千葉県立中央博物館メールマガジン バックナンバー
★ ちば中央博メール 2020年5月号 ★
配信日時:2020/05/10 08:00
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   ちば中央博メール 2020年5月号(2020年5月10日発行・第165号)
        http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/ 

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目 次
1.お知らせ
2.中央博の窓-128
3.イベント情報
(1)中央博物館本館・生態園
(2)大利根分館
(3)大多喜城分館
4.研究室から-101 「スナモグリ類の研究」
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1.お知らせ
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◆本館では現在、春の展示「うめ・もも・さくら」、チバミュージアムフェスタ2020
~千葉県立美術館・博物館展覧会~ 『「オリンピック・パラリンピック」と千葉のス
ポーツ史』を、生態園では生態園トピックス展「生態園の外来哺乳類」を開催してお
りましたが、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、分館も含め、現在、臨時休
館としております。御利用の皆様には、御不便をおかけしますが、御理解のほどお願
いいたします。なお、再開の予定につきましては、改めてお知らせいたしますので、
ご来館前にウェブサイト等でのご確認をお願いいたします。
※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
  http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1517539269054/index.html#kaikanbi 
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2.中央博の窓-128 「食べられるがまずい。」
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 本年度から駅伝の町、我孫子市の小学校から千葉県立中央博物館へ異動してきまし
た。大野将史です。
 「食べられるがまずい。」これが私の生物学との出会いでした。幼稚園に通ってい
るころに父に買ってもらった魚類図鑑に記載された言葉です。「まずい。」という情
報をわざわざ図鑑にのせていることが私にとってとてもおもしろく、図鑑をながめて
は、どの魚がまずいのか、とよく探していました。鮮魚店に並んでいる魚以外にも、
魚がたくさんいること、食べられない魚もいることを知り、生き物への興味をもちま
した。そこから植物や菌類へと関心がうまれ、学生時代にはきのこの生物濃縮につい
て、研究してきました。学生時代から利用してきた博物館で仕事をすることができる
ので、楽しみです。
 私は博物館では学校と博物館の連携について仕事をし、教員のための博物館での研
修や、学校への広報活動を行います。小学校では今年度から改訂された学習指導要領
の本格実施となりましたので、児童生徒がより深い学びを得られるよう、学校の博物
館利用を推進していきます。博物館を通して、私にとっての「食べられるがまずい。
」のように、子どもたちにとってキラキラ輝く学びとの出会いが訪れるように願って
います。利用者のみなさんと出会えるのが楽しみです。よろしくお願します。
(教育普及課 大野 将史) 
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3.イベント情報
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博物館での行事については、本館・生態園の臨時休館・休園などで実施できない場合
もございます。中央博物館トップページでご確認くださるようお願いします。
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(1)中央博物館本館・生態園
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 ※開館日をご確認の上ご来館ください。開館日カレンダー↓
  http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1517539269054/index.html#kaikanbi 

◆【講座・観察会】詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1520009714819/index.html 

◆【ミュージアム・トーク】(研究職員による展示・資料解説) 
詳しくはこちら↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1520012270143/index.html 

