千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
『海からのたより』 第94号
配信日時:2012/12/01 00:10
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 海からのたより 第94号         2012年12月1日発行

      千葉県立中央博物館分館 海の博物館
      http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/



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│目次
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★「~ダイバーズフォトギャラリー~ 勝浦の海をゆく」を開催中!!
★12月、1月の行事、開館・休館日のご案内
★マリンサイエンスギャラリーの準備が進行中!
★千葉県立博物館文化セミナー『千葉学講座』開催のお知らせ
★研究員ノート -勝浦の原風景と植物たち-
★海の博物館周辺の情報



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│★「~ダイバーズフォトギャラリー~ 勝浦の海をゆく」を開催中!
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 平成24年度写真展「~ダイバーズフォトギャラリー~ 勝浦の海をゆく」を
開催中です!ダイバーの皆さんが撮影した写真約100点を展示し、勝浦周辺の
海中で見られる美しい景観やそこで出会った生きものたちを紹介しています。
どうぞお楽しみに!

  開催期間:平成24年10月27日(土)~平成25年1月14日(月・祝)
  協  力:勝浦ダイビング協会

 詳しくは海の博物館ホームページの企画展示の案内をご覧ください
 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=393


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│★12月、1月の行事、開館・休館日のご案内
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【海の体験コーナー】
    体験交流員といっしょに、海にまつわるさまざまなメニューにチャレ
     ンジする行事です。
   対 象:小学生以上(小学生は保護者同伴)
   定 員:各回 6 名(当日申込み。定員を超えた場合は抽選)
   参加費:無料(入場料は別途必要)
   日 時:
       12月 8日(土)「微小貝を探そう」
       12月22日(土)「コーラルプリントをしよう」
     1月12日(土)「海藻おしばを作ろう」
     1月26日(土)「オリジナルオブジェを作ろう」
      *各日とも11:00と13:30開始の1日2回、それぞれ約20分間。
       皆さまの参加をお待ちしております。

   海の博物館の行事について、詳しくはこちらをご覧下さい
      http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=533

【開館・休館日】
  12月、1月には臨時開館、臨時休館日があります。
  年明けは1月2日から開館します。

   12月の休館日 3、10、17-19、25、28-31日
    1月の休館日 1、7-9、15、21、28日



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│★マリンサイエンスギャラリーの準備が進行中!
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 今年度の企画展示であるマリンサイエンスギャラリーは、「深い海に暮らす
生きものたち」と題して、2月16日(土)から開催いたします。現在は、その開
催に向けての準備を進めているところです。
 深い海の中は、人が直接近づくことが難しいため、水深わずか数百メートル
の場所にすむ生きもののことさえよくわかっていません。そのような生きもの
たちの暮らしや体のつくり、人との関わりについて紹介します。
 企画展示を担当する研究員は、展示資料の収集などの準備に毎日奮闘してい
ます。皆さまもマリンサイエンスギャラリーをどうぞご期待ください。


 詳しくは海の博物館ホームページの企画展示の案内をご覧ください
 http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=393



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│★千葉県立博物館文化セミナー『千葉学講座』開催のお知らせ
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 平成24年度『千葉学講座』が開催されます。これは、県立博物館の学芸職員
による日頃の調査研究活動の成果を発表する講座です。今回は中央博物館分館
海の博物館と現代産業科学館の学芸職員が、各館の企画展示や常設展示に関連
したテーマを選び、スライドや実演を交えながら最新の研究成果についてわか
りやすく紹介します。 

 日時 12月15日(土)13時~15時
    (1)13時~14時
     演題 深い海に暮らす生きものたち
     講演者 川瀬裕司(県立中央博物館分館海の博物館)
    (2)14時~15時
     演題 発電の仕組みについて
     講演者 今関文章(県立現代産業科学館)
 会場 千葉県立美術館(千葉市中央区中央港1-10-1)
    JR京葉線・千葉都市モノレール「千葉みなと」駅下車、徒歩10分
 定員 先着200名(当日受付)
 参加費 無料
 問い合せ 千葉県立美術館 電話043-242-8311



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│★研究員ノート -勝浦の原風景と植物たち-
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 11月の中旬に海の博物館がある勝浦の海辺を歩いてみました。この季節には
キク科植物の黄色い花をたくさん見ることができます。この美しい黄色い花を
見つけると、秋の深まりと冬の足音を実感します。

