千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第141号
配信日時:2016/11/01 09:00
千葉県立中央博物館分館◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第141号
                          2016年11月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/

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 文化の日にあわせ、海のアート展「海の不思議ないきもの」がはじまる他、
 博物館探検隊も開催します。
 博物館で、海の生きものについて思いを巡らせてみませんか。

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│目次
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★海のアート展「海の不思議ないきもの」11月3日スタート!
★文化の日は入館無料です!
★10、11月の行事案内
★研究員ノート −新(Shin)が提唱し,実践しているInteractive Museumは
        あなたの人生観を変える!−
★海の博物館周辺の情報
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│★ 海のアート展「海の不思議ないきもの」11月3日スタート!
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 木暮奈津子氏が新聞紙で作り上げた、海の不思議ないきものたちを、勝浦、
鵜原海岸の美しい海で撮影した写真とともに展示します。ぜひご覧下さい。
 また、会期中にワークショップも開催します。あなたも作品作りにチャレン
ジしてみませんか。

会期:平成28年11月3日(木・祝)〜平成29年1月29日(日)

*ワークショップの詳細は、下記の行事案内をご覧下さい。

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│★ 文化の日は入館無料です!
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 11月3日(木・祝)の文化の日は入館無料となります。スタッフ一同、皆さ
まのご来館をお待ちしています。

 ※ お客様駐車場は通常通り(有料)です。

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│★11、12月の行事案内
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 海の生きものマニア向けの講座もあります。お見逃しなく!

 詳しくはこちらをご覧下さい。
  http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533

【講座】
「マニアックな無脊椎動物のはなし(イソギンチャク・十脚甲殻類)」
 無脊椎動物のちょっとマニアックで専門的な話題について、博物館の役割を
含めてわかりやすく紹介します。
  対象:中学生以上 定員:20名
  日時:11月3日(木・祝)10:00-15:00
  (申込み締切日はすぎておりますが、お問い合わせください。)

【博物館探検隊(バックヤードツアー)】
 ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員の案内でめぐり
ます。
   日時:11月3日(木・祝) 13:30〜14:15
 定員各回15名(当日申込み。先着順)

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジす
る行事です。

 11月5日(土)「海藻おしばを作ろう」
 11月19日(土)「微小貝を探そう」
 12月3日(土)「オリジナルオブジェを作ろう」
 12月17日(土)「シラスをしらべよう」
   (当日申込み。定員6名。先着順)
 ※入場料のほか、材料費50円/人が必要です。

【ワークショップ】
「新聞紙で海の不思議ないきものを作ろう!」
 海のアート展「海の不思議ないきもの」の関連イベントです。
  日時:11月26日(土)・27日(日) 13:30〜15:30
     12月24日(土)・25日(日) 13:30〜15:30
  定員:各回20名(当日申し込み。先着順)

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│★研究員ノート −新(Shin)が提唱し,実践しているInteractive Museumは
         あなたの人生観を変える!−
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What,s Interactive Museum
 分館長の新です.メルマガは,赴任あいさつで簡単なプロフィールを書いて
以来です.今回は,私が実践しているMuseum論を紹介します.専門分野の古生
物学の話題は次の機会としましょう.
 読者の皆さんは“Interactive Museum(インタラクティブ・ミュージアム)”
という言葉を聞いたことがありますか.恐らく,博物館関係の業界人であるな
らば,私が学会や大学等で講演,講義していますから耳にしたことがあるかも
しれませんが,一般的にはあまりなじみの無い言葉だと思います.
“Interactive”という語彙自体,Inter(結ぶ,連携,協働等),Active(活
動,事業,経営等)を組み合わせた造語です.直訳すると“経営・事業の連携”
となりますが,従来の事業連携(ちまたで蔓延している博学連携等)とは大き
く異なっています.
 まずは,私が提唱し,実践している“Interactive Museum”を定義(2011y)し
ましょう.博物館の経営や事業を展開する際,博物館を取り巻く全てが
Interactiveな関係を持つことにより,目指す方向性や結果が単一ではなく無限
の可能性を導き出すことができます.この無限の可能性とは,博物館の運営や
事業展開の中で生み出された一つの到達点(結果・結論・成果等)をその最終
段階とするのではなく,“モノ・人・組織”がInteractiveに作用し合うことで
,博物館の基本的使命である資料収集(含保存,管理)・調査・研究・公開(展
示,講座,観察会等)・共有(情報発信,情報収集)の全領域において,常に新し
い目標(目標値)を設定することが可能となり,無限に新たなステージ(テーマ)
へと昇華し続けるフローにより創造されます.ここで言う“モノ”は博物館の
収蔵資料だけではなく,地域の自然・歴史・文化資産を指します.つまり,地
球という惑星と,そこを生活の舞台としている全生物が作り出した全てのもの,
つまり森羅万象です.そして,“人”は言うまでも無く全人類であり,“組織”
はその人が構成(構築)している社会的集団です.
 それでは,私が実践してきた“Interactive Museum”のいくつかをのぞいて
みましょう.