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(2)大利根分館 http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ 電話:0478-56-0101 
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大利根分館は、新型コロナウィルス感染防止のため、当面の間、休館となります。 再
開時期については別途、当ホームページでお知らせします。↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/www/OTONE/contents/1583194620541/index.html 
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(3)大多喜城分館 http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ 電話:0470-82-3007 
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大多喜城分館は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため当面の間休館となります。
 再開時期については別途、当ホームページでお知らせします。↓
    http://www2.chiba-muse.or.jp/www/SONAN/contents/1582331048099/index.html 
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4.研究室から-101「スナモグリ類の研究」
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昨年のオオスナモグリの発見(https://doi.org/10.11646/zootaxa.4604.3.4)により
、スナモグリという甲殻類が世間に少しは知られたのではないかと思っています。干
潟や砂地に穴を掘って生息する、ハサミだけは大きいけど、弱々しいルックスのエビ
のような形をした甲殻類。つい最近までは、十脚目アナエビ下目スナモグリ科
Callaianassidaeとしてまとめられていたのですが、昨年発表された論文
(Poore et al. 2019)(DOI https://doi.org/10.24199/j.mmv.2019.78.05)
により、分類体系が大きく見直され、いくつかの科に分割されました。オオスナモグ
リは現在ではCallichiridae(和名がまだありません)という科に分類されます。私が
本格的にスナモグリ類の研究を始めたのは、2006年のことです。
念願のヤビーポンプを手に入れ、昭和聖徳記念財団の助成を受け、千葉県内と琉球諸島
各地での採集調査を始めました。その後も日本各地で調査を続け、他の大学や研究機関
の研究者の方々との共同研究も進めてきました。研究を始めた当時は日本産としては7
種ほどが知られるだけでしたが、現在では約25種まで増えました。これまでに収集し
た標本にはまだまだ多くの新種が含まれていて、今後も研究成果を発表していきます。
 さて、今回紹介するのは新しく発表する予定のスナモグリ科に関する論文です。もう
10年以上前になりますが、2009年6月に沖縄本島の大浦湾に甲殻類研究者5名が集ま
り、集中的な調査を実施しました(私も参加しました)。藤田喜久さん(現沖縄芸術大
学准教授)と成瀬貫さん(現琉球大学准教授)は、潜水しながらヤビーポンプを使って
泥の中に深く潜っている甲殻類の採集を行いましたが、採集された標本の中には小さな
スナモグリ類が混じっていました。詳しく検討したところ、インドネシアのアンボンで
採集されたScallasis amboinae Bate, 1888と同定されました。日本からは記録がない
上、先行報告例も乏しい種だったので、2014年に再記載論文原稿を作成し、オーストラ
リアのビクトリア博物館で甲殻類の研究をしているGary C.B. Poore博士(アナエビ下
目研究の大家です)に原稿の査読をお願いしました。Pooreさんからは「近年の調査に
よりパプアニューギニアで採集されたS. amboinaeの標本を検討したが、日本産の種と
は違うようだ」というコメントをいただきました。ということで、論文はペンディン
グ。しかし、昨年〜今年にかけて大きな動きがありました。スナモグリ類の分子系統解
析(Robles et al., 2020)(https://doi.org/10.1071/IS19021)とその結果に伴う分
類体系の変更を提唱する論文(Poore et al., 2019)が発表されたのです。
Scallasis属はこれまでCallianassa属の中のグループとされることが多かったのです
が、独立の属とされ、既知の7種がScallasis属に移されました。これで沖縄産の標本
の種同定が可能となりました。しかし、既知の同属種7名義種ですが、種によっては形
態的な特徴に関する情報が乏しいものもありました
(丁寧な論文を書くというのはやはり大切です)。比較は難航しましたが、沖縄産の種
は未記載種であるという結論に達しました。Pooreさんにも共同研究者になっていただ
き、6年ぶりに再開された論文は2020年1月30日にZootaxaに投稿され、審査を経て、
めでたく現在印刷中となりました(Komai, Poore & Fujita, in press)。
論文の内容ですが、Pooreさんの協力もあり、Scallasis属全種のレビューと
S. amboinaeの再記載、沖縄産の新種を記載するという当初よりもかなり充実したものと
なりました。沖縄産の新種ですが、サイズが小さいことに由来して「マメスナモグリ」
という和名が与えられる予定です。学名の方は論文が現時点では公表されていないので、
ここではまだ言及できません。お楽しみ?ということで。
(動物学研究科長 駒井智幸)
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●発 行
 千葉県立中央博物館
 〒260-8682 千葉市中央区青葉町955-2
 電話:043-265-3111 FAX:043-266-2481
 URL:http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/ 
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 返信をいただいてもお答えできませんのでご了承ください。
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 お願いします。
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