千葉県立中央博物館メールマガジン バックナンバー
★ ちば中央博メール 2016年9月号 ★
配信日時:2016/09/10 08:00
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     ちば中央博メール 2016年9月号(2016年9月10日発行・第121号)
          http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

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目 次
1.お知らせ
2.中央博の窓 「自然の音サロン-季節の音を愛でる-」
3. イベント情報
(1)中央博物館本館 企画展示・トピックス展示・小動物展示室
(2)中央博物館本館・生態園 当日参加できるイベント等
(3)大利根分館
(4)大多喜城分館
4.研究室から 「キノコの胞子はどこまで飛んで広がるか-見えない壁-」 
編集後記 平成28年度博物館実習

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1.お知らせ
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 台風が次々とやってきた夏休みも終わり、すっかり秋らしくなってきました。ヤブ
ランの可憐な紫色の花が咲いています。
    千葉県立中央博物館 生態園さんの園芸日記(外部リンク)↓       
    https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=328043
生態園の舟田池では、カイツブリの幼鳥が元気に育っています。3回目の巣は、台風
に吹かれ、卵1個とともに池に沈みました。なお、外来生物のアメリカザリガニやウ
シガエルが増えないように、雨の少ない冬に向けて、舟田池の水位を下げる予定です。

 いよいよ、企画展「驚異の深海生物」展も終了間近になりました。9月19日(月・祝)
まで、どうぞお見逃しなく! 世界一深い深海で採集された標本や新種の御紹介もし
ています。

●重要なお知らせ● 
 本館では、9月から月曜休館に戻ります。ただし、9月19日(月・祝)は開館し、9月
20日(火)が休館日となります。また、収蔵資料を守るため、館内燻蒸(くんじょう)作
業を実施します。下記期間を臨時休館させていただきます。
    本館休館期間:平成28年9月28日(水)〜10月7日(金) (生態園を含む)

●予告-文化の日11月3日(木・祝)は入場料無料●
 本館では、博物館を拠点に行われるさまざまな活動を味わえる「自然誌フェスタ千
葉」を開催します。大利根分館には、昭和の名車が大集合します。大多喜城分館では、
甲冑の試着ができる「体験教室」(事前申込)があります。次号で詳しくお知らせしま
す。お楽しみに。

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2.中央博の窓−85  自然の音サロン-季節の音を愛でる-  
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 「秋は夕暮」で始まる『枕草子』の一節は、夕空を塒(ねぐら)へと急ぐ烏(からす)
の姿や、くの字に連なって飛ぶ雁(がん)の群れに目をやり、日が暮れて風の音、虫の
音などに耳を傾ける清少納言の姿を蘇らせてくれます。どんな女性かを探れば、実は
千年後の今日、私たち一人一人の中に秋の趣を感じる同じ心があるのではないでしょ
うか。
 博物館に勤めて28回目の秋を私は迎えています。子どもの頃から独り音を聞いてい
ましたが、博物館で初めて多くの方と一緒に自然の音に耳を澄ます楽しみを見出しま
した。鳥の声や虫の音が単なる音ではなく、大切なコミュニケーションの手段であっ
たり、最近は鳥にも言語があることが見えてきたり、科学的な興味もさらに深まりま
した。そして今、私たちが多様な自然の音を聞くのは、清少納言など先人たちがして
きたことであり、優れた文化として未来へ継承されるように願うものです。博物館の
役割もそこにあるのではないでしょうか。
 「自然の音サロン」では、1階講堂は5.1チャンネルの音響空間に化し、臨場感が
溢れます。子どもからシニアまで椅子ですが車座に座って、中央博物館が収蔵する
『自然の音と音環境コレクション』から四季折々の音を聞いています。シニアの方か
らかけがえのない昔話を伺ったり、小学生の「鳥はどうして鳴くんですか?」という
重大質問が出たり、サロンは毎回楽しい集まりです。舟田池のライブ音と過去の音と
の聴き比べや、音の世界を視覚化して覗く試みもしています。
    詳しくはこちら(外部リンク)↓
    http://mp3s.nc.u-tokyo.ac.jp/Funadaike_CyberForest.mp3 (ライブ音)
    http://cf4ee.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/sound_archive.html (過去の音)
 ここまで「春は曙(あけぼの)」、「夏は夜」ときましたので、次回10月8日(土)は
「秋は夕暮」、そして来年2月11日(土・祝)は「冬はつとめて」と続きます。サロン
の後半は、生態園へ音を探しに散策に出かけるサウンドウォークがあります。ふるっ
て御参加ください。
                 (教育普及課 主任上席研究員 大庭 照代) 