Episode 1:博物館,企業,教育機関が連携したアロサウルス・プロジェクト
 平成24年1月から4月まで“博物館と地域連携”を主要テーマとして「科博コ
ラボ・ミュージアムin千葉-恐竜アロサウルスとその時代の生き物たち」を開
催しました.「博物館と地域の皆さんとの間を恐竜アロサウルスが取り持ちま
す」をキャッチフレーズとし,中央博におけるアロサウルスの実物全身骨格の
展示をはじめ,市内の教育施設,デパートを会場に関連の展示と化石の体験講
座等を「博物館と地域とをつなぐ利用促進事業」として実践しました.
 この事業で“Interactive”のキーと位置づけたのは我が国で2個体しか存在
しない実物のアロサウルス全身骨格です.そして,ここで初の試みとしたのが
実物全身骨格の公開復元です.
 本来,博物館の展示は企画展会場等の閉鎖空間で行い,オープニングを経て
一般公開とします.これは何より資料の保存環境の維持と安全性を第一優先と
するためですが,さらに,見学者の安全性確保と,加えて,展示内容や展示資
料への期待感を助長する効果も狙っているからです.
 しかし,私は物事が出来上がっていくプロセスの楽しさと,本来,目にする
ことができないプロセスを見るという良い意味での差別感,特別感等を提供す
ることにしました.
 正に,“アロサウルスというモノ”がキーとなり,博物館,利用者,関連機
関,関係者等々がInteractiveに融合した展開と言えます.

Episode 2:博物館,学校,教育委員会,公民館,図書館が連携した論文指導
 既に,最初の取り組みから数えれば,10年以上の実績を上げている小学生を
対象とした夏休みの科学論文作成指導です.県内での実践は君津市教育委員会
からの依頼に端を発しており,今までに袖ケ浦市を中心に展開してきた実績が
あります.市教委管内の全小学校に呼びかけ,年平均で30名前後の児童が応募
してきます.ここで言う科学論文とは,自らが研究テーマを設定し,そのテー
マ解決のために仮説をたて,詳細な実験や観察等によりデータを集積し,その
データを解析する事で一つの結論を導き出し,最終的には自らの仮説との比較
検証を経て考察する論文形態を指しています.いわゆる調べ学習とは一線を画
するものです.この事業も,社会教育機関及びその関係者,受講生,そして,
研究対象としているモノ,現象等の間でInteractiveが成立していますね.

Episode 3:地球のダイナミズムと化石発掘セミナー(講座)
 この事業も私が既に30年近く続けているものです.栃木県塩原産出の木の葉
化石を使って,児童生徒から一般まで幅広く化石講座を行っています.博物館
の事業としてはもとより,学校や公民館,市町村教委,他の博物館等からの依
頼でも実践しており,昨年度は黄色いバスで有名な「はとバスツアー」の一環
として,中央博物館で3回実施しました.参加者は親子,友人同士,カップル等
,非常に多岐に渡り,博物館としても新たなユーザー層の開拓にもつながった
と考えています.
 そして,私の行う化石講座は,単に化石を割ったり,化石を取り出して終わ
りではありません.体験とは言え,博物館で専門の研究者が指導する事業です
から,取り出した化石の同定はもちろん,標本作製,さらには,希望者には自
由研究や論文指導までを事業のプロセスに位置づけています.また,講座で使
用する化石だけではなく,私が長年サンプリングしてきた各地質時代を代表す
る化石を実際に触ってもらい,それぞれの過去の生物がどういった環境で生息
していたのか,他の生物たちとどのような関係にあったのか,そして,我々人
類にどうつながっていくのか等々について学ぶ内容としています.つまり,化
石に興味があるから実際に割って取り出してみようという興味本位で参加する

だけではなく,そこに古生物学という学術的側面を盛り込むことで,後継者育
成も視野に入れています.ここでも,様々なInteractiveが成立していることが
おわかりでしょう.

Episode 4:房総のフィールド・ミュージアム事業
 平成26年3月,千葉県教育委員会は“ふれる,かかわる,つながる”を基
本理念とした『みんなで取り組む教育立県ちば』(千葉県教育振興基本計画)
を策定し,その中に千葉フィールド・ミュージアム事業を位置づけています.
中央博物館では自然,歴史,文化,生業,産業,教育,観光等,フィールドの
全領域を活用して,房総の山のフィールド・ミュージアム,房総の川のフィー
ルド・ミュージアム,房総の海のフィールド・ミュージアムを展開しています
.そしてその事業展開に際し,フィールド上のモノ,人,組織は強固に一体と
なり,Interactiveが成立しています.
 ここで,フィールド・ミュージアムを明確に定義しましょう.
フィールド・ミュージアムは単に活動の場をフィールドに置けば良いのではあ
りません.活動の場をフィールドに置くだけでは観察会や歴史・文化財見学会
等と何ら変わりないことになります.
 フィールド・ミュージアムとは文字通りフィールドをミュージアムと位置づ
けるわけですから,そこには,モノや情報の収集,調査・研究,学び,感動,
知的欲求,情報発信といった全ての面において,博物館(学芸員,組織)とフ
ィールドが所在している地域とが密接にリンクしていることが前提となります
.つまり,フィールド・ミュージアムは博物館側のみの展開では成立しないわ
けです.“地域の自然,歴史・文化資産”と“それらを研究対象としている博
物館の研究者”,そして,“そこを生活の場としている市民”とが協働して初
めて成立するミュージアム形態です.
 もうおわかりのように,現在,海の博物館が展開している事業全ては,この
“Interactive Museum”を体現していると言えます.これからも,海の博物館
のファンであり続けて下さい.

(分館長 新和宏)
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│★海の博物館周辺の情報
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●かつうら魅力市×B-1グランプリ
 日時: 11月5日(土) 9時00分~15時00分
青空市場や各種イベントの他、ご当地グルメも味わえます。
海の博物館も出展します! 

 以上の詳しい情報は、勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」を
ご覧ください。
http://www.katsuura-sanpo.com/

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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうご
ざいました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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の可能性も指摘されていますので、ご留意ください。)

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