千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第133号
配信日時:2016/03/01 08:00
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 海からのたより 第133号            2016年3月1日発行

      千葉県立中央博物館分館 海の博物館
      http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/



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│目次
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★マリンサイエンスギャラリー「毒をもつ海の生きもの」、開催中!
★3、4月開催行事のご案内
★研究員ノート -幻のイソギンチャク発見!-
★海の博物館周辺の情報

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│マリンサイエンスギャラリー「毒をもつ海の生きもの」、開催中!
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 平成27年度分館海の博物館マリンサイエンスギャラリー「毒をもつ海の生
きもの-食べるため・食べられないため-」が開催中です。
 この展示では、千葉県の海に分布する種類を中心に、これらの有毒海洋生
物を紹介していいます。どんな海の生きものが毒をもっているのか、また、
なぜ毒を持っているのか、意外に身近な生きものにも毒をもつものがいるこ
となど、海の生きものの毒について、詳しく紹介しています。
 会期は5月8日(日)まで。

 http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?key=bbw7nxvu1-4853#_4853


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│★3、4月開催行事のご案内
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 磯の観察に絶好の春の大潮が近づいてきました。
 この季節、海の博物館では野外の行事が増えてきます。早春の勝浦に是非
お出で下さい!

【観察会】
「海藻を観察しよう」
 海の博物館の前の磯で見られる海藻を観察します。
 対象:中学生以上 定員:20名
 日時:3月12日(土)11:00~13:30
 参加費:無料。ただし、傷害保険料として50円必要です。
  ※申込み締切日を過ぎていますが、定員に空きがありますので、お問い
合わせください。


「ウミウシを観察しよう」
 磯でウミウシを探して、室内で詳しく観察します。
 対象:小学校高学年以上(小学生は保護者同伴) 定員:20名
 日時:4月24日(日)09:30~15:00
 (申込み締切日:4月10日(日)
 参加費:無料。ただし、傷害保険料として50円必要です。

【講座】
「毒のある生きものを利用するエビやカニ」
 イソギンチャクやウニなどの毒のある動物と共生するエビやカニを紹介し
ます。
 対象:中学生以上 定員:20名
 日時:3月13日(日)13:00~15:00
 参加費:無料。
 ※申込み締切日を過ぎていますが、定員に空きがありますので、お問い合
わせください。

 ※観察会.講座のお申し込みは、ハガキもしくは電子メール、FAXで、以
下を明記の上、当館あてにお送り下さい。また、海の博物館受付でも申込み
できます。 
   1. 参加希望の行事の月日と名称
   2. 氏名(参加者全員分)
   3. 年齢
   4. 郵便番号・住所
   5. 電話番号

【博物館探検隊】
 平成28年度からリニューアルする博物館探検隊は、これまでより時間・
内容を充実させて実施します。

 日時:4月30日(土) 13:30~14:15
 内容:ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員案内で
巡ります。
 対象:小学生以上(小学生は保護者同伴)
 申込:当日博物館ロビー受付で先着順。※予約はできません。
 参加費:入場料のみ

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジ
する行事です。
  3月  5日(土)「オリジナルオブジェを作ろう」
  3月 19日(土)「微小貝を探そう」

 ◯各日11:00からと13:30からの一日2回開催します。約20分間の行事です。
  ◯当日申込み。定員6名。先着順です。
 ※入場料のほか、材料費50円/人が必要です。

  *都合により、メニューが変更になる場合があります。


  海の博物館の行事について、詳しくはこちらをご覧下さい。
  http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533


