (申込みは終了しました)

【観察会「初夏の鵜原理想郷で植物を観察しよう」】
 景色を楽しみながら、鵜原理想郷で初夏に咲く花を観察します。
  対象:一般 定員:15名
  日時:6月14日(土)10:00~15:00
  (申込み締切日を過ぎましたが、追加募集中です)

【観察会「親子で磯の生きものを探そう その2」】
 親子で楽しみながら磯の生きものを観察します。
  対象:小学生(保護者同伴) 定員:20名
  日時:6月15日(日)10:00~12:00
  (申込み締切日を過ぎましたが、追加募集中です)

【観察会「海の生きもの基礎実習(動物編)」】
 夷隅川河口周辺でカニ類の調査を行います。
  対象:一般(指導者向け) 定員:20名
  日時:7月27日(日)10:00~14:00
 (申込み締切日:7月13日(日)

【講座「海底にミステリーサークルをつくるフグの話」】
 小さなフグが海底につくる「ミステリーサークル」の役割について、ビデオ
や写真を用いて紹介します。
  対象:小学生以上(小学生は保護者同伴) 定員:20名
  日時:7月19日(土)13:00~14:00
 (申込み締切日:7月5日(土)

【みんなで工作 海の生きもの】
 海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。どなたでもお気軽に参加で
きます。定員は各回15名です(当日申込み。先着順で、定員になりしだい締め
切りとなります)。
 7月21日(月・祝)10:45-11:45 13:30-14:30
     「海で見つけた材料でオリジナルオブジェを作ろう」
 7月26日(土)14:00-15:00「エコデコイの色塗りをしよう」

【磯・いそ探検隊】
 研究員の案内で、磯の生きものを観察します。定員各回15名です(当日申込
み。先着順で、定員になりしだい締め切りとなります)。
  日時: 6月28日(土)  11:00~12:00
      7月13日(日)  11:00~12:00

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジす
る行事です。
  6月 7日(土)「コーラルプリントをしよう」
  6月21日(土)「海で見つけた材料でオリジナルオブジェを作ろう」
  6月29日(日)「コーラルプリントをしよう」
  11:00からと13:30からの1日2回、約20分間開催します。
 (当日申込み。定員6名。定員を超えた場合は抽選となります)

   海の博物館の行事について、詳しくはこちらをご覧下さい
      http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=394
   
   行事の参加方法等については、こちらをご覧下さい
      http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533


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│★研究員ノート -海の博物館近くに国境があった?-
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 今日から6月。いよいよ梅雨の時期になりますが、同時に初夏にも入ります。
梅雨のジメジメと夏の暑さとが相まって、蒸し暑さで息苦しくなってしまいま
すね。そんな時期、海の博物館近くの鵜原理想郷を散策してみることをおすす
めします。海から吹き寄せる爽やかで心地よい風に吹かれながら、眼前に太平
洋を臨むことができる散策路には、この時期ならではの様々な植物を見ること
ができます。

 ところで海の博物館の最寄りであるJR外房線鵜原(うばら)駅の一つ先の駅は
上総興津(おきつ)駅、その先は安房小湊駅、安房天津(あまつ)駅、安房鴨川駅
と続きます。上総や安房が先頭に着いていますが、これは全国の同名の駅名と
区別する為なのでしょうか、江戸時代までの国名が冠されています。これによ
り、勝浦市域の鵜原や興津付近というのは、江戸時代には上総国に属していた
ことが分かります。

 ところが、今から1300年程前には興津や海の博物館付近の鵜原は安房国に属
していたのでした。これを証拠づける資料が当時の都の発掘調査により見つか
っています。それは奈良時代の都であった平城宮の内裏東方東大溝地区から見
つかった木簡です。木簡とは木の板に文字を記したもので、都に運ばれた荷物
に付けられた送付票です。これには「安房国長狭郡置津郷戸主丈部黒秦戸口丈
部第輸凡鰒陸斤(中略)天平□□」と記されていました。これは「天平(不明)年
(月日不明)に、安房国長狭郡置津(興津)郷の戸主丈部黒秦のもとにある丈部第
が(ひも状に乾燥させた)アワビ6斤(1斤約600グラム)を運ぶものです。」とい
う内容になります。これにより「置津郷」(興津)が奈良時代の天平年間(729-
49)にあっては安房国に属していたことがわかるのです。置(興)津郷は後世に
興津村となり、海の博物館のある鵜原地区もこれに含まれていることから、奈
良時代も鵜原地区は興(置)津郷であったと思われます。興津郷がいつまで安房
国に属していたのかははっきりしませんが、近世にはこの地区はすでに上総国
の夷隅(いすみ)郡の一部として諸文書に記されています。なお長狭郡は安房国
に属したままでした。

 このように海の博物館周辺に、奈良時代には安房国と上総国との境界があっ
たことがわかりました。海の博物館周辺の地形は、内陸部から続く低い山稜が
海岸近くで分岐し幾筋もの枝稜に分かれてそのまま海岸に達し急崖を成して海
に落ち込み、枝谷には海水が入り込むリアス式海岸地形を形成しています。こ
の枝稜線の1本が安房国と上総国との境界となっていたのです。この境界稜線
については、鵜原理想郷内の明神岬に繋がる山稜であろうとする説もあります。
しかし実際に地域の様子を眺めてみますと、どうやらこれよりももう少し東側
で海の博物館前の道路を勝浦方面に向かって2つめのトンネル上の山稜が両国
の境界に当たるのではないかと思えるようになってきました。現在、このトン
ネルを境にして海の博物館寄りが鵜原に属する吉尾地区、トンネルの向こう側
が勝浦に属する松部地区になります。境界であったことを示唆するように、こ
の両地区は地元の方に伺うと余り交流を持っておらず、また祭礼などもまった
く異なる日程で行われているのです。このことは私が海の博物館に勤務して不
思議に思っていたのでしたが、昔は国が違っていた事を踏まえれば得心できる
ことといえましょう。

 鵜原理想郷を散策した折り、周囲が見渡せるポイントに来たならば、ちょっ
と海とは反対側の内陸部を眺めてみてください。そこに波打つ山稜は、かつて
安房国と上総国を区切る境界が走っていたのです。そんな遠い昔に思いを馳せ
ながら、初夏の鵜原理想郷を尋ねてみてはいかがでしょう。

 ※鵜原理想郷は、海の博物館の自然観察エリアになっています。博物館では
現在見られる植物についてモニタリングによる紹介や、ガイドマップも用意し
てあります。
                                                        (本吉 正宏)


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│★海の博物館周辺の情報
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●第13回『勝浦港カツオまつり』が開催されます

 平成26年6月7日(土)に、全国有数のカツオの水揚げ高を誇る勝浦漁港近く
の市営駐車場で、第13回『勝浦港カツオまつり』が開催されます。当日はカツ
オをメインに魚介類、海産物加工食品等の販売します。勝浦湾体験乗船や千葉
県漁船調査船千葉丸の船内見学など様々なイベントが行われます。

   詳しくはこちらをご覧ください
   http://www.city.katsuura.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=30008


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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただき
 ありがとうございました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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