    (参考) 『自然の音と音環境コレクション』についてはこちら↓
    http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/kikimimi/index.html

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3.イベント情報
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(1)中央博物館本館 企画展示・研究紹介展示・小動物展示室
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◆【企画展】驚異の深海生物-新たなる“深”世界へ-◆
会期:9月19日(月・祝)まで
会場:本館2階 第1・第2企画展示室
内容:多くの人を魅了する深海生物。最新の研究を踏まえ、実物標本・画像・映像な
どによりその魅力に迫ります。世界の深海生物が大集合、未知の“深”世界が目の前
に広がります。「深海生物ノート」でクイズにチャレンジ! 最終日の9月19日には関
連イベント「深海の生きものをさわってみよう」があります。深海の変わった生きも
のたちにふれることのできる最後のチャンスです。
    企画展情報更新中、詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=1008 (展示紹介)
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=1008#gyouji (行事)
    http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/_exhibitions/special_ex/2016shinkai/shinkai2016_poster.pdf (ポスター)
    http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/_exhibitions/special_ex/2016shinkai/shinkai2016_flyer.pdf (ちらし)
 
◆【研究紹介展示】新種のダイオウグソクムシ化石「コミナトダイオウグソクムシ」◆
会期:9月19日(月・祝)まで
会場:本館2階 房総の地学展示室前廊下
内容:千葉県から発見された約800万年前のダイオウグソクムシのなかまの化石を、
新種として記載しました。ダイオウグソクムシの化石種が記載されるのは世界で初め
てです。発見地の鴨川市小湊の名前をとって「バチノムス・コミナトエンシス(コミナ
トダイオウグソクムシ)」と命名しました。
    詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=787 (展示紹介)
    http://www2.chiba-muse.or.jp/?action=common_download_main&upload_id=18340 (解説)

◆【研究員紹介コーナー】◆
会期:平成29年3月31日(金)まで
会場:本館2階 光庭前廊下
内容:平成28年度の本館・分館の研究職員を紹介しています。「所属」「名前」「職
名」「専門分野」「写真」と「メッセージ」をどうぞ御覧ください。
    ウェブサイトの研究員紹介も併せて御利用ください。↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=168

◆【小動物展示室】◆
 水生昆虫展示水槽では、ミズカマキリ9匹、古株のタイコウチ4匹が元気にしていま
す。テラリウムのアズマヒキガエル2匹のうち長年私たちを楽しませてくれていた雌1
匹(通称、姫)が、8月23日朝に昇天しました。遺された雄の太郎(黄色)に、バックヤ
ードから次郎(濃茶色)が合流しました。2匹で寄り添っています。ぜひ会いに来てく
ださい。
    (参考)ききみみコレクションからアズマヒキガエルの声
    https://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/kikimimi/matuura_colle3.html

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(2)中央博物館本館・生態園 当日参加できるイベント等 
(9月10日(土)〜10月10日(月・祝)) 
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【生態園観察会 水草に触って比べよう】
日時:9月10日(土)13時30分~15時30分
場所:本館1階 研修室、生態園
内容:生態園で水槽栽培している水草を触って、一部を採集して顕微鏡で拡大して比
較・観察します。
対象:どなたでも(小学生以下は保護者参加)
定員:なし(無料)

【生態園観察会 森の藻類観察】
日時:9月17日(土)10時~12時
場所:生態園
内容:生態園の森に分け入り、葉上の寄生藻を探し、その不思議な生態を観察します。
対象:小学生以上(小学生は保護者参加)
定員:なし(無料)

【体験イベント 生態園スタンプラリー】
日時:9月17日(土)13時~16時
場所:生態園
内容:生態園内の5箇所にあるスタンプを集めながら、生態園を探検しましょう。
対象:どなたでも(小学生は保護者参加)
定員:なし(無料)

【企画展関連行事 深海の生きものにさわってみよう】
日時:9月19日(月・祝) 各日とも2回開催 10時~11時、11時~12時
場所:本館1階 研修室
内容:貴重な深海生物の標本を間近で見たり、本物に直接触ったりします。
    詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=1008#gyouji
対象:小学生以上(小学生以下は保護者参加)
定員:各回30名(無料)
※午前9時より整理券を配布します。配布場所は2階案内所(入り口前のカウンター)
です。なお、整理券のお渡しはお一人様1枚とさせていただきますので、予めご了承
ください。ご家族やグループで参加をご希望の場合、ご希望の方全員が整理券をお受
け取りになる必要があります。