 黄色い花をつける植物をいくつか紹介してみると、まず周辺を歩いていて一
番先に気づくのは、崖地の岩場に咲く「ツワブキ」です。フキに似た葉をもち、
葉表面は光沢をもっています。園芸植物として庭に植栽されることもあり、古
くは江戸時代に改良された品種が残っています。「キャラブキ」はもともとこ
の植物を使った料理です。直径5cmほどの黄色い花をもち、それは舌状花と
筒状花という部分に分けられます。周辺に花びら状にみえるのが舌状花で、雌
しべだけもっています。中心部にあるのが筒状花で、雄しべと雌しべの両方を
もちます。ツワブキが福島から南に広く分布しているのに対して、ずっと狭い
分布なのが「ワダン」です。この植物は、実は房総半島と三浦半島、伊豆諸島
など海岸沿いの限られた地域でしか見ることができません。特徴は、まるでキ
ャベツのような葉っぱで、一説には海の古語である「わた」と、野菜を意味す
る「菜」からきているともいわれます。「菜」がつく植物は食べられるものが
多いようですが、ワダンはおいしくないようです(私は食べたことがありませ
んが)。この花が見られるのは、11月末頃まででしょう。

 さて、ここで本題です。この季節の房総半島の海辺を代表するキク科植物と
いえば「イソギク」でしょう。この植物は、舌状花をもたない(花びらに見え
る部分がない)ため、他のキク科植物と比較すると地味な花ではあります。し
かし葉に特徴があり、葉の裏面に生える白い密毛は表からもわずかに見えるた
め、まるで白い額で縁取られているような趣きがあります。勝浦の海岸に欠か
せない花といえます。ところが、よく観察してみると、イソギクの中に花びら
状の舌状花をもつものをたまに見つけます。これは栽培ギクなどとの雑種で、
舌状花が白いものをハナイソギク、黄色いものをサトイソギクといいます。在
来種を脅かす存在ですが、この2種類を鵜原周辺の数か所で見つけました。
『千葉県植物誌』ではこの2種は「重要有害」と評価されています。そういえ
ば、こちらは帰化植物ですが、同じキク科でいわゆる「くっつき虫」の種子を
つくる「コセンダングサ」もまた舌状花をもちません。ところが、これまた白
い舌状花をもつ雑種をみつけました。これはコセンダングサとシロノセンダン
グサとの雑種で、アイノコセンダングサといいます。全くキク科の交雑には驚
かされます。

 他にも、鵜原理想郷近辺では在来種のカントウタンポポを見ることができま
すが、これも外来のセイヨウタンポポとの交雑が懸念されます。セイヨウタン
ポポは無配生殖のため花粉によらずに種子をつくることができるのですが、ど
うも条件によっては交配もするそうです。私たちが在来種だと思っていたもの
も、よくよく調べると外来種との交雑が進んでいることも多いのかもしれませ
ん。野に咲く花を見つけては季節の移り変わりを感じるのは、日本人の風情で
すが、その原風景が外来種によって少しずつ変化していくのは、やはり寂しい
ものです。これからの子どもたちにとって秋の風物詩が、外来種のセイタカア
ワダチソウばっかりでは、いたたまれない気持ちになります。また、今年の初
夏には博物館の近くで、特定外来生物に指定されているウリ科の「アレチウ
リ」を発見しました。幸い台風による潮風で実をつける前に枯れていましたが、
このような植物が繁茂し始めると風情の問題では済まなくなってきます。昔か
らある勝浦の原風景が、子どもたちにとっての故郷の景色であり続けてほしい
と願わずにはいられません。

 いずれにしてもキク科の植物たちにお目にかかれる時期はそろそろ終了です。
今年の木枯らし1号は、東京では11月18日に吹きました。例年より23日も遅か
ったそうですね。いよいよ冬将軍の到来です。長い冬を乗り越えて、春の芽吹
きを見つける日を今から心待ちにしています。(上席研究員 青木慎哉)



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│★海の博物館周辺の情報
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●お正月、初日の出スポット

 海の博物館の所在する勝浦市は房総半島の南東部に位置していることから、
太平洋から昇ってくる日の出を見ることができます。
 おすすめは勝浦市街地から東に位置する「官軍塚」とその近くにある勝浦城
址(八幡岬公園)、そして海の博物館の近くの「鵜原理想郷」でしょう。
 これらの場所は海岸の高台にあって美しい日の出を眺めることができます。
    ※海の博物館は、1月2日から平常開館しています。

 官軍塚と鵜原理想郷については次のページをご覧ください。

「官軍塚」(勝浦市のホームページになります)
http://www.city.katsuura.chiba.jp/history/05.html

「鵜原理想郷」(勝浦市のホームページになります)
http://www.city.katsuura.chiba.jp/map/risoukyou.html



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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただき
 ありがとうございました。


発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
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    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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