千葉県立中央博物館分館海の博物館メールマガジン バックナンバー
海からのたより 第195号
配信日時:2021/05/01 08:30
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  千葉県立中央博物館分館 海の博物館メールマガジン

 『海からのたより』 第195号
                          2021年5月1日発行

                 千葉県立中央博物館分館 海の博物館
                 http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/
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 海の博物館は、新型コロナウイルス感染防止対策を講じた上で3月23日(火)
から再開館しています。入館時には体温計測、手指消毒、来館者情報記載等に
ご協力ください。
 マリンサイエンスギャラリー「ウミカラ -海の生きものの殻の話-」も
開催中です。

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│目次
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★マリンサイエンスギャラリーの会期を延長します
★令和3(2021)年度5、6月の主催行事のご案内
★研究員ノート -イカの話-
★着任職員紹介
★海の博物館周辺の情報

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│★マリンサイエンスギャラリーの会期を延長します
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 現在開催中のマリンサイエンスギャラリー「ウミカラ -海の生きものの殻
の話-」は、会期を6月27日(日)まで延長します。

 海に棲む貝類やカニ・エビ類、ウニ類をはじめ、殻を持つさまざまなグルー
プの生きものたちにみられる殻のつくられ方や特徴を比較するとともに、多様
性に富んだ殻を持つ海の生きものたちを紹介しています。


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│★令和3(2021)年度5月、6月の主催行事のご案内
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【観察会】
 研究員の解説を聞きながら、自然の中で生きものをじっくりと観察する行事
です。
 対象は小学生以上(小学生は保護者同伴)、定員は各回10名です。

●「海の生きもの観察ツアー」  講師 海の博物館研究員
 海の博物館の前の磯を歩き、さまざまな海の生きものについて解説します。
 ・時間:約1時間
 ・開催日時:
   5/15(土)11:30~  5/16(日)13:00~  5/27(木)11:00~
   5/28(金)11:00~  6/12(土)11:00~  6/15(火)13:00~
   6/25(金)10:30~  6/26(土)11:00~
 ・持ち物:
   手網・観察用小バケツ等

≪申込方法≫
 行事ごとに、以下を明記の上、開催日2週間前必着で、海の博物館あてに
 ハガキ・FAX・電子メールのいずれかでお申し込み下さい。定員を越えた場
 合は抽選となります。当選者にはご連絡いたします。
   ※博物館ロビー受付でもお申し込みいただけます。

・記入事項(希望者全員の情報を記入)
  1.氏  名(小学生は同伴者名も)
  2.住  所
  3.電話番号
  4.年  令
  5.ご希望の行事名と日時

≪お申し込み・お問い合わせ先≫
  千葉県立中央博物館分館海の博物館
   〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
   電話 0470-76-1133 FAX 0470-76-1821
   電子メール umihaku@chiba-muse.or.jp

※野外で行われる観察会は、保険料としてお一人50円が必要です。
※荒天等の事情により、中止または日程や内容が変更となる場合があります。
※新型コロナウイルスの感染状況によっては、中止となる場合があります。

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│★研究員ノート -イカの話-
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 私たちに非常に馴染み深い「イカ」。近年は漁獲量の減少が騒がれています
が、日本人は一人あたり年間約1kgのイカを食べています(農林水産省統計に
よる)。これはマグロやサケの消費量に匹敵し、私たちの食卓には欠かすこと
のできない食材のひとつと言えます。しかし、イカとひとくちに言ってもその
種類は多く、日本近海では約140種(世界で約450種)が知られています。

 そもそもイカはなにの仲間なのでしょうか。イカは大きな分類では巻き貝や
二枚貝の仲間と同じ軟体動物門に属します。このうち、イカやタコの仲間は頭
足(とうそく)類と呼ばれるグループに分類されます。貝類やイカとは一見体
のつくりに共通性がないように思われるかもしれませんが、軟体動物は、左右
相称性で伸縮自在、頭部・足・内臓塊に分かれる体を持つことや、炭酸カルシ
ウムの殻を持つこと、背側の外套膜(がいとうまく)に囲まれた外套腔を持ち
その内部に櫛状の鰓(えら)を持つこと、歯舌(しぜつ)を持つこと、頭部神
経環から二対の神経が伸びることなど、共通の体制を持っています。頭足類は
絶滅したアンモナイト類、現生のオウムガイ類とイカやタコが含まれる鞘形(
しょうけい)類に分類され、鞘形類はさらに十腕形類(イカ)と八腕形類(タ
コ)に分けらます。私たちが「イカ」と呼ぶ生物はこの十腕形類に含まれます。
十腕形類は、その名のとおり10本の腕(正確には足)を持つことが特徴です
が、厳密には腕はタコと同じ8本で、残りの2本は捕食用の伸縮自在な触腕(
しょくわん)です。一般に私たちがイメージするイカは、十腕形類のうちコウ
イカ類とツツイカ類と思ってよいでしょう。この2者は英語ではcuttlefish(
コウイカ類)・squid(ツツイカ類)と区別されています。コウイカ類にはコウ
イカやカミナリイカなど、主に関西で多く消費される種が含まれ、体に「甲」
を持つのが特徴です。一方、体が細長く甲を持たないスルメイカやアオリイカ
などはツツイカ類に含まれます。

