千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第138号
配信日時:2016/08/01 09:00
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第138号
                          2016年8月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/


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│目次
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★8月は休まず開館します!
★開催中! 収蔵資料展「海の絶滅危惧種」
★8月の行事案内
★研究員ノート −絶滅危惧種のノリ−
★海の博物館周辺の情報
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│★8月は休まず開館します!
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 ●海の博物館は、8月は毎日開館しています。

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│★開催中! 収蔵資料展「海の絶滅危惧種」
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 海の生きものの中にも、かつては普通に生息していたのに、すでに絶滅して
しまったり、現在絶滅の危機にある種類が少なくありません。
 東京湾で絶滅してしまったアオギスや、絶滅が危惧される干潟の生きもの等
の生きた姿もご覧頂けます。
 会期は8月31日(水)までです。お見逃しなく!

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│★8月の行事案内
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 夏!海!博物館!
 海の博物館で、いろいろな体験をしてみませんか?

 詳しくはこちらをご覧下さい。
  http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533

【観察会】 *要事前申込、保険料50円
(受付終了)8月4日(日)「親子で磯の魚を探そう」
(受付終了)8月5日(日)「親子で磯の生きものを探そう」
(受付終了)8月13日(土)「水中メガネで海の生きものを観察しよう」

【磯・いそ探検隊】 *当日先着順、保険料50円
 研究員の案内で博物館前の磯で生きものを観察します。
8月6日(土) 11:30〜12:30
8月18日(木) 10:00〜11:00
8月19日(金) 10:30〜11:30
8月20日(土) 11:00〜12:00
8月21日(日) 11:30〜12:30

【みんなで工作 海の生きもの】 *当日先着順、材料費50円
 海の生きものにちなんだ簡単な工作を行います。
各日2回、10:45-11:45 13:30-14:30
8月7日(日)「コーラルプリントをしよう」
8月27日(土)「海藻おしばを作ろう」

【博物館探検隊(バックヤードツアー)】 *当日先着順
 ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員の案内でめぐり
ます。
8月11日(木・祝) 13:30〜14:15
8月12日(金) 13:30〜14:15
8月14日(日) 13:30〜14:15

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│★研究員ノート −絶滅危惧種のノリ−
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 海博恒例の夏休み期間の企画展示「収蔵資料展」が7月16日に始まりました。
陸上と同じく海の中にも絶滅が心配される生きものがたくさんいますが、今回
のお題はそれを取り上げた「海の絶滅危惧種」。担当はイソギンチャクが専門
で、絶滅危惧種であるアカウミガメの調査もしている柳研介主任上席研究員。
千葉県の海に見られる(見られた)生きものを中心に、絶滅の心配される生き
ものたちを紹介しています。

 今回展示されている生きものの中には、私の専門である海藻もいくつか含ま
れています。そのうち、海藻の中でも私が専門的に研究しているノリの仲間が
1種類あります。ノリは正式には紅藻ウシケノリ目に属するもののうち葉っぱ
状の体を持つグループの総称で、日本に生えている種類の多くはアマノリ属と
いうグループに含められます。今回展示されているのは、アマノリ属のアサク
サノリ。環境省のレッドリストで絶滅危惧I類という、絶滅の危険度からする
と、まさに「最も危ない」というカテゴリーに入る種類です。このノリは東京
湾などの内湾の川の河口に広がる干潟が生育場所になっています。そのような
場所は、これまで埋め立てや干拓などでどんどん消滅していった場所であり、
そのような開発に合わせて、アサクサノリも少なくなってきました。

 アサクサノリは、江戸時代から養殖に使用されてきた養殖ノリの代名詞とも
言えるノリで、乾海苔の代名詞である「浅草海苔」という商品名で有名ですが
、アサクサノリという種類は、現在ではほとんど養殖されなくなり、生育地も
全国で50カ所程度が確認されているくらいです。いずれの生育地も規模は小さ
く、生育量も多くはなく、川の河口付近の干潟なので、開発の危機にさらされ
ている場所も少なくありません。千葉県では、これまで3カ所のアサクサノリ
生育地が見つかっています。東京湾側では、東京都との境を流れる旧江戸川の
河口、東京ディズニーランドのすぐ横にアサクサノリが見られます。また、九
十九里浜に注ぐ2つの川、南白亀川と一宮川の河口付近にもわずかですが生え
ています。これらの場所で見られるアサクサノリはどこもごくわずかで、生育
範囲もごく狭い場所に限られています。川の護岸工事などで環境が変わる可能
性が高い場所であり、その状況を見守っていく必要があると考えています。