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│★研究員ノート -幻のイソギンチャク発見!-
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 昨年末、1904(明治37)年に採集されて以来、国内では確認されていな
かった幻のイソギンチャク、「ドフラインイソギンチャク」を東京湾で約
110年ぶりに再発見した、との論文を発表しました。この内容は多くの報道
機関で紹介されました。
 このイソギンチャクは採集者のドフライン博士がドイツに持ち帰った標本
に基づいて、1908年に新種Cymbactis actinostoloides Wassilieff, 1908と
して発表されたものです。新種発表論文には、現在ではイソギンチャクを分
類するのに用いられている重要な形態情報が網羅されておらず、また、採集
した水深も不明でしたが、標本の写真が添付されていました。このため、後
の日本人研究者は、外見が似ている「サンゴイソギンチャク」のことだと判
断し、長い間ドフライン博士の採集したこのイソギンチャクは、「サンゴイ
ソギンチャク」だと考えられていました。しかし、2001年にアメリカ人研究
者によって、ニューカレドニアやフィリピン、パラオの深海から採集した標
本と、ドフライン博士が持ち帰った標本を比較し、Cymbactis actinostolo-
idesは、「サンゴイソギンチャク」とは全く別の種類であることを報告しま
した。この際、属はCymbactis属からExocoelactis属に変更されました。こ
のイソギンチャクは深海性であることや、体の内部を仕切る膜(隔膜)、口
を閉じる筋肉の性質の違いなどから、外見こそ似ているとはいえ、「サンゴ
イソギンチャク」とは全く別のグループに属するものです。
 とはいうものの、肝心のもとの標本が採集された海域(相模湾)で、私は
何度も深海調査を行ってきましたが、このイソギンチャクの特徴と一致する
ものは採集されていませんでした。このため、アメリカ人研究者の報告に疑
いの目さえ向けていました。そのような中、2012年10月24日、共同研究者で
あるお茶の水女子大学の廣瀬博士らによる深海生物調査で、東京湾浮島(鋸
南町地先)沖の水深100-200 mの海底から「変なイソギンチャク採集され
た」との一報を受けました。送られてきた写真を見た時、「これは件のイソ
ギンチャクに間違いない!」と確信し、すぐに標本の調査に入りました。こ
の標本について、外部形態、隔膜の配列、筋肉系(これがとても重要で
す)、刺胞の形やサイズなど、あらゆる形態を詳しく調べました。そして、
以前、ドイツのミュンヘン動物学博物館に所蔵されているタイプ標本(新種
として発表されたときに用いられた標本)について調査した際の結果、ま
た、アメリカ人研究者の発表した論文に書かれている情報と照らしあわせ、
今回新たに採集された標本が、間違いなくExocoelactis actinostloidesで
あることを確認しました。実はこのExocoelactis属のイソギンチャクは、イ
ソギンチャクの中ではとても変わった隔膜配列を持っていて、その進化的な
位置、つまりどのグループのイソギンチャクと近縁なのかがよく分かってい
ませんでした。今回、生きた個体が得られたため、世界で初めてこの仲間の
DNA情報を得ることができました。この結果、Exocoelactis属は、やはり深
海性のセトモノイソギンチャク科のイソギンチャクと極めて近縁であること
がわかりました。これらの結果を論文としてまとめ、このイソギンチャクに
は、初めてこの種を採集したドフライン博士にちなんで、「ドフラインイソ
ギンチャク」という標準和名を与えました。
 今回の結果は、日本産のイソギンチャクについて古い時代に新種として発
表されたものが、現在、実際にはどの種のことを指すのかが不確かになって
いるという状況を示しています。実はこのようなことは「ドフラインイソギ
ンチャク」に限ったことではありません。19世紀から20世紀初頭に外国人に
よって新種として発表された日本産のイソギンチャクでは、現在その実体が
よく分からないものが少なくありません。そのため、仮に新種と思われるイ
ソギンチャクが発見されても、もしかすると昔発表された○○という種かも
しれない、という疑いが晴れないのです。このような状況を打開するため、
現在、私は学術振興会の科学研究費の助成を受け、外国人によって日本から
持ち帰られたイソギンチャクの標本を訪ね歩いて調査するとともに、それら
が採集されたとされる場所でイソギンチャクを採集して、両者を比較すると
いう作業を続けています。第2,第3のドフラインイソギンチャクは、今後も
続々と発見されるものと考えています。
                    (主任上席研究員 柳 研介)

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│★海の博物館周辺の情報
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●「2016 かつうらビッグひな祭り」

 2月26日(金)~3月6日(日)に、全国的にもすっかり有名になった「か
つうらビッグひな祭り」が開催中です。
 「かつうらビッグひな祭り」は開催期間中、勝浦市芸術文化交流センター
「Kuste(キュステ)」をはじめ、市内各所に約30,000体のひな人形が飾ら
れます。遠見岬(とみさき)神社の60段の石段一面にもおよそ1,500体の人
形が飾られ、さらに夕暮れ時からライトアップされます。期間中は、子ども
たちが稚児の衣装で着飾ったひな行列や盛りだくさんのイベントが行われ、
土日は歩行者天国になり各種出店が予定されています。海の博物館のおとな
りの海中公園でも「ちっちゃいひな祭り」が開催されています。

詳しくは勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」をご覧ください
http://www.katsuura-sanpo.com/news/post-13009/

●「かつうら潮風朝市」
 今月の潮風朝市は3月26日(土)です。

●「春まつり」
 勝浦中央商店街と朝市通りに、植木店や露天商などが出店し、毎年、家族
連れなどでにぎわいをみせます。出店者の中には、先代から60年以上も手作
りの品を売り続けている店もあるそうです。
 開催期間: 4月4日(月)・5日(火)
 会場:勝浦中央商店街・朝市通り

以上の詳しい情報は、勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」
をご覧ください
http://www.katsuura-sanpo.com/

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 今回も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとう
ございました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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