千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第190号
配信日時:2020/12/01 09:00
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第190号
                          2020年12月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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 今年もあっという間に師走に突入です。今年は新型コロナウイルスの影響で
博物館活動にも様々な影響があった年でした。今年積もった塵を一掃すべく、
海の博物館で展示室の大掃除を実施します。臨時休館日や年末年始の開館情報
に御注意ください。

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│目次
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★臨時休館及び年末年始の営業について
★当館研究員が国内初記録となるイシサンゴ類に関する論文を発表しました
★新型コロナウイルス対策について
★研究員ノート -コロナ禍における学校教育支援の一方策として-
★海の博物館周辺の情報

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│★臨時休館及び年末年始の営業について
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展示室大掃除に伴う臨時休館日
12月15日(火)

年末年始の休館日
12月28日(月)~1月4日(月)

1月5日(火)から通常営業いたします。

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│★当館研究員が国内初記録となるイシサンゴ類に関する論文を発表しました
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概要: ハナサンゴ科ナガレハナサンゴ属は、軟体部の一部を骨格から外に大
きく伸長させるイシサンゴ類の一群です。本属は、骨格のみでの分類が難しく、
長く伸長した軟体部の形状が分類形質として重要視されます(一般的に、イシ
サンゴ類の分類では骨格の形態が重要視され、軟体部の形態はあまり使われま
せん)。国内からは、これまでに3種の分布が知られていましたが、本研究で
ツツナガレハナサンゴ(新称)が宮古諸島と奄美諸島から、またツツコエダナ
ガレハナサンゴ(新称)が沖縄本島および奄美諸島から確認され、日本産の本
属は5種となりました。同じくハナサンゴ科に属するオオナガレハナサンゴ属
はオオナガレハナサンゴ属1種のみが知られ、その分布の局所性および希少性
から、環境省によるレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。
これまで、国内では九州以北からのみ知られていましたが、本研究で沖縄本島
および奄美諸島から確認され、分布域が拡大しました。
 上記3種が発見された環境は、これまでイシサンゴ類の調査があまり行われて
こなかった内湾の砂泥底やメソフォティックと呼ばれる水深30 m以深の薄暗い
深場が主でした。イシサンゴ類の分布や生物多様性を理解するうえで、今後こ
のよ
うな環境での調査研究を進める必要性があると考えられました。

論文題名: New Distributional Records of Three Species of Euphylliidae
 (Cnidaria, Anthozoa, Hexacorallia, Scleractinia).(ハナサンゴ科イシサ
ンゴ類2種の国内初記録および1種の琉球列島初となる分布記録)

著者: 藤井琢磨(鹿児島大学),北野裕子(国立環境研究所),立川浩之
(当館主任上席研究員)

掲載誌:Species Diversity

掲載巻、ページ、発表年:第25巻、275-282 pp. (2020) 

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│★新型コロナウイルス対策について
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 海の博物館は現在通常の営業時間で開館しています。利用にあたっては以下
のお願いをしています。博物館では各種ガイドラインに則り十分な感染防止対
策を行っておりますが、皆様におかれましても引続き新型コロナウイルス感染
拡大の防止に御協力をお願いいたします。

【入館に際してのお願い】
・混雑状況により博物館施設及び展示室への入場制限を行う場合があります。
・入館前に検温、手指消毒、体調等の確認をさせていただきます。
・入館にあたっては、入館確認票の御記入をお願いしています。
・入館確認票は事前に記入してお持ちいただくことも可能です。ウェブサイト
からダウンロードできます。
●入館確認票PDF形式(当館ウェブサイト)
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/UMIHAKU/contents/1590451843661/simple/%E5%85%A5%E9%A4%A8%E7%A5%A8.pdf
・マスクを着用し、咳エチケットを心がけてください。
・他の方との距離を2メートル程度あけて御観覧ください。
・展示物、展示ケースにはお手を触れずに御観覧ください。
・館内での飲食はできません。

 【休止している主な展示・サービス】
・展示物に手を触れて利用するハンズオン展示(タッチパネル等を除く)
・顕微鏡等、目が接触する恐れのある展示
・団体予約受付(学校団体及び一般団体)
・展示解説や観察会等の主催行事
・学習キットの貸出
・当館主催行事ならびに団体からの依頼による磯観察等の行事

【その他の感染防止対策】
・館内の椅子等について、一部利用を制限しております。
・入場券売場等に感染防止用バリアを設置しております。
・スタッフがフェイスガードとマスクを着用しております。
・館内をアルコール消毒しています。