【動物学講座 両生爬虫類を観察しよう】
日時:9月24日(土)13時~16時
場所:研修室
内容:日本の両生類と爬虫類を観察したり触ったりしてみましょう。標本の作り方も
見学できます。
対象:どなたでも(小学生以下は保護者参加)
定員:なし(無料)

【生態学環境講座 自然の音サロン 秋 サウンドウォーク付き】
日時:10月8日(土)13時30分~15時30分
場所:本館1階 講堂/生態園
内容:秋は夕暮。虫の音や鳥の渡る音など、とっておきの秋の音風景を「中央博資料
百選」の生物音響資料や、生態園舟田池ライブ音、デジタルミュージアム「地域の音
が出る地図」から御紹介します。後半は、秋ならでは音を聞きに、生態園を散歩しま
しょう。
    関連のデジタルミュージアムはこちら↓
    http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/selection_100/kankyo.html
    「地域の音が出る地図」で、プロジェクト「千葉県千葉市中央区青葉町生態
    園2012年10月(2012年)」を検索(外部リンク)↓
    http://cbm-soundmap.org/SoundMap.php
対象:小学生以上(小学生は保護者参加)
定員:なし(無料)

【植物学講座 シダ押し葉のしおりづくり】
日時:10月9日(日)10時~11時、13時~14時
場所:研修室
内容:シダ植物の押し葉でしおりを作ります。シダ植物の見わけ方入門編,シダ植物
を見わけるために必要な部位や用語について学びます。
対象:どなたでも(小学生以下は保護者参加)
定員:各回30名(無料)

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◆【森の調査隊】 平成28年度から実施日時が変更になりました。
日時:基本的に毎月第2・第4日曜日12時~16時(当日随時受付)
9月が11日(日)と25日(日)、10月は10月9日(日)と23日(日)に実施します。
場所:生態園 オリエンテーションハウス
内容:ワークシートをもって、生態園内で自然を観察する体験プログラムです。小学
校の授業で訪れる学校団体にも活用されています。スタンプを集めて、オリジナルの
ペーパークラフトをゲットしよう。
対象:どなたでも(小学生は保護者参加)
定員:なし(無料)
    詳しくはこちら↓
    http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/eco_park/forest_expl_pgm.htm

◆【はっけん!すまいるキッズ】
日時:毎週土曜日、日曜日及び祝日13時~(30分程度)
場所:本館2階 体験学習室(たいけんのもり)
内容:体験交流員によるお子様(親子)向けのプログラムです。企画展開催中は、深海
生物について絵本の読み聞かせやクイズなどを行います。
対象:子どもとその保護者
定員:当日先着5組程度(無料)
注意:天候や急な事情により、中止や変更となる場合もあります。
    活動のようすはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=851

◆【そのほかの9月・10月の講座・観察会(事前申込を含む)】詳しくはこちら↓
9月 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=472
10月 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=473

◆【ミュージアム・トーク】(研究職員による展示・資料解説) 詳しくはこちら↓
9月 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=484
10月 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=485

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(3)大利根分館 http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ 電話:0478-56-0101
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 大利根分館の周辺は、全国的に見ても早場米地域として有名です。見渡す限り黄金
色だった田んぼはほとんどが刈り取られ、「カブチ」と呼ばれる稲株の残った刈りあ
とに、サギたちが食物を求めて舞い降りています。今年は、台風の強風でコシヒカリ
が横倒しになり、農家のみなさんはコンバインによる稲刈りで大変苦労されました。 

 大利根分館では、10月1日~3月31日は予約団体専用期間です。見学や出前授業など
を希望される団体の方や資料閲覧などでご利用の方は,事前に電話でお問い合わせく
ださい。学校向けの「古い道具とむかしのくらし」の出前展示・授業もお受けしてい
ます(Tel:0478-56-0101)。なお、文化の日11月3日(木・祝)はどなたでも入場できま
す(無料)。
    
◆【収蔵資料展】古い道具とむかしのくらし◆
会期:9月10日(土)から9月30日(金)まで(通常開館)
10月1日(土)から3月17日(金)まで(要予約、団体のみ)
会場:大利根分館 第3展示室
内容:小学校3年生の社会科学習の内容に合わせ、衣食住に関する約150点の民具類を
紹介しています。下駄や草履(ぞうり)などを履(は)いたり、昔のおもちゃで遊んだり
できる体験コーナーもあります。子どもたちが、関心を持った資料を自ら調べられる
ように、解説を工夫しました。さらに、大利根分館デジタル・ミュージアム「むかし
の道具」は、事前学習に最適です。
    詳しくはこちら↓
    http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/dougu/index.html

