千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第145号
配信日時:2017/03/01 10:00
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第145号
                          2017年3月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/

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 海岸では、少しづつ日中に潮が引くようになってきて、春の訪れが感じられます。
 春休みの磯遊びも楽しいですよ。

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│目次
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★マリンサイエンスギャラリー「サンゴ礁の生きものたち」開催中!
★3、4月の行事案内
★研究員ノート −混乱する普通種の分類−
★海の博物館周辺の情報
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│★ マリンサイエンスギャラリー「サンゴ礁の生きものたち」開催中!
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 マリンサイエンスギャラリー「サンゴ礁の生きものたち」では、様々な視点
でサンゴやサンゴをめぐる生きものたちを紹介しています。100種以上のイシ
サンゴ類標本をはじめ、貴重な標本や写真パネルを展示中です。

 会期は、5月7日(日)までです。お見逃しなく!

 http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?key=bbbx2isk8-4853#_4853

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│★3、4月の行事案内
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 詳しくはこちらをご覧下さい。
  http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533

 *4月の行事は今後変更となる可能性があります。

【観察会】 *要事前申込、保険料50円
 4月29日(日)「ウミウシを観察しよう」
 4月30日(日)「海藻を観察しよう」

【磯・いそ探検隊】 *当日先着順、保険料50円
 研究員の案内で博物館前の磯で生きものを観察します。
 4月2日(日) 13:30〜14:30
 4月16日(日) 13:00〜14:00

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジす
る行事です。
 3月11日(土)「コーラルプリントをしよう」
 3月25日(土)「コーラルプリントをしよう」
 4月8日(土)「コーラルプリントをしよう」
 4月22日(土)「コーラルプリントをしよう」

   (当日申込み。定員6名。先着順)
 ※入場料のほか、材料費50円/人が必要です。

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│★研究員ノート −混乱する普通種の分類−
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 海の博物館前の磯で観察会をするときに紹介する甲殻類のひとつに、テナガ
カクレエビという種類がいます。本メールマガジン第77号(2011年7月)で触
れているように、このエビは梅雨が明け、本格的な海のシーズンになると潮だ
まりで見られる数が増えてきます。外観はイソスジエビやスジエビモドキに似
ていますが、これらのエビよりやや小柄で、全体的に透明で体を走る黒色線が
ないため、目を凝らさないと見つけづらいエビです。そのため、潮だまりの生
きものを扱ったガイドブックなどにはほとんど掲載されていませんが、勝浦だ
けでなく、館山の沖ノ島や伊豆半島の潮だまりでも見ることができ、日本の暖
温帯域の浅い海では「普通種」と言えるでしょう。
 そのような種類であるにもかかわらず、最近、海外の甲殻類研究者がこの種
の形態的な特徴を理解しきれていないのではないか、と思える学術論文が出版
されました。ここでは、その原因について考えてみたいと思います。
 テナガカクレエビが学術的に紹介された最初の論文は、かれこれ10年前にこ
のメールマガジン(第16号)で紹介した、アメリカのスチンプスンという動物
学者によって発表されました。その時の繰り返しになりますが、彼は日本を開
国に導いたペリー艦隊の別動部隊といえる「北太平洋測量艦隊」の乗員として
日本沿岸で動物標本を採集しました(つまり江戸時代!)。テナガカクレエビ
は、それらのうち鹿児島県の奄美大島で採集された標本に基づき、1860年に新
種として発表されたのです。その後、今日に至るまで、テナガカクレエビの形
態を詳しく紹介した論文にはどのようなものがあるのかを紐解いてみると、意
外なほど少ないことに気がつきました。体の特徴がわかる詳細な図を伴ったも
のは、1922年にインド大陸南岸やスリランカ、インド洋東部のマーグイ諸島で
採集された標本を調べたものと、1976年にアフリカ東岸のケニアで採集された
標本を調べたものだけでした。テナガカクレエビの発見から150年を経ている
にもかかわらず、わずか2件で、残念ながら肝心な部分の記述やトゲの数の変
異幅などが不十分です。しかも、日本から遠く離れたインドやアフリカの標本
を記載したものです。これでは、このエビの特徴が正確に伝わらなくても仕方
がありません。逆にいうと、日本で発見された種類なのに、これまでに詳しく
研究をしてこなかった、私たち日本の甲殻類研究者が原因を作っている問題で
もあります。
 幸い、海の博物館にはテナガカクレエビが最初に発見された奄美大島産をは
じめ、私が勝浦で見かけるたびに集めていた、たくさんの標本が保管されてい
ます。現在、これらの標本を使ってこの種類を見分けるのに役立つ形態的特徴
を図で示し、分類学的な混乱を解消できるよう、論文を執筆しています。

(主任上席研究員 奧野淳兒)
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│★海の博物館周辺の情報
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●「2017 かつうらビッグひな祭り」
 3月5日(日)まで、「かつうらビッグひな祭り」が開催中です。
 開催期間中、勝浦市芸術文化交流センター「Kuste(キュステ)」をはじめ、
市内各所に約30,000体のひな人形が飾られます。遠見岬(とみさき)神社では
、60段の石段一面におよそ1,800体の人形が飾られ、夕暮れ時からライトアッ
プされます。
 期間中は、子どもたちが稚児の衣装で着飾ったひな行列など、盛りだくさん
のイベントが行われ、土日は歩行者天国になり各種出店が行われます。

   詳しくは以下のホームページをご覧ください。
   http://www.katsuura-sanpo.com/news/post-15821/

●かつうら海中公園で「ちっちゃいひな祭り」を開催
 かつうら海中公園では勝浦「ビッグひな祭り」に伴い「ちっちゃいひな祭り」
を開催し、皆様の手作りひな人形を展示しています。
 展示は3月5日(日)までです。

   詳しくは、かつうら海中公園のホームページをご覧下さい。
   http://www.katsuura.org/

●改修中で使えなかった鵜原理想郷のトイレが、3月3日から使用できる予定で
す。これで鵜原理想郷散策が便利になります。

 勝浦観光の詳しい情報は、勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」を
ご覧ください。
http://www.katsuura-sanpo.com/

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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうご
ざいました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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