 アサクサノリの他に、千葉県内でも見られる絶滅危惧種のノリとしてカイガ
ラアマノリがあります(今回は展示されていません)。このノリは1960年代に
東京の羽田で見つかったもので、現在ではその場所は羽田空港になってしまっ
ています。アサクサノリよりも少し深い所に生える赤い色をしたノリで、その
葉っぱ状の体(葉状体)は、必ず貝殻から出てくる性質があるため、カイガラ
アマノリという名前があります。カイガラアマノリは少し深い所に生えるとい
う特徴もあってか、最近確認された生育地は全国でわずかに10カ所程度で、ア
サクサノリと同じく絶滅危惧I類とされています。千葉県からは千葉市の千葉
ポートパーク前の浜や浦安市地先の三番瀬で確認されています。また正式な報
告はありませんが、谷津干潟でも採集された記録があります。このノリは、こ
れまであまり食用にはされてきませんでしたが、生育地のひとつ山口県では、
特産品として養殖も試みられています。色が赤いので普通のノリには使用でき
ませんが、アミノ酸含量が多くおいしいノリで、汁物などに利用されています
。

 これらは絶滅危惧種、つまりまだ絶滅はしていないノリなわけですが、日本
のノリの中で絶滅してしまったのではないか、と考えられているノリがありま
す。コスジノリというノリで、環境省のレッドリストでも「絶滅」と判断され
ています(今回は展示されていません)。このノリは東京湾で採集された標本
に基づいて1932年に新種発表された細長い葉状体を持つノリです。1940年代以
降はほとんど採集記録がなく、標本もごくわずかしか残されておりません。特
徴が似た別の種類のノリもあって、個人的には「果たしてコスジノリとして区
別できるノリは本当に存在したのか?」という疑問を持っており、詳しく調べ
てみないといけないと考えています。

 ノリは海藻の中でも食用として私たちにはなじみの深い生きものです。その
ようなノリの中にも絶滅の危機に瀕しているものがあるという事実を、今回の
展示を通して知っていただければと思っています。もちろん、展示物は、あま
り目立たない海藻だけでなく、千葉県では絶滅してしまったとされるアオギス
やハマグリやハマガニや、今でも見られるかわいいトビハゼやカニさんたちな
ど、見どころがいっぱいです。会期は8月31日までですので、ぜひお見逃しな
く!

(主任上席研究員 菊地則雄)
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│★海の博物館周辺の情報
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●かつうら海中公園サマーフェスタ
 日時: 8月5日(金)11:00~15:00頃まで
     8月19日(金)11:00~15:00頃まで
    *荒天時は翌日になります。
 海の博物館前の勝浦海中公園で行われるイベントです。魚のつかみ捕り(要
事前予約)やBBQ、海産物の販売、スタンプラリーなど楽しい企画が目白押し!

●『かつうら若潮まつり花火大会』
 勝浦市では、今年度も『かつうら若潮まつり花火大会』を開催いたします。
その他、興津湾灯籠流しなどのイベントが予定されています。
 開催日時: 8月12日(金)午後7時15分〜
 ※荒天の場合は、13日に延期
 ※会場内の場所取りは午後4時以降に。
 会場: 勝浦漁港周辺
 駐車場: 勝浦市役所・日本武道館研修センター
 ※駐車場の収容台数が少なく、駐車できない可能性があります。

 ●勝浦の海水浴場
 勝浦市内の海水浴場は8月21日(日)まで開設されています。透明度抜群の勝浦
の海をお楽しみください。
 勝浦市内の海水浴場:鵜原、守谷、興津、勝浦中央
 *串浜海水浴場、豊浜海水浴場は開設しません。
 
 ●興津湾灯籠流し
  開催日時: 8月13日(土)
 夜の興津湾を美しい灯籠が彩ります。
 お問い合わせ先:  勝浦市観光協会 興津支部   電話番号:  0470-76-0800
 
 以上の詳しい情報は、勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」を
ご覧ください。
http://www.katsuura-sanpo.com/

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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうご
ざいました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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