 イカの体は筋肉の塊とも言える外套膜(筒の部分)とその中に収められた内
臓塊、頭とそれに続く腕に分けられます。運動性は非常に高く、外套膜の中に
吸い込んだ海水を頭部の「漏斗(ろうと)」から押し出すジェット推進で活発
に泳ぎ回ることができます。高い運動性を支えるため、イカには通常の心臓の
他、2対の鰓の付け根にひとつずつ、合計3つの心臓を持っています。頭部か
らは吸盤の並んだ8本の腕が伸びます。イカの吸盤にはキチン質でできた硬い
「リング」があり餌をしっかりと引っ掛けることができます。一方。タコの吸
盤にはリングはなく、筋肉を使ってまさに吸盤として機能します。イカの持つ
2本の触腕は、餌をとるのに使われる伸縮自在の腕で、通常他の腕よりも長く
なっています。イカは無脊椎動物の中では最も発達した目を持っていると言わ
れ、餌を狙いすまして捉えます。捉えられた餌は口に運ばれますが、この際、
餌の体を細かく引きちぎる役割を持っているのが顎板、いわゆる「カラストン
ビ」です。顎板はキチン質でできた硬い鳥の嘴のような構造で、上下ふたつに
わかれています。イカを食べるクジラなどでは、このカラストンビなどの未消
化物が分泌物によって結晶化されて「龍涎香(りゅうぜんこう)」となると考
えられています。

 イカの体の大きさは様々です。世界で最も小さなイカは千葉県でも見られる
ヒメイカで、外套長(外套膜の長さ)がわずか1cm程度です。一方巨大なダイ
オウイカでは外套長は2m、世界最大のイカと言われるダイオウホウズキイカで
は外套長が2.5 mにも達します。巨大イカの寿命は明らかではありませんがが、
我々が目にするイカの多くは1~2年(ほとんどのものは1年)と考えられて
います。孵化したての若いイカは1日に体重の30~70%の餌を食べ、1日で体重
が8~13%増加するという報告もあります。イカは猛烈な勢いで一生を終えるの
です。

 中央博物館分館海の博物館では、令和3年7月17日から収蔵資料展「イカ展」
を開催予定です。展示ではイカの興味深い生態を解説しながら、ダイオウイカ
の大人と子供のペア、神秘的なユウレイイカ、変わった姿のトックリイカなど、
ユーモラスなメンダコ、危険なヒョウモンダコなど、海の博物館の収蔵品から
とっておきのイカやタコの標本を紹介します。ぜひ、イカの秘密を探りに来て
ください!

(主任上席研究員 柳 研介)

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│★着任職員紹介
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●副主幹 宇津木規之
  ぜひ、『うみはく』へ足をお運びください。

●体験交流員 金子美織
  ご縁があり4年振りに海博に戻って参りました。
  大好きな海博で再び体験交流員として働けることを、大変幸せに思ってお
  ります。
  世の中の状況は随分と変わりましたが、見るもの全てにワクワクしてい
  たあの頃の気持ちを忘れず頑張ります。
  皆さまどうぞよろしくお願いします。


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│★海の博物館周辺の情報
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【観光情報】
・勝浦朝市は通常どおり(6時半頃~11時頃・水曜休み)開催されています。
  詳しくは勝浦市観光協会のホームページをご覧ください。
   https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/

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 今月も、海の博物館メールマガジンを最後までお読みいただきありがとうご
ざいました。

発行  千葉県立中央博物館分館 海の博物館
連絡先 〒299-5242 千葉県勝浦市吉尾123
    電話:0470-76-1133 FAX:0470-76-1821
    http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU
お問い合わせはこちらへ umihaku@chiba-muse.or.jp
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