千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第187号
配信日時:2020/09/01 16:00
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第187号
                          2020年9月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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 9月の連休、行き先に迷ったら海の博物館にどうぞ!
 海の博物館は、十分な新型コロナウイルス対策を実施し通常の営業時間で開
館しています。ただし、各種行事については引き続き全て中止しています。事
前申込制行事の受付も休止しておりますので御注意ください。

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│目次
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★9月27日まで! 大収蔵資料展「海博・お宝大集合!」
★新型コロナウイルス対策について
★研究員ノート - キノコギンチャクは新種だった-
★海の博物館周辺の情報

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│★大収蔵資料展「海博・お宝大集合!」開催中です
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 平成31年3月に開館20周年を迎えた海の博物館。この20年間に収集された海の
生きものに関する貴重な資料=海博のお宝の数々を一挙公開しています。
 博物館の資料のうち、非常に貴重なタイプ標本群や、千葉県で採集されたダ
イオウイカの子供、チョウザメ類、これまでメディアで取り上げられた標本類
など、「お宝」が目白押しです。また、博物館が行っている資料収集や調査研
究活等、普段人目に触れない活動についてもわかりやすく紹介しています。
会期は9月27日までとなっています。この機会に是非一度御覧ください。
●令和2年度収蔵資料展 大収蔵資料展「海博・お宝大集合!」(当館ウェブサイト)
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/UMIHAKU/contents/1592614955346/index.html

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│★新型コロナウイルス対策について
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 海の博物館は現在通常の営業時間で開館しています。利用にあたっては以下
のお願いをしています。博物館では各種ガイドラインに則り十分な感染防止対
策を行っておりますが、皆様におかれましても引続き新型コロナウイルス感染
拡大の防止に御協力をお願いいたします。

【入館に際してのお願い】
・混雑状況により博物館施設及び展示室への入場制限を行う場合があります。
・入館前に検温、手指消毒、体調等の確認をさせていただきます。
・入館にあたっては、入館確認票の御記入をお願いしています。
・入館確認票は事前に記入してお持ちいただくことも可能です。ウェブサイト
からダウンロードできます。
●入館確認票PDF形式(当館ウェブサイト)
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/UMIHAKU/contents/1590451843661/simple/%E5%85%A5%E9%A4%A8%E7%A5%A8.pdf
・マスクを着用し、咳エチケットを心がけてください。
・他の方との距離を2メートル程度あけて御観覧ください。
・展示物、展示ケースにはお手を触れずに御観覧ください。
・館内での飲食はできません。

 【休止している主な展示・サービス】
・展示物に手を触れて利用するハンズオン展示(タッチパネル等を除く)
・顕微鏡等、目が接触する恐れのある展示
・団体予約受付(学校団体及び一般団体)
・展示解説や観察会等の主催行事
・学習キットの貸出

【その他の感染防止対策】
・館内の椅子等について、一部利用を制限しております。
・入場券売場等に感染防止用バリアを設置しております。
・スタッフがフェイスガードとマスクを着用しております。
・館内をアルコール消毒しています。

なお、感染拡大の状況などにより変更が生じる場合がございます。
御了承くださいますようお願いいたします。

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│★観察会等の実施状況について(当面中止)
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 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、当館主催行事ならびに団体か
らの依頼による磯観察等の行事は全て中止しています。
 再開についての指針が定まりましたら、別途ウェブサイト等でご案内いたし
ます。

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│★研究員ノート -キノコギンチャクは新種だった-
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 「キノコギンチャク」というイソギンチャクは、房総半島を含む本州中部の
沿岸、水深10m程度の砂泥底に生息しています。体の殆どは砂泥の中に埋没して
おり、刺激を与えると砂の中に深く潜ってしまって、見つけ出すのは容易では
ありません。「キノコ」の名前の由来はおそらく、触手が太く、先端がシメジ
やエノキダケの傘の部分のように少し膨らんでいることから名付けられたもの
だと思います。この触手には通常のイソギンチャクが持つ螺刺胞(スピロシス
ト)と呼ばれる刺胞が含まれていないというのが、非常に特徴的です。このイ
ソギンチャクには、永らく地中海から大西洋に産する種類の学名 Anemonactis 
mazeli が充てられていました。しかし、地中海や大西洋にかけて分布する種
類が日本にも生息しているというのは、やや疑問でした。
 そこで、今回、当館共同研究員の泉貴人博士(琉球大学特別研究員)と国立
科学博物館の藤田敏彦博士、私の3名で日本に生息する「キノコギンチャク」
の形態をしっかりと調べ直しました。生きている状態も含めて検討できたのは、
海の博物館に収蔵されている2001年に鴨川市沖合で採集された個体です。この
ほか、国立科学博物館に収蔵されていた標本を検討に用いました。残念ながら
地中海で新種として発表された際に使用された標本は行方がわからず、これと
直接比較することはできませんでしたが、これまで大西洋で得られている標本
の形態形質の情報と慎重に比較した結果、日本国内で「キノコギンチャク」と
呼ばれているイソギンチャクは新種であることが判明し、Anemonactis tohrui 
という学名を付けて発表しました。
 一方、1908年に相模湾産の標本に基づいて新種として発表された「チビナス
イソギンチャク Anemonactis minuta」は、従来、「キノコギンチャク」とさ
れていた地中海・大西洋に生息する種類と同種と考えられ、有効種として扱わ
れていませんでした。私達はこの「チビナスイソギンチャク」についても検討
を行いました。その結果、「チビナスイソギンチャク」は、「キノコギンチャ
ク」とも地中海産の種とも明瞭に区別することができ、有効種であることを確
認、提唱しました。
 この研究の成果は、ドイツの学術誌 Marine Biodiversity の電子版で、8月
19日に発表されました(https://link.springer.com/article/10.1007/s12526-020-01085-5)。
 比較的よく目にする身近なイソギンチャクでも、その分類はまだまだ安定し
ていません。生きものに名前をつけるという作業は、その種類を使って行う各
種研究や、ある場所の生物相の調査やその評価等の点においても必須であり、
もっとも基礎的な研究であると言えます。国内にごく普通に生息しているイソ
ギンチャク類でも、まだまだ名前がついていなかったり、分類がはっきりして
いなかったりするものがたくさん生息しています。今後も、ひとつひとつ、そ
のような名無しのイソギンチャクたちにしっかりと名前をつけていきたいと考
えています。
(主任上席研究員 柳研介)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】
・勝浦朝市は通常通り(6時半頃~11時頃)開催されています。※水曜日と元旦
以外原則毎日開催。
・みんなで元気に! ちばのおもてなしキャンペーン(8月27日~10月31日)が
実施されています。期間中に市内のキャンペーン参加施設に宿泊されたお客様
には「勝浦タンタンメン生麺3食入り」か参加店舗で使用できる「お買い物クー
ポン券」が一部屋毎にプレゼントされます。予定数に達したら終了とのことで
すので、早めにチェックしてみてください。詳しくは以下の勝浦市観光協会ウェ
ブサイトを御覧ください。
https://www.katsuura-kankou.net/%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%97%E6%8F%90%E4%BE%9B%E4%BA%8B%E6%A5%AD/

【祭典情報】(前月号に引き続き掲載します)
勝浦大漁まつり: 予定されていた9月18~21日の全日程が中止となりました。

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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうご
ざいました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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