千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第178号
配信日時:2019/12/01 10:00
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第178号
                          2019年12月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/

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 2019年もまもなく終わりです。
 やり残した事はありませんか?

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│目次
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★年末年始の開館情報
★秋冬の企画展示「ツノシマクジラがやってきた」開催中!
★12月、1月の行事案内
★研究員ノート −台風19号とアサクサノリ-
★海の博物館周辺の情報
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│★ 年末年始の開館情報
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 年末年始にかけて、臨時休館がございます。ご注意ください。
 新年は、1月2日(水)から開館いたします。

臨時休館:令和元年 12月17日(火)、18日(水)
     令和2年 1月15日(水)、16日(木)
年末年始の休館:令和1年12月28日(土)〜令和2年1月1日(水)

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│★秋冬の企画展示「ツノシマクジラがやってきた」開催中!
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 貴重なツノシマクジラの骨格標本をこの機会にぜひご覧ください。
 会期は、令和2年1月13日(月・祝)までです。

 http://www2.chiba-muse.or.jp/www/UMIHAKU/contents/1567836778275/index.html

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│★12月、1月の行事案内
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 詳しくはウェブサイトをご覧下さい。
 http://www2.chiba-muse.or.jp/www/UMIHAKU/genre/1517380874379/index.html

【講座】 *2週間前までに事前申込
 1月26日(日)「ヒラムシってどんな生きもの?」
 外来生物となっている海藻について紹介します。

【海の体験コーナー】*当日先着順、材料費50円
 体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレンジす
る行事です。
 12月 7日(土)「海藻おしばを作ろう」
 12月21日(土)「海で見つけた材料でオリジナルオブジェを作ろう」
  1月11日(土)「微小貝を探そう」
  1月25日(土)「コーラルプリントをしよう」

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│★研究員ノート −台風19号とアサクサノリ−
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 今年の秋は9月に台風15号が、10月に台風19号が関東地方に上陸し、またその
すぐ後の台風21号の接近時には千葉県内各地で大雨が降りました。これらの災害
によって千葉県内はもとより、東日本各地に大きな被害が出て、未だに復旧が進
んでいない地域があります。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。
 10月中旬に台風19号が通過した際には、東日本各地で大雨が降り、河川の氾濫
が相次ぎました。私が絶滅危惧種の海藻アサクサノリの生育状況を定期的に調査
している東京と神奈川の境を流れる多摩川でも、流域の何カ所かで氾濫し、周辺
地域では大きな被害が出ました。アサクサノリが生育するのは多摩川の一番海側
、河口付近です。調査に協力してもらっている地元の人の話では、河口付近では
氾濫はなかったようですが、記録的な大雨でしたので、どのような状況になって
いるのか心配していました。そして、先日ようやく調査に行くことができ、状況
を見てきました。
 同行していただいた地元の人の話によると、台風通過後1カ月くらいたって、
ようやく水の濁りが少なくなってきたとのこと。堤防の上から見ると、堤防内に
ある種子植物のヨシの草原は、ほとんどが河口方向になぎ倒されていて、根の付
いた大きな流木が河川内にいくつも見られ、相当の水が流れたものと思われまし
た。
アサクサノリ生育地付近で干潟に入ると、通常の砂や泥の混じった干潟の上に、
陸上から流入したと思われる柔らかく茶色い泥が20cmくらい積もっていて、足を
踏み入れるとズブズブと入ってしまうところもありました。いつもと異なる状況
に慎重に観察の定点まで歩いて行きました。
 定点に着くと、そこの様相はいつもとかなり違ったものとなっていました。定
点はヨシ原の中に設定していますが、そこから川の中心に向かってヨシ原が切れ
る所まで、大量の砂が堆積しています。そして、ヨシ原の横の、通常では干潮時
に干潟が出るところは、干潮時でも水深が1m以上にもなっていました。おそらく
強い水の流れでヨシ原横の干潟の砂が巻き上げられ、ヨシ原内に堆積してしまっ
たのではないかと思われました。アサクサノリが着生するヨシの茎も、高さ20~
30cmくらいは砂に埋もれており、アサクサノリが着生する場所がほぼ半減してい
ました。しかし、さらにもっと厳しい状況がありました。
 アサクサノリは食用となる葉っぱ状の体(葉状体)が冬から春に出現しますが
、夏の間などは糸状の小さな体(糸状体)になって、貝殻などの石灰質の中にト
ンネルのような孔をあけて生育しています。多摩川河口干潟では、ヨシ原内のヨ
シの根元付近にたくさんのカキが生息していますので、この殻の中に糸状体が入
り込んでいると思われます。しかし、大量の砂がヨシ原内に堆積してしまったの
で、それらのカキが埋ってしまっていました。このまま砂が堆積した状況が続き
、カキが太陽の光の届かない場所にあれば、カキに入っていた糸状体には大きな
影響が出るのは避けられないのではないかと思われました。もちろん、全てのカ
キが埋ってしまったわけではなく、また、堆積した砂の上にも、多くはありませ
んがカキの殻が散乱している状況がありました。しかし、アサクサノリの生育す
る範囲を回ってみると、かなり砂が堆積したり地形が変わったりして、見られる
カキの数もかなり減っていたので、今後、アサクサノリの生育量にはかなりの影
響が出てくるのではないかと思われました。
 今回の大雨による地形等の変化は、多摩川のアサクサノリを定期的に調査し始
めてから、初めて遭遇した大きな環境の変化と思われました。しかし、古くから
そこに生育するアサクサノリはそのような環境の激変にも耐えてきているはずで
す。アサクサノリの葉状体は毎年12月くらいから見られるようになりますが、今
年はどのようになっているか、今後も定期的に調査を続けて、その姿を確認した
いと思っています。

(主任上席研究員 菊地 則雄)

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│★海の博物館周辺の情報
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●お正月、初日の出スポット
 海の博物館の所在する勝浦市は房総半島の南東部に位置していることから、
太平洋から昇ってくる日の出を見ることができます。
 おすすめは勝浦市街地の東に位置する「官軍塚」とその近くにある勝浦城
址(八幡岬公園)、そして海の博物館の近くの「鵜原理想郷」でしょう。
 これらの場所は海岸の高台にあって美しい日の出を眺めることができます。
 詳しくは以下の勝浦市ホームページをご覧ください。

「官軍塚」
http://www.city.katsuura.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=29183
「八幡岬公園(勝浦城跡)」
http://www.city.katsuura.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=29182
「鵜原理想郷」
http://www.city.katsuura.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=29499

 勝浦観光の詳しい情報は、勝浦市観光ポータルサイト「かつうら潮風散歩道」
をご覧ください。
http://www.katsuura-sanpo.com/


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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうございました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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