なお、感染拡大の状況などにより変更が生じる場合がございます。
御了承くださいますようお願いいたします。
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│★研究員ノート -コロナ禍における学校教育支援の一方策として-
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 11月に入り,新型コロナウイルスの新規感染者が急増してきました。筆者は
紅葉見物をはじめとして秋の行楽シーズンを楽しみにしていたのですが、人ご
みの中へ出かけることにちょっと二の足を踏んでいる今日この頃です。
 さて、今回の研究員ノートでは、コロナ禍における博物館による学校教育支
援の在り方についての一つの取り組みについて紹介させていただこうと思いま
す。

 以前の研究員ノートでもお伝えしたのですが、博物館の役割の一つに学校教
育への支援があります。これは博物館の設置・運営について定めている「博物
館法」に規定されているもので、博物館の責務ともいえる活動の一つです。
 一方で、学校が編成する教育課程の基準となる「学習指導要領」にも、社会
教育施設(博物館等)との連携や体験活動の重視などが規定されています。旧
学習指導要領の改定を受けて、今年度より新学習指導要領が小学校で本格実施
を迎え、続いて来年度は中学校、2022年度から高校の順で本格実施となります。
今回の改定の中では、学習指導要領総則編の中で
・主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブラーニング)
・道徳教育における豊かな体験活動
・地域人材・地域専門機関の積極活用
などの点から、博物館等の社会教育施設との連携推進を求めています。

 「さあ、新学習指導要領の本格実施を受けて、学校と博物館の連携がいっそ
う推進される!」と期待していたところに、新型コロナウイルスの襲来です。
 全国一斉休校が続いたことで、学校現場では例年よりも短い期間で学習指導
要領に定められた学習内容を修了させる必要に迫られています。夏休みの短縮
は当たり前、授業の進度を速める、各授業時間を短縮して7時間目を設ける、
学校行事を削減して授業時間を確保する、などの対策をとり、なんとか教育課
程を終えられるように工夫しています。そのような環境下では,いくら学習指
導要領が「博物館を活用しよう」と言っても、博物館に出かける時間を確保す
ることは難しいでしょう。しかも移動のバスの中は「3密」です…。

 このコロナ禍において、学校団体の来館を待っての学校支援活動は難しい。
そこで考えたのが、学校に居ながらにして海の博物館を活用してもらう手立て
です。当館では、各研究員がその専門性を活かして作成した「海の生きもの観
察ノート」というシリーズを、これまでに15種類発行しています。ミニ図鑑
ともいえるこの小冊子をセットで学校に配り、海の博物館の紹介と併せて,学
習での活用を図ってもらうことにしました。(11月現在,試験的に勝浦市内の
小中学校を対象に配布済み)すると先日、地元の小学校からうれしい連絡があ
りました。配布された観察ノートを活用して地元の海とその周辺で見られる生
きものについて調べ学習をしたところ、子どもたちからさらなる疑問があがっ
たので、専門家の立場から疑問に答えてほしい、という要望です。内容を見た
ところ、かなり専門的な質問も多、,子どもたちが一生懸命に勉強しているこ
とがわかります。現在、質問内容を専門の研究者別に振り分け、回答作成中で
す。この原稿がメルマガに掲載される頃には、子どもたちに回答が届いている
ことと思います。

 対面でのやり取りに比べると高揚感やタイムリー感には劣るかもしれません
が、コロナ禍の中でできる学校教育支援活動の一つの形になるかもしれません。
今回の取り組みはまだ始まったばかりです。この小学校の活用方法以外にも実
践例が出てくれば、それらをまとめたうえで学校に紹介して、活用方法を広げ
るきっかけにできないかと期待しています。
 もちろん、学校での学習をきっかけにして海や海の生きものに興味を持つ子
どもたちが増え、彼らが個人で海の博物館に来館して、ここでしかできない体
験をしてくれることが一番の願いであることに変わりはないのですが…。
一日も早いコロナウイルスの終息を願いつつ…。

(上席研究員 吉田真照)

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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】
・勝浦朝市は通常通り(6時半頃~11時頃)開催されています。※水曜日と元旦
以外原則毎日開催。

・勝浦市内のGoToキャンペーンの参加施設は、以下の勝浦市観光協会のウェブサ
イトで確認できます。
https://www.katsuura-kankou.net/goto%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%B3/


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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうご
ざいました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
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お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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