千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第165号
配信日時:2018/11/01 10:00
千葉県立中央博物館分館◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第165号
                          2018年11月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 文化の日、博物館に行ってみませんか?

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│目次
└──────────────────────────────────
★文化の日は入館無料です!
★11月、12月の行事案内
★研究員ノート −新発見の災害記録−
★海の博物館周辺の情報
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★ 文化の日は入館無料です!
└──────────────────────────────────
 11月3日(土・祝)の文化の日は入館無料となります。スタッフ一同、皆さ
まのご来館をお待ちしています。

 ※ お客様駐車場は通常通り(有料)です。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★11月、12月前半の行事案内
└──────────────────────────────────
 詳しくはウェブサイトをご覧下さい。
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/UMIHAKU/genre/1517380874379/index.html

【講座】 *2週間前までに事前申込
 12月9日(日)「ヒラムシってどんな生きもの?」
 海にすむ紙のように薄い動物・ヒラムシについて紹介します。

【博物館探検隊(バックヤードツアー)】
 ふだん見ることのできない博物館のバックヤードを、研究員の案内でめぐり
ます。
   日時:11月3日(土・祝) 13:30〜14:00
 定員各回15名(当日申込み。先着順)

【海の体験コーナー】
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジする行事です。
 11月 10日(土)「コーラルプリントをしよう」
 11月 25日(日)「オリジナルオブジェを作ろう」
 12月  8日(土)「微小貝を探そう」
   (当日申込み。定員6名。定員を超えた場合は抽選となります)
 ※入場料のほか、材料費50円/人が必要です。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★研究員ノート −新発見の災害記録−
└──────────────────────────────────
 今年は”台風の当たり年”といわれています。日本列島をかすめたり上陸する
大型の台風が数多くありました。9月末には、大型台風の24号が和歌山県に上陸
して列島を縦断しました。大雨と強風により交通麻痺や停電等、各地で大きな被
害を出しました。台風進路の東側に当たる千葉県でも、強風による塩害等の被害
が各所で発生しました。この台風24号は、1959(昭和34)年9月の伊勢湾台風に似
た上陸後のコースを辿り、伊勢湾台風の再来と危惧されましたが、気象災害の歴
史を紐解くと、これ以前にも同じようなコースを辿って被害をもたらした台風が
ありました。

 今から101年前の1917(大正6)年9月30日から10月1日にかけて静岡県浜松付近に
上陸して列島を縦断し、北海道からオホーツク海に抜けた台風は、関東地方特に
東京湾沿岸に甚大な被害をもたらしました。「千葉県気象災害史」(1969 銚子
地方気象台)によれば、9月30日夜半から暴風雨となり、10月1日正午まで続き、
浦安(浦安市)から五井(市原市)にいたる沿岸一帯は未曾有の高潮に襲われ、当
時の東葛飾郡(現在の市川市・松戸市・野田市・流山市・浦安市・船橋市・柏市
・鎌ヶ谷市(市域の一部を含む))41か町村で死者122人、行方不明4人、負傷16
4人、住家流失201戸、全壊350戸、半壊600戸、浸水床上4980戸、床下浸水240戸
等々の被害をもたらしました。台風進路の東側に当たる東京湾は、南からの強風
による海水の吹き寄せと気圧低下による海面上昇さらに未明の満潮時刻とが重な
って、高潮による甚大な被害を出しています。ネットでも「十五夜に海が襲って
きた—恐怖の高潮被害「大正6年の大津波ー」と題して千葉県の防災史ページで紹
介されています。

 さてこの台風の被害ですが、東京湾岸や北総地域での被害を伝える記事がほと
んどで、太平洋側では白子町(高潮以外の被害)を南限に以南の外房地域の被害
の実態はまったくと言っていいほど知られていません。ところが地域の自然災害
史を調査している中で、海の博物館のすぐ近く、勝浦市吉尾で1917年の高潮被害
を記した史料を発見することができました。この史料はこれまでどこにも報告紹
介されておらず、新発見の史料といえます。地元寺院の過去帳の奥書に記された
もので、当時のお寺の住職により当時の吉尾村での様子が数日前から時系列的に
記されています。概略を紹介すると、9月28日が旧暦8月13日でこの日の太陽が輪
を帯びて水分の多い陽気であったこと。30日すなわち旧暦8月15日は曇天で大潮
の干潮時には数年来の引き潮で、まったくの無風の”ぎらなぎ”であったこと。
その後晴天となって夜を迎えたが、午後11時半頃から大暴風雨になり、漁船は陸
に打ち上げられ、大波が集落を襲い海辺の家屋等数十棟が波に引き込まれてその
主だった家主を13名書き上げています。そしてこのような大波の襲来は今まで見
聞きしたことがないとも記しています。今後はこの史料を分析しながら、この地
区における高潮による浸水域等の復元を試みたいと思っています。因ってこの史
料の詳細は別の機会に譲りましょう。

 各地に出向いての現地調査を行うと、時にはこれまで知られていなかった史料
に遭遇し、様々な事実を明らかにできることを実感した調査でした。これからも
地味ながらも、こつこつ歩き回ってみたいと思っています。また、ほとんどの場
合先方にはあらかじめご連絡をした上で伺いますが、野外での石碑や墓石を調査
することもあり、このコラムを通して、調査で歩き回っている私を見つけても、
けっして不審者ではないことも付け加えておきましょう。

(主任上席研究員 本吉正宏)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★海の博物館周辺の情報
└──────────────────────────────────
●かつうら魅力市×黒潮祭×B-1グランプリ
 日時: 11月4日(日) 9時00分~15時00分
毎年恒例の「かつうら魅力市」、今年度は国際武道大学黒潮祭とコラボです。
青空市場や各種イベントの他、ご当地グルメも味わえます。
http://www.katsuura-sanpo.com/facilities/event/post-8717/

 以上の詳しい情報は、勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」を
ご覧ください。
http://www.katsuura-sanpo.com/

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうございました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
(電子メールにつきましては、送信途中において悪意のある第三者による盗聴の可能性も指摘されていますので、ご留意ください。)

*このメールは送信専用メールアドレスから配信されています。
  返信いただいてもお答えできませんのでご了承ください。
登録内容の変更はこちらへ ##__MYPAGE_URL__##
配信停止はこちらへ ##__CANCEL_URL__##
無断転載はお断りします