■講座等
【体験講座 かざぐるまをつくろう】
日時:9月17日(土)、18日(日)、19日(月・祝)
各日とも10時30分~12時、13時30分~16時
場所:大利根分館 集会室
内容:8枚羽根の色とりどりのかざぐるまを作ります。
対象:どなたでも(ただし小学校3年生以下は保護者の補助が必要)
定員:当日先着順、各回20名(保険料50円)

【講座「水郷の自然と歴史」 平将門伝説の成立】
日時:9月24日(土)13時30分~15時
場所:大利根分館(集会室)
内容:古代東国のヒーロー「平将門」にまつわる伝説の発生と成立・伝播について解
説します。
    (参考)デジタルミュージアム「英雄怨霊 平将門-史実と伝説の系譜-」
    http://www.chiba-muse.or.jp/SEKIYADO/digi-muse/masakado/index.htm
対象:一般(中学生以上)
定員:当日先着40名(無料)

【講座「水郷の自然と歴史」 香取郡新島(しんしま)の歴史】
日時:10月8日(土)13時30分~15時
場所:大利根分館(集会室)
内容:江戸湾(現在の東京湾)から銚子へ流路を替えた利根川東遷事業に始まる香取郡
新島(十六島)の成立と変遷について解説します。
    (参考)デジタルミュージアムから「水郷と十六島の誕生」↓
    http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/genhukei/genhukei-mokuji-1.htm
    (参考)デジタルミュージアムから「利根川東遷と関宿藩」
    http://www.chiba-muse.or.jp/SEKIYADO/digi-muse/tousen/index.htm
    (参考)利根川の東遷(外部リンク)↓      
   http://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/nihon_kawa/83028/83028-1_p1.html
対象:一般(中学生以上)
定員:当日先着40名(無料)
    
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(4)大多喜城分館 http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ 電話:0470-82-3007
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 お城の草むらでは、秋の虫たちがそこはかとない秋の気配を奏でています。その落
ち着きのある秋の季節の中に佇むお城の情景は趣深いものです。今月は、大多喜お城
まつりが開催されます。ぜひお越しください。

◆特別公開I「江戸風俗図屏風」◆
会期:9月15日(木)から10月16日(日)まで
会場:大多喜城分館
内容:菱川師宣筆の同屏風の複製(六曲一双)のうち、今回は秋の風景が描かれた右
   隻を展示します。 
※入館料:一般200円、高・大学生100円、中学生以下・65歳以上、無料。
    詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=628

◆【収蔵資料展】大多喜城の歴史と絵図-江戸から昭和までの城と町-◆
会期:10月16日(日)まで
会場:大多喜城分館 2階、3階展示室
内容:江戸時代から昭和期までの大多喜城や城下の町に係る資料を展示します。千葉
県指定有形文化財「紙本著色本多忠勝(しほんちゃくしょくほんだただかつ)像」や、
いすみ市指定文化財「遠山金四郎景元(遠山の金さん)画像」などは、原物を展示しま
す。
    紙本著色本多忠勝像はこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=375
さらに、色鮮やかな芝居の「錦絵」や葛飾北斎のスケッチ画集「北斎漫画」などの貴
重な絵図のほか、当時の生活用具や遊具、大多喜の町並み写真、昭和の国鉄木原線の
資料など盛りだくさんです。ぜひお出でください。    
    詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=496

■講座等
【博物館セミナー キノコ観察会】
日時:10月6日(木)13時30分~16時
場所:大多喜城分館
内容:本館から専門の研究員が来て、大多喜城周辺を一緒に歩きながら、キノコの観
察と採集を行います。御自身で採集されたキノコの持ち込みもOKです。鑑定します。
    写真はこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=311&_layoutmode=on
対象:どなたでも 
定員:40名(保険料50円)
※事前に電話でお申し込みください(Tel:0470-82-3007)。

【地域連携事業 大多喜お城まつり】
日時:9月24日(土)前夜祭から25日(日)本祭まで
会場:大多喜城分館(研修館等)
内容:大多喜町主催事業の「大多喜お城まつり」の武者行列には、NHK大河ドラマ
「真田丸」に大多喜城主の本多忠勝役で出演中の藤岡弘、さんが参加予定です。当館
が行列の出発点ですので、ぜひ見に来てください。
    詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=bbs_view_main_post&post_id=1204&block_id=11191#_11191
    大多喜お城まつり(外部リンク)
    http://www.town.otaki.chiba.jp/index.cfm/10,397,66,html

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4.研究室から-57  キノコの胞子はどこまで飛んで広がるか-見えない壁-
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 始まりは、ザラミノヒトヨタケCoprinopsis phlyctidosporaという小さなキノコで
した。これは、動物の死体や糞尿(ふんにょう)が森の中で分解した跡に出てくるヘン
テコなキノコの仲間で、私は学生の頃から調べてきました。ザラミノヒトヨタケは、
黒くて厚壁(こうへき)で耐久性のありそうな胞子を持ち、大気の流れに乗ってどこま
でも遠くへ飛んでいけるし、温度と湿度さえ適切であればどこででも生育できる、と
思われて・・・いや、そう思い込んで、私は本種を世界のどこでも同じ種類が分布す
る「汎世界種」としていました(吹春ほか1996)。
 ところが、南半球で調べていた研究仲間が持ってきた「ザラミノヒトヨタケ」によ
り、研究は大展開することになりました。形態は見ためも顕微鏡的にもザラミノヒト
ヨタケにそっくりですが、よくよく調べてみると、南半球産と日本産とは交配しない
別種でした(Suzuki et al. 2002)。これは、北半球と南半球の間の大気中に、見えな
い壁のようなものがあるのかも!?
 DNA情報は有効でした。この仲間を調べていくと、類縁は近いが遺伝的に異なる新
種が続々と見つかりました。これらは隠蔽(いんぺい)種と呼ばれます。ニュージーラ
ンドからC. austrophlyctidospora(Fukiharu et al. 2011)、カナダから
C. neophlyctidospora(Raut et al. 2011)、北京からC. novorugosobispora
(Fukiharu et al. 2013)、奄美からはC. asiaticiphlyctidospora(Fukiharu et al. 
2014)・・・他にもまだ記載中の種類があります。南米やアフリカなどで調べればも
っと出てくることでしょう。ザラミノヒトヨタケは、隠蔽種が地球上のあちこちにパ
ッチ状に分布する複合種で、胞子による広がりは限定的だったのです。
 キノコは胞子により分布域をどこまでも広げられる、と思われがちですが、実情は
複雑なようです。日本産のキノコでは、有名なマツタケやシイタケについて世界的な
分布が詳しく調べられています。しかしながら、それ以外のキノコについては、実は
よくわかっていません。房総のキノコはもちろん、日本のキノコ相を知るために、今
後もひとつひとつ丁寧に調べていく必要がありそうです。
 在職中に、そして生きている間に、すこしでもキノコの暮らしぶりに迫るような仕
事ができれば、と思っています。平成29年度には企画展「大きのこ展(仮)」の開催を
予定しており、キノコの秘密をもっと紹介する予定です。お楽しみに。
                (環境教育研究科、主任上席研究員、吹春俊光)

    ※関連の読み物(本記事に紹介したキノコや胞子の図、引用文献など) 
    吹春俊光(2016)「糞生(ふんせい)菌類やアンモニア菌類などについて-へん
    てこな所に生えるヒトヨタケ類を調べる-」千葉菌類談話会報 32:40-44. 
    とくに、41頁後半から。ダウンロードはこちら(外部リンク) ↓
    http://homepage2.nifty.com/chibakin/kaihou32/p40-44funseikin.pdf 

(お詫び)慣例では、学名などはイタリック体を用いますが、メールマガジンではイタ
リック体を使用できません。どうぞ御了承ください。
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編集後記:今年度の博物館実習が8月3日から11日で終了し、29人の実習生を見送り、
少々寂しくなりました。本館では、毎年、学芸員を目指す学生たちに講義、見学、体
験実習などの実習を行っています。最後には、ミュージアム・トークを一人一人披露
してくれました。鳥、植物、鯨、ウニ、海岸段丘、化石、気象、キノコ、谷津田、里
山、伊能忠敬、フクロウ、キリスト教、佐倉藩など、テーマは人それぞれでしたが、
どれも、溌剌(はつらつ)として若々しく、興味深い内容でした。
    詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=226

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●発 行
 千葉県立中央博物館
 〒260-8682 千葉市中央区青葉町955-2
 電話:043-265-3111 FAX:043-266-2481
 http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/
●このメールは送信専用メールアドレスから配信されています。
 返信いただいてもお答えできませんので御了承ください。
●ちば中央博メールについてのお問い合わせ・御意見・御感想は、電話またはFAXで
お願いします。
●大多喜城分館、大利根分館に関するお問合せは各館に直接お電話をお願いします。
●無断転載はお断